ブレグマンはどの球団に移籍するのか

November 8th, 2025

2025年シーズンが終わり、ストーブリーグが本格的に始まろうとしている。ここでは、フリーエージェント資格を持つ注目選手の1人に焦点を当てる。

名前:アレックス・ブレグマン
ポジション:三塁手
所属:レッドソックス
2026年開幕時の年齢:32歳
2025年成績:114試合出場、打率.273、出塁率.360、長打率.462、18本塁打、62打点、64得点、OPS+128、WAR3.5(ファングラフス基準)
クオリファイングオファー:なし

昨オフ、アレックス・ブレグマンが契約を結ぶまでには2月中旬まで時間がかかった。最終的にレッドソックスと3年総額1億2000万ドル(約182億円)の契約を結び、長いオフシーズンに終止符を打った。

この契約は、ブレグマンを年平均4000万ドル(約61億円)以上を得る史上7人目の選手としたもので、6000万ドル(約91億円)の後払い金と、毎年契約をオプトアウトできる条項が含まれていた。

そしてレッドソックス加入からわずか9カ月も経たないうちに、ブレグマンは再びフリーエージェント市場に戻ってきた。

それはボストンでの時間が終わったという意味ではない。レッドソックスは3度のオールスター、ブレグマンの残留に関心を示している。ただし、今回はクオリファイングオファーの対象外であるため、ブレグマンに対して交渉に乗りやすい球団が増える可能性がある。

ブレグマンは5月下旬に右大腿四頭筋(右太もも)を痛めて負傷者リスト入りするまで、非常に好調だった。7週間の離脱後は成績が落ち、復帰前と復帰後で数字に明確な差が出た。

5月23日までの51試合:打率.299、出塁率.385、長打率.553(OPS .938)、17二塁打、11本塁打、35打点(226打席)

7月11日からシーズン終了までの63試合:打率.250、出塁率.338、長打率.386(OPS .724)、11二塁打、7本塁打、27打点(269打席)

前半の数字は、ブレグマンが健康なら期待できる水準のサインと言えるのか。今オフは、昨オフに縁のなかった長期契約を引き当てられるのか。それとも再び短期かつ高額年俸の契約に落ち着くのか。

ここから、オフのシナリオを考えていく。

有力候補

レッドソックス
ブレグマンはボストンでうまく機能した。三塁手としてメジャー定着初年度にアストロズのコーチだったアレックス・コーラ監督と再会し、ボストンの若い中心メンバーに対して頼れるベテランとして存在感を示した。レッドソックスは、シーズン途中のトレードでラファエル・デバースの契約を手放した後だけに、潤沢な資金があるはずだ。もっとも、今オフに大型補強を狙うなら、ピート・アロンソのような長打力のある打者を獲得し、三塁はマルセロ・メイヤーに任せてみるという考え方も成り立つ。

タイガース
昨オフ、ブレグマンの最有力候補はデトロイトと見られていたが、タイガースの提示額(最長6年総額1億7150万ドル=約263億円)では届かなかった。A.J.ヒンチ監督(ブレグマンの前アストロズ監督)の存在は三塁手にとって魅力であり、今季ア・リーグ中地区で失速しただけに、積極補強に動いても不思議はない。三塁はザック・マッキンストリー、アンディ・イバニェス、コルト・キースが主に起用され、ポジション別OPSはア・リーグ最下位の.628。ブレグマン、もしくは他の強化は急務だ。

フィリーズ
フィリーズは変化を必要としているチームに見える。カイル・シュワーバー、J.T.リアルミュート、レンジャー・スアレスらがフリーエージェントだけに、編成の転換があってもおかしくない。三塁のアレック・ボームはフリーエージェントまで残り1年で、ここ1〜2年と同様にトレード市場で名前が挙がりそうだ。もしフィリーズがシュワーバーと再契約しないなら、その資金でブレグマンを獲得し、三塁でボームより上積みを図る選択肢がある。

マリナーズ
シアトルはトレード期限で一、三塁を補強し、ジョシュ・ネイラーとエウヘニオ・スアレスをダイヤモンドバックスから別々の取引で獲得した。両者は現在フリーエージェントでマリナーズはネイラーの再契約を望む一方、三塁にはブレグマンという興味深い適材がいる。実際、昨夏のトレード期限前にも、もしレッドソックスが放出に動けば獲得を検討していた。ただし、長期契約が予算面でどこまで許容できるかは別問題だ。

カブス
カブスは昨オフ、4年1億3000万ドル(約199億4700万円)を提示してブレグマン獲りに動いた。マット・ショウは後半戦に11本塁打、OPS .839、さらに堅実な守備でゴールドグラブ賞の最終候補にもなり、三塁は弱点ではないように見える。それでも、カイル・タッカーが他球団へ去る可能性がある中で、カブスには資金の余力が生まれる見込みで、創造的な補強に踏み切る余地はある。

メッツ
ブレグマンがメッツにフィットするかどうかは、同じく2年連続でフリーエージェント市場に出ているピート・アロンソの去就次第だ。アロンソが残留すれば、ブレグマン獲得の可能性は低い。一方でアロンソが他球団と契約するなら、マーク・ビエントスを一塁へ回し、三塁をブレグマンに任せる道が開ける。デービッド・スターンズ編成本部長は、2015年ドラフト全体2位でアストロズがブレグマンを指名した当時、アストロズのアシスタントGMを務めており、スター三塁手をよく知っている。

編成幹部の見立て
「32歳シーズンに入るブレグマンは、優勝を狙える球団との高額年俸の契約を優先し、そのために契約年数の長さはある程度犠牲にするだろう。依然として多方面で勝利に貢献できる選手だ」

留意点
2018年と2019年のブレグマンは、殿堂入りが話題になるレベルの爆発的シーズンだった。しかしfWARが7.9と8.3だったその2年以降、この6年間の合計fWARは20.9(年平均は3.5弱)。打席での選球眼と堅実な守備は健在だが、32歳シーズンに入ることを踏まえると、2018〜2019年の水準が再び現れると期待し過ぎない方がよいブレグマンはどの球団に移籍するのか

比較材料
2月に合意した3年1億2000万ドル(約184億円)の契約は、6000万ドル(約92億円)の後払いと毎年のオプトアウト権(契約破棄条項)を含んでいた。今オフは長期契約を探る見込みだが、32歳の年齢を考えると、5〜6年が上限かもしれない。仮にそれ以上の年数を勝ち取るなら、年平均額は上がり、マット・チャップマン(6年1億5100万ドル=約232億円)やウィリー・アダメス(7年1億8200万ドル=約279億円)を上回る総額保証に到達する可能性がある。