【マリナーズ6-2ブルージェイズ】シアトル/T-モバイルパーク、10月17日(日本時間18日)
マリナーズに逆転負けを喫したとはいえ、ブルージェイズはア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦の勝利のために全力を尽くした。それを体現していたのが、アレハンドロ・カークの激走だ。
ベンチに戻ったカークを迎えたのは、ブラディミール・ゲレーロJr.。タオルを手に取り、2点目のホームを踏んだチームメートを労うように風を送った。
六回、先頭のカークは、胸筋の負傷からの復帰登板となった、オールスター右腕のブライアン・ウーから二塁打をマーク。その後2死となってから、アーニー・クレメントのタイムリーで本塁まで激走した。
マスクを被れば巧みなリードで打者を翻弄し、打席に立てば鋭い打球で攻撃を牽引する。そんなオールスター捕手のカークは、お世辞にも俊足ではない。今季のスプリントスピード(毎秒24.3フィート=7.4メートル)は、MLBの下位2%に位置する。実際、今季は二塁にカークがいる場面で計11度単打が打たれたが1度も生還しておらず、最後にホームインしたのは2024年8月22日のエンゼルス戦までさかのぼる。
クレメントの打球を右翼のカンゾーンが拾った時点で三塁を回っていたカークに、三塁コーチのカルロス・フェブレスは迷わずに腕を回した。カンゾーンの守備指標の低さを理解していたのだろう、送球は三塁側に大きく逸れ、カークはホームを踏んだ。
カークの激走もむなしく、ブルージェイズは逆転負け。それでも、1点にかける思い、そしてベンチの雰囲気の良さはブルージェイズがまだまだ終わらないことを示している。
