トレード期限総括:専門家29人が選ぶ勝者と敗者、最大のサプライズは?

August 6th, 2026

トレード期限が過ぎてから数日がたった今も、実際に起きたこと、そして起きなかったことのすべてを理解するのは簡単ではない。

そこで今回、MLB.comの専門家29人を対象に、最も大きな影響を与える補強や期待外れだった球団、誰も予想しなかったトレードなど、注目テーマについて意見を聞いた。

MLBの最新ニュースを見逃さない!

トレードで移籍した投手のうち、ポストシーズン争いに最も大きな影響を与えるのは?

最多得票:ケーシー・マイズ(パドレス、右投手)8票

その他の得票:タリク・スクーバル(ドジャース)7票、フォスター・グリフィン(ガーディアンズ)4票、ロビー・レイ(パドレス)3票、ルーク・ウィーバー(パイレーツ)2票、ケビン・ゴーズマン(カブス)2票、クレイ・ホームズ(カブス)1票、フレディ・ペラルタ(レイズ)1票、ライアン・ゼファーン(カブス)1票

普段のA.J.プレラーGMと比べれば、今回のトレード期限は比較的静かだった。それでも、パドレスは投手陣に重要な補強を2つ行った。期限当日の早い時間帯にレイを獲得すると、締め切り間際にはタイガースからマイズを獲得。信頼できる先発投手が不足し、変則的な投手起用に頼っていた陣容を整えた。

長期にわたる不振で借金が最大3まで膨らんだ際には、パドレスが売り手に回る可能性も検討していると伝えられ、球界屈指の救援投手であるメイソン・ミラーとエイドリアン・モレホンをめぐるトレードのうわさが過熱した。しかし、期限当日までの9試合で8勝を挙げたことで買い手としての立場を改めて明確にし、プレラーGMは先発投手を一人どころか二人も獲得することに成功した。

トレードで移籍した野手のうち、ポストシーズン争いに最も大きな影響を与えるのは?

最多得票:ルイス・ガルシアJr.(ヤンキース、一塁手)12票

その他の得票:ルイス・アライズ(フィリーズ)9票、アドリー・ラッチマン(レッドソックス)5票、ドールトン・バーショ(アストロズ)1票、ジョー・アデル(ガーディアンズ)1票、リアム・ヒックス(レイズ)1票

左打ちの一塁手は、ヤンキースが最優先していた補強ポイントではなかった。しかし、市場に打線を変えられる打者が少なく、攻撃陣の強化を切実に必要としていたため、ナ・リーグ長打率トップのガルシアの獲得を決断した。ニューヨーク出身の一塁手は、ヤンキースデビューとなったカージナルス戦で勝ち越し本塁打を放ち、さっそく存在感を発揮。ただし、補強できなかったブルペンが、最終的にリードを守れなかった。

アーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントン、コディ・ベリンジャーはいずれも、負傷者リストからの復帰が近いとは言い難い。ヤンキースがレイズをかわしてア・リーグ東地区を制するには、ガルシアに好調を維持してもらう必要がありそうだ。

トレードで移籍した投手のうち、10月のポストシーズンでスターになる可能性が最も高いのは?

最多得票:タリク・スクーバル(ドジャース、左投手)25票

その他の得票:クレイ・ホームズ(カブス)2票、フレディ・ペラルタ(レイズ)1票、ダスティン・メイ(ブルワーズ)1票、クリス・ブービック(ドジャース)1票

ドジャースはポストシーズンまでに、大谷翔平、ブレイク・スネル、タイラー・グラスノーが健康を取り戻し、登板できる状態になることを期待している。ただし、何も保証されてはいない。そこでタイガースが期限数日前にスクーバルの放出を決意すると、王者はすぐさま獲得に動いた。ア・リーグのサイ・ヤング賞を2年連続で受賞している左腕が野球界最大の舞台で力を発揮すれば、ドジャースをワールドシリーズ3連覇へ導くとともに、今オフのFAを前に自身の価値をさらに高めることができる。

スクーバル以外で複数票を得た投手は、ホームズだけだった。カブスは全体63位の有望株ジェファーソン・ロハスを中心とした交換要員をメッツへ送り、ホームズを獲得。ケガ人が相次いだ先発ローテーションを立て直すため、ケビン・ゴーズマンとともに期限前に先発投手を補強した。

トレードで移籍した野手のうち、10月のポストシーズンでスターになる可能性が最も高いのは?

