フィリーズが新たな右翼手を確保、ガルシアと1年契約で合意

契約があと1年残るカステヤノスは退団が濃厚に

12:30 AM UTC

フィリーズはニック・カステヤノスに代わる右翼手を見つけたようだ。

15日(日本時間16日)、関係者によると、フィリーズはアドリス・ガルシアと1年1000万ドル(約15億円)の契約を結ぶことで合意。身体検査の結果待ちのため、球団からの正式発表はまだ行われていない。

32歳のガルシアは、正式に入団が決まれば、右翼のレギュラーを務めることになるだろう。カステヤノスと比較して、少なくとも守備面のアップグレードになる。最善のシナリオは、11月にノンテンダーFAとなってレンジャーズから放出されたガルシアが直近2年間の打撃不振から立ち直り、攻守両面でのアップグレードになることだ。

ガルシアは今季レンジャーズで135試合に出場し、打率.227、19本塁打、75打点、OPS.665、OPS+91(OPS+は100を平均とした打撃指標)を記録。直近2年間ではOPS.675、OPS+96と平均以下の成績にとどまっている。しかし、2021~23年にはOPS.777、OPS+113をマークした実績があり、2度のオールスター選出を果たしたほか、2023年のア・リーグ優勝決定シリーズではMVPに輝いた。

攻撃面では苦戦したガルシアだが、依然として平均以上の守備力をキープしている。ベースボールサバントによると、今季のガルシアはOAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)+1を記録し、規定出場数以上の右翼手36人中12位にランクインした。

一方、カステヤノスのOAAは-12で、右翼手36人中ワーストタイだった。

フィリーズはカステヤノスとの5年1億ドル(約150億円)の契約があと1年残っているにもかかわらず、球団はオフシーズン中に何度も「環境を変えてあげる必要がある」といった趣旨の発言をしてきた。ただし、カステヤノスは近年の成績不振に加え、来季の年俸が2000万ドル(約30億円)と高額なため、関係者によると、フィリーズが数百万ドルを負担する姿勢を示しているにもかかわらず、トレード市場ではほとんど関心を持たれていないという。

ある関係者は、もしカステヤノスがトレードされるとしても、オフシーズンの終盤まで取引は成立しないだろうと予想している。もしカステヤノスの引き取り手が見つからなかった場合、フィリーズはカステヤノスをリリース(年俸を全額負担した上で解雇)するとみられる。

こうした事情もあり、カステヤノスが来年2月、フィリーズの春季キャンプに参加するとしたらサプライズになるだろう。

カステヤノスは今年6月、守備固めのためにロブ・トムソン監督によって交代させられたことに不満を持ち、ダグアウト内で不適切な行動をとり、マーリンズ戦でスタメンから外されたことがあった。その後、9月にもトムソン監督に対する不満を漏らしていた。

フィリーズ移籍後の4年間、カステヤノスは打率.260、出塁率.306、OPS.732、OPS+100を記録。これは攻撃面でリーグ平均レベルの成績だったことを意味する。一方、守備面ではOAA-32と低迷し、これは規定出場数以上の267選手のうちワースト7位の数字だった。

攻撃面が平均レベル、守備面がワーストレベルのため、総合的な貢献度も低く、今季のWARはファングラフス版が-0.6、ベースボール・リファレンス版が-1.0で、ともに規定打席以上の145選手中ワーストに終わった。

対照的に、ガルシアは攻撃面で低迷しながらも守備面で平均以上の水準を維持したため、WARはファングラフス版が0.7、ベースボール・リファレンス版が2.7を記録した。

現時点では、フィリーズの外野陣はガルシア、ブランドン・マーシュ、ジャスティン・クロフォード、オットー・ケンプ、ウエストン・ウィルソンの組み合わせになると思われる。ロースター40人枠に登録されているヨハン・ロハスもポジション争いに加わるだろう。ほかにはペドロ・レオンとガブリエル・リンコネスJr.も40人枠に登録されている。

フィリーズはFAになったハリソン・ベイダーとの再契約に興味を示している。しかし、ある関係者が先週のウィンターミーティングで明かした情報によると、フィリーズはカイル・シュワーバーに続いてJ・T・リアルミュートの引き留めにも成功した場合、ベイダーとの再契約は見送る可能性があるようだ。

シュワーバーは先週、5年1億5000万ドル(約225億円)の大型契約で残留が決定。フィリーズは現在、リアルミュートに対して再契約のオファーを出している。デーブ・ドンブロウスキー編成本部長は先週の時点で、主力2選手が残留する可能性について楽観的な見通しを示していた。

 ガルシア獲得により、外野手補強の優先度が下がり、ベイダーとの再契約を見送る可能性が高まるかもしれない。なお、ベイダーは3年契約を希望していることが報じられているが、実際に3年契約を得られるかどうかは不透明だ。