ジャッジ、ローリーとの大接戦を制して3度目のMVP獲得

November 14th, 2025

判決は下された。

13日(日本時間14日)、アーロン・ジャッジがア・リーグのMVPに選出された。ジャッジは通算3度目のMVP受賞。ヤンキースのキャプテンがカル・ローリー(マリナーズ)との歴史的接戦を制し、栄冠に輝いた。

ジャッジは、史上13人目となる「MVP通算3回以上」の選手となった。リストにはヤンキースのレジェンド、ジョー・ディマジオ、ヨギ・ベラ、ミッキー・マントルといった名選手も名を連ねる。

「ワイルドだね」と、接戦となった投票についてジャッジは語った。「シーズン中はなるべく考えないようにしていた。162試合を通して集中し、毎試合チームの勝利に貢献するために全力を尽くす。そして翌日また同じように取り組むだけだ」

ジャッジは355ポイント、1位票30票中17票を獲得。ローリーは残りの1位票13票をと335ポイントを獲得した。ガーディアンズのホセ・ラミレスが224ポイントで3位に入った。

ヤンキースにとっては、ジャッジのMVP受賞はシーズンを通して予想していた結果だった。試合前にクラブハウスのテレビを見上げれば、ローリーの歴史的な本塁打量産はジャッジからMVPを奪うのに十分だと論じるコメンテーターたちの声が耳に入ってくる。しかし、ジャッジは決して平静を崩さなかった。チームメートたちはローリーのパフォーマンスを称賛していたものの、MVPレースではジャッジが勝つと信じていた。

「彼の功績の一貫性と偉大さに、決して鈍感になりたくはない。彼の素晴らしさを言葉で表現するのは、ますます難しくなっている。彼はただ高いレベルでプレーしているだけで、それはもう長い間続いている」と、アーロン・ブーン監督は語った。

ブライアン・キャッシュマンGMは「(ジャッジは)キャリアの大半を稀有な空気の中で過ごしてきた。世代に一人しかいない選手であり、このスポーツの良さを体現している。アーロンは今夜再び称賛されている。当然のことだ。彼はスポーツ界最高のスーパースターへと成長したのだから」と語る。

ローリーは60本塁打を放った打撃と捕手としての守備力でMVPレースを接戦に持ち込んだが、ジャッジも投票者にとって無視できないほど多くの記録を作った。打率.331で首位打者を獲得し、6フィート7インチ(201センチ)の史上最長身の首位打者となった。

そして首位打者と50本塁打を同年に成し遂げたのは、ミッキー・マントル(1956年)とジミー・フォックス(1938年)に続いて史上3度目。ジャッジが今季放った53本塁打は、首位打者では史上最多だ。

「彼は無駄なスイングをしない。毎日見ていて、その仕事ぶりや試合へ向けた綿密な準備には驚かされる。あの体格で毎晩プレーするために、どれだけの努力が必要か多くの人は気づいていないだろう。彼のような選手が今後どれほど現れるか分からない」と、ジェームズ・ローソン打撃コーチは語った。

ジャッジは、出塁率(.457)、長打率(.688)、OPS(1.145)、出塁数(310)、申告敬遠(36)、そして走攻守の貢献度を示すfWAR(10.1)でMLBトップの成績を収めた。また、ア・リーグでは、得点(137)、四球(124)、長打(85)、塁打数(372)でトップの成績を収めた。

今季のジャッジは、かつてのバリー・ボンズを思わせる扱いを受け、ヤンキースを除く29球団より多い36度の申告敬遠を一人で記録した。それでも右屈筋を痛めながら、これらの数字を積み上げてみせた。

「自分を復帰させ、健康を取り戻してくれたトレーナー陣には本当に頭が下がる。復帰後は思うようにライトを守れず、DHが増えた。肘の状態が万全ではなく、バットを強く握って難しい球をしっかり振り切ることに集中していたからだ。大変だったが、シーズンを通せば誰にでも試練はある。カルだって体のあちこちが傷んでいたはずだ。とにかく耐えて、フィールドに立ち続けるしかない」とジャッジは語った。

ジャッジは、エクスパンション時代(1961年以降)で打率、出塁率、長打率でMLBのトップに立った5人目の選手となり、2013年のミゲル・カブレラ以来の快挙を成し遂げた。打率が時代遅れのスタッツとして軽視されがちな時代にあって、打率はジャッジにとって非常に重要だ。

「偉大な選手たちのプレーを見て育った。アルバート・プホルスやミゲル・カブレラは常に打率.300以上を誇っていた。それにパワーも当然ついてきた。打率.300以上を出すことが、ずっと自分の目標だった」

そしてさらに上を目指している。

「常に完ぺきな打者を目指している。マイナーリーグ、そしてメジャーリーグでキャリアを積んできた頃は、どちらかと言うとパワー重視の選手だった。自分のプレーをもっと完璧なものにしたいと思っていた」

2022年と2024年にMVPを受賞したジャッジは、MVPを2年連続で受賞した15人目の選手となった。ジャッジと3年連続の受賞を成し遂げた大谷翔平(ドジャース)は、2012-13年のカブレラ以来となる快挙を成し遂げた。

そしてヤンキースの選手としてはMLB最多の史上23度目の受賞。ディマジオ(1939年、1941年、1947年)、ベラ(1951年、1954年、1955年)、マントル(1956年、1957年、1962年)に続き、ヤンキース史上4人目の3度のMVP受賞者となった。

ヤンキースは一貫して「MVPはジャッジだ」と信じてきたが、その評価がついに公式に証明された。3度目の受賞を果たした今、残る疑問は、ジャッジがこの先、あと何度MVPを手にするのか。それだけだ。