フィリーズ、右腕ノラの復活投球でメッツに1ー0勝利

September 9th, 2025

フィリーズ1−0メッツ】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、9月8日(日本時間9日)

アーロン・ノラは、今季ここまでフィリーズが「ダブルエース」として期待しているほどの投球ができていないことを誰よりも自分自身が認めている。

しかしこの夜、エースらしい仕事をやってのけた。

フィリーズがトレイ・ターナーとアレック・ボームを負傷者リスト入りさせたこの日、ノラの今季最高の好投を見せ、メッツとのシリーズ初戦で完封勝利。これでフィリーズ(84勝60敗)はナ・リーグ東地区で、メッツ(76勝68敗)に対し、シーズン最多の8ゲーム差に広げ、残り試合は18となった。

ノラは6回を無失点に抑え、今季2度目、5月3日以来となる無失点登板。最も印象的だったのは、その六回の投球だった。

1点リード。ロブ・トムソン監督は『予想を裏切り』ノラを六回のマウンドに送り出し、メッツ打線の中軸――フアン・ソト、ピート・アロンソ、ブランドン・ニモ――と対峙させた。

それは大胆な采配だった。

ノラ自身、この日の登板前に今季13先発で防御率6.78、さらに3カ月の負傷者リスト入りから復帰して以降の4試合では防御率8.38と苦しんでいた。

さらにポストシーズンでの対戦を含め、ソトはノラに対して出塁率.446、OPS.983、アロンソも対戦打率.327(55打数18安打)、6本塁打を記録している。これもポストシーズンを含む数字だ。ノラが特定の打者に許した本塁打数としては、この6本が最多タイだ。

だが、ノラは見事に六回を切り抜けた。

まずソトを1ボール2ストライクからカットボールで空振り三振に仕留めた。この試合で投じた唯一のカットボールだった。続いてアロンソをフライアウトに打ち取り、最後はニモを92.5マイル(約149キロ)のシンカーで空振り三振。この球は試合で投げたシンカーの中で最速だった。

「彼らはいい打者だからね。これまでも何度も対戦してきた。そんな打者を抑えられたのは大きいし、特にソトを抑えられたのは本当に大きかった」

ノラはそう振り返った。

さて、そのソトへの配球について――。

「彼がこれまで見たことがなかった球を投げただけだよ」とノラ。

捕手のJ.T.リアルミュートはこう付け加えた。
「ソトには少し型破りなことを考える必要がある。まだ一度も見ていなかった球だから、狙ってくることもないだろうとね」

ソトはその1球を空振りし、三塁側ベンチに戻る途中で信じられない、という表情でマウンドを振り返った。

リアルミュートは、めったに投げない球を投じるノラの実行力を信じ、ノラもまたリアルミュートの意表を突く配球を信じていた。

リスクのある配球で球界屈指の打者を三振に仕留めるのは、やはり格別なのだろうか。

「間違いなくそうだね。サインを出したときは、正直言って、深呼吸した。もしうまくいかなければ、自分を責めることになるからね。でもアーロンが素晴らしい球を投げてくれて、結果的にうまくいった」

3アウトを奪うとノラは満員の観客からスタンディングオベーションを受け、自軍ベンチへ戻って行った。

「こんな試合ができたのは本当に久しぶり。でもチームに勝機をもたらすことができたし、ゼロを積み重ねられた。あとはブルペンがしっかり仕事をしてくれた」

七回はデービッド・ロバートソンが1イニングを三者凡退で2三振。八回はマット・ストラムが1四球を出しながらも無失点で切り抜けた。九回はホワン・デュランが1死から二、三塁のピンチを背負ったが、ジェフ・マクニールとフランシスコ・アルバレスを連続三振に仕留め、1点リードを守り切った。

フィリーズがシチズンズバンクパークでメッツに1−0で勝ったのは、2009年9月13日、デーゲームとナイトゲームのダブルヘッダー第2試合以来のことだった。その試合ではペドロ・マルティネスが8回無失点で勝利投手となり、チェイス・アトリーがジミー・ロリンズをホームにかえして、唯一の得点を挙げていた。

そして今回は、同じく球団の中心選手であるもう一人が大きな違いを生み出した。

「彼が長年ここで見せてきたような投球を見られたのは本当に心強い」とリアルミュートがノラについて語った。「この時期、先発投手の重要性は誰もが分かっている。そんな中で、あれほど強力な打線相手にゼロを並べられたのは本当に頼もしいことだよ」