最多得票:ルイス・アライズ(フィリーズ、二塁手)9票

その他の得票:ルイス・ガルシアJr.(ヤンキース)8票、アドリー・ラッチマン(レッドソックス)5票、リアム・ヒックス(レイズ)1票、ラーズ・ヌートバー(ダイヤモンドバックス)1票、カーティス・ミード(レッドソックス)1票、ドールトン・バーショ(アストロズ)1票、ジョー・アデル(ガーディアンズ)1票、タイロン・テイラー(カブス)1票

アライズを起用するためには守備位置の調整が必要だったが、それ以外の面では、首位打者を3度獲得している巧打者はフィリーズにとって完璧に近い補強となり得る。チームはナ・リーグの残る2つのワイルドカード枠をめぐり、複数球団と激しい争いを繰り広げている。その中で、卓越したコンタクト能力を持つアライズは、カイル・シュワーバーとブライス・ハーパーの負担を軽減し、ナ・リーグでも特に三振が多い打線に確実性を加えるなど、攻撃にバランスをもたらすはずだ。

ベテラン内野手は、守備力の低さや攻撃面での一面的なプレースタイルを疑問視され、昨オフにFA市場での評価を落とした。しかし、正二塁手として起用する機会を提示したジャイアンツと一年契約を結ぶと、守備を大きく改善。さらに、2024年から2025年の104を上回る、自己最高タイとなるOPS+128を記録している。フィリーズがポストシーズンに進出すれば、再びFAとなる前に自身の価値を証明する、さらに大きな舞台が用意される。

今回のトレード期限で、最も成果を挙げた「買い手」の球団は?

最多得票:ロサンゼルス・ドジャース 10票

その他の得票:シカゴ・カブス 9票、サンディエゴ・パドレス 3票、ボストン・レッドソックス 3票、タンパベイ・レイズ 2票、クリーブランド・ガーディアンズ 1票、ピッツバーグ・パイレーツ 1票

トレード市場最大の目玉だったスクーバルを獲得したドジャースが、この部門で名前が上がるのは当然だろう。さらに、2025年のオールスターに選出されたクリス・ブービックも補強。ポストシーズンまでに健康体を取り戻せば、複数イニングを任せられる貴重な救援投手となる可能性がある。

カブスはスクーバル争奪戦には敗れたものの、実りあるトレード期限を過ごした。投手のケビン・ゴーズマン、クレイ・ホームズ、ライアン・ゼファーン、ブラクストン・ギャレットに加え、外野手タイロン・テイラーを獲得し、複数の補強ポイントに対応した。

今回のトレード期限で、最も成果を挙げた「売り手」の球団は?

最多得票:ロサンゼルス・エンゼルス 11票

その他の得票:ボルティモア・オリオールズ 10票、ニューヨーク・メッツ 5票、デトロイト・タイガース 2票、サンフランシスコ・ジャイアンツ 1票

エンゼルスは2014年を最後にポストシーズンから遠ざかっているにもかかわらず、アート・モレノ・オーナーの下では売り手になることを避けてきた。しかし、今季はジョン・モゼリアク暫定GMに、従来とは異なる方針を取る裁量が与えられた。大きな関心を集めていた先発左腕リード・デトマーズと遊撃手ザック・ネトは残留させたものの、球団は従来のやり方を転換。期限当日の5件を含む計6件のトレードを成立させ、多くの若手選手を獲得した。

