べシア、昨季出場かなわなかったブルージェイズ戦で魂の登板

April 9th, 2026

ドジャースのアレックス・べシアはいつもマウンドで感情を表に出す。それがオープン戦でも、10月のポストシーズンであろうと。

ブルージェイズ戦でもそれは変わらず、トロントの第2戦で、七回無死満塁のピンチを無失点で切り抜けた。試合の流れを大きく左右する場面だったが、ベシアにとっては単なる緊迫した場面以上の意味を持っていた。

昨年10月、ベシアと妻ケイラさんは、生まれたばかりの娘スターリング・ソルちゃんを亡くすという深い悲しみを経験した。家族に寄り添うため、ベシアはワールドシリーズの全試合を欠場。その間、チームメートの救援陣は彼の背番号「51」を帽子に着けて戦い、思いを一つにしていた

ワールドシリーズと同じ舞台でのブルージェイズ戦、べシアはチームの連覇を決めたあの最終局面の記憶を思い出した。昨年10月、もしかしたら自分もこの舞台に立っていたかもしれない。そんな複雑な感情が呼び起こされた。

「この2日間は正直つらかった。スタンドに妻がいてくれてよかった。きょうはダグアウトのすぐ後ろにいてくれて、登板後は特に彼女の方を見ていたよ」

そして51番はこう続けた。

「それでも、マウンドにいる間は最高だった。アドレナリンも観客の声もあって、自分はああいう雰囲気で力をもらえるタイプなんだ。1球1球に集中できたし、素晴らしい登板だったと思う。チームとしても最高の勝利だった」

愛娘を亡くしたことについて初めて公の場で語った際、ベシアは、野球が自身の回復の過程で大きな支えになっていると明かしている。オフシーズンにはスプリングトレーニングに向けた準備が前に進むための目標となり、キャンプに合流してからは「兄弟のような存在」と語るチームメートと過ごす時間が、彼を前へと進ませてくれた。

結束の強いドジャースの中でも、ブルペンはひとつの“家族”のような存在だ。第2戦の大一番での登板を終えたあと、今季ここまでの救援陣の好調について語るべシアの表情には、自然と笑みが浮かんでいた。

昨季、ドジャースのブルペンは防御率4.27、27回のセーブ失敗を記録し、いずれもメジャーで7番目に多かった。しかし今季は12試合を終えた時点で、防御率3.21。終盤のリードを失ったのも、トロントでの最終戦の1度だけと安定感を見せている。

オフにクローザーとして加入したエドウィン・ディアスの存在も大きい。九回を任せられる絶対的な存在ができたことで、チームはそれまでのイニングでより有利なマッチアップを組めるようになった。ディアスの存在がもたらす安心感に加え、「昨季よりも良いブルペンだ」という集団としての自信も、今季の好調を支えている。

「自分たちで高い基準を設定しているし、今年はいいスタートが切れていると思う。自信も感じられるし、九回にディアスがいるというのは本当に心強い。ほぼ“決まり”みたいなものだから」

そして、ベシア自身の復帰もまた大きな意味を持っている。昨年のワールドシリーズであれば、無死満塁の場面で誰を投入するかは不透明だったかもしれない。

しかし今週は違った。

「重要な場面だったし、彼を信頼している。ああいうピンチをしのいで、(山本)由伸の好投を守ってくれる投手がいるのは本当に大きい」と指揮官はべシアを称賛した。