ハリウッドにスーパースターが揃う時は筋書きが用意されるようだ。
2024年ワールドシリーズの再戦となったヤンキース対ドジャースの一戦は、アーロン・ジャッジと大谷翔平が最初の打席で共に花火を打ち上げ、華々しいスタートに。MVP受賞者が共に初回に本塁打を放つのはMLB史上初の快挙だ。
舞台はドジャー・スタジアム。ジャッジは試合前、「チームは興奮していて、準備も万端。最高の雰囲気になるだろう」と語っていたが、その言葉通り、初回から場内は異様な熱気に包まれた。
最初に熱気に火を付けたのはジャッジ。ドジャース先発トニー・ゴンソリンの144キロのストレートを完璧に捉え、打球速度182キロ、推定飛距離約136メートルのソロ弾を中堅後方に運んだ。これでドジャー・スタジアムでの通算本塁打は6試合で5本目。昨年のワールドシリーズでも2本を放っている。
「LAでプレーするのはみんな大好きだ。ファンが最高だし、いつも盛り上げてくれる。僕にとって特別な場所の一つだ」とジャッジは語った。
だが、その裏で黙っていなかったのが大谷だ。ヤンキース先発マックス・フリードの初球、151キロのシンカーを完璧にとらえ、左中間スタンドへ21号ソロを放った。打球速度は170キロ、飛距離は約127メートルだった。
さらに、六回にはMLB単独トップとなる22号のソロ弾。ジャッジの頭上を超えていく一発に、フリードも膝に手をつき悔しさを滲ませた。今季、ここまで11回の先発で一度も3失点以上喫していなかった左腕を打ち崩すきっかけを作った。
「両チームにとって良い試合になったと思う」と冷静に試合を振り返った大谷。明日は今季2度目となるライブBP(打者を相手にした投球練習)を控えており、その意識はすでに明日の投球、そして試合に向かっている。
大谷に続くようにここからドジャースは4打席連続安打。アンディ・パヘスがタイムリーを放つと、マイケル・コンフォートは四球を選び、押し出し6-5と逆転に成功した。
両MVPに負けるとも劣らない輝きを見せたのは絶好調のフレディ・フリーマン。六回の猛攻時にはタイムリー二塁打を記録し、合計で3安打をマーク。ワールドシリーズMVPの名に恥じない活躍となった。
とはいえ、やはりこの日の主役はジャッジと大谷だろう。試合開始時点で、MLB全体の塁打数で1位(ジャッジ153)、2位(大谷140)を誇り、両者ともにシーズン400塁打ペースで爆走中。
4月30日以降の成績を見ても、ジャッジがOPS1.217、大谷が1.147で、メジャー1位・2位。まさに「現役最強打者」の対決であり、それに相応しい活躍を両者ともに披露した。
「やっぱり、最高の選手たちと戦いたいよ」と試合前に語ったジャッジ。三回にはテオスカー・ヘルナンデスの長打級の当たりをダイビングキャッチで掴み、守備でも球場を沸かせてた。
「大谷は間違いなくその一人。何年もトップクラスでプレーしているし、今季もまた素晴らしいスタートを切っている」と称賛を送った。
まさにハリウッド映画の台本のように幕を開けた週末シリーズ。明日以降の「続編」も我々をワクワクさせてくれるだろう。