エンゼルスが獲得した中で最大の目玉は、ホセ・ソリアーノをブルージェイズへ送ったトレードで加入した遊撃手アルジュン・ニマラで、MLBパイプライン全体43位の有望株だ。また、救援投手ライアン・ゼファーンとの交換で、カブスから捕手兼DHのモイセス・バレステロスも獲得した。バレステロスは2026年、シカゴで59試合に出場して打率.230、出塁率.303、長打率.385にとどまっていたが、開幕時点では全体55位の有望株だった。

アドリー・ラッチマンとテイラー・ウォードを放出したオリオールズも、多くの票を集めた。メッツも積極的に動き、メジャーのロースターから7選手を放出。6月下旬に成立したデビッド・ピーターソンのトレードを含めれば、その数は8人に上る。一方、タイガースは今季のトレード市場を代表する二人の選手、タリク・スクーバルとケーシー・マイズを放出したものの、わずか2票にとどまった。

優勝を争う球団のうち、最も期待外れなトレード期限となったのは?

最多得票:ミルウォーキー・ブルワーズ 10票

その他の得票:アトランタ・ブレーブス 9票、ニューヨーク・ヤンキース 4票、ヒューストン・アストロズ 2票、フィラデルフィア・フィリーズ 2票、アリゾナ・ダイヤモンドバックス 1票、テキサス・レンジャーズ 1票

ブルワーズは過去8年間で7度ポストシーズンに進出し、2025年にはメジャー最多の97勝を挙げた。それでも、球団史上初のワールドシリーズ制覇にはまだ届いていない。今季もメジャー最高勝率を争っているため、多くの人がスクーバルの獲得へ全力を注ぐとみていた。自らの優勝の可能性を高めるだけでなく、ナ・リーグの主要なライバルであるドジャースへの移籍を阻止する意味もあった。しかし、スクーバルはロサンゼルスへ移籍し、ミルウォーキーが期限までに獲得したのはダスティン・メイ、ジョジョ・ロメロ、アントニオ・センザテラ、ボー・ネイラーだった。

今回の投票では、同じくスクーバルを狙っていたブレーブスが2番目に票を集めた。ブレーブスはスクーバルを筆頭に、ポストシーズンでクリス・セールに続く先発を任せられる投手を獲得すると予想されていた。しかし、加えた先発投手はローテーション後方を担うタイラー・マーリーとベイリー・フォルターのみ。そのほかには外野手レーン・トーマス、新人右腕タイラー・ウーバースタインとダンカン・ダビットを獲得した。

今回、最も驚いたトレードは?

最多得票:アドリー・ラッチマンのレッドソックス移籍 18票

その他の得票:ホセ・ソリアーノのブルージェイズ移籍 2票、マルセロ・マイヤーのジャイアンツ移籍 2票、リアム・ヒックスのレイズ移籍 2票、ケビン・ゴーズマンのカブス移籍 1票、フォスター・グリフィンのガーディアンズ移籍 1票、タリク・スクーバルのドジャース移籍 1票、ルーク・ウィーバーのパイレーツ移籍 1票、テイラー・ウォードのマリナーズ移籍 1票

期限までの数日間、オリオールズがラッチマンの放出に前向きだという情報は流れていた。それでも、2019年ドラフト全体1位指名選手を実際にトレードし、しかも同じア・リーグ東地区の球団へ送ったことは驚きだった。2027年まで球団保有権があるラッチマンの対価として、オリオールズが手にした交換要員も予想以上のものだった。レッドソックスは球団内トップ5の有望株のうち、MLBパイプライン全体49位の右腕アンソニー・アイアンソンと右腕カイソン・ウィザースプーンの二人を放出。さらに、外野手の有望株エンディ・アソカー、捕手カルロス・ナルバエス、後日指名選手を加え、ラッチマン、捕手ジェイク・ロジャース、金銭を獲得した。

ソリアーノのブルージェイズ移籍も衝撃的だった。売り手として複数のトレードを成立させながら、同時にベテラン選手の獲得を目的として球団トップクラスの有望株を放出するのは珍しい。しかし、トロントはまさにそれを実行した。ゴーズマン、ドールトン・バーショ、ジェフ・ホフマンを放出する一方で、ソリアーノを獲得した。