アンドリュー・ジョーンズ、9回目の挑戦で殿堂入りなるか

全盛期10年間のパフォーマンスはメジャー全体でもトップクラス

2:30 AM UTC

アンドリュー・ジョーンズはジョージア州アトランタのバックヘッドにある同じ寿司店で過去8回のアメリカ野球殿堂入り投票結果発表番組を視聴してきた。そして、ここ数回は、より楽観的な気持ちで店を出ることができた。

実際、ジョーンズは9回目の挑戦となる今回の殿堂入り投票で球界最高の栄誉を手にする可能性がある。しかし、元ブレーブスの名選手は、過剰に興奮するのではなく、1996年、19歳のときにワールドシリーズの最初の2打席でいずれも本塁打を放った当時のような落ち着きを保とうとするだろう。

ジョーンズは「投票結果がどうなるか、何が起こるかは全く予想できない。(投票対象になってからの)最初の数年間は(殿堂入りできるかどうかを)全く意識していなかった。結果を見て、殿堂入りした選手をお祝いするくらいだった。でも、殿堂入りの可能性が見えてくると、友人や家族から『今年こそ殿堂入りできると思う?』とか、いろいろ聞かれるんだ」と語った。

2026年度の殿堂入り投票の結果は、1月20日(日本時間21日)にMLBネットワークの番組内で発表される。名中堅手として鳴らしたジョーンズにとって9回目の挑戦だ。殿堂入り投票の対象となるのは最長10年。10回目までに得票率75%をクリアできなかった場合、記者投票による殿堂入りの資格を失う。

「発表を楽しみにしているよ。毎年楽しみなんだ。でも、実際に結果が出るまで、あまり期待しすぎないようにしている」とジョーンズは言う。

近年は、投票対象となってからの数年間はあまり得票率が高くなかった選手が徐々に支持を伸ばし、最終的に殿堂入りを果たすケースが増えており、ジョーンズはその傾向が継続することを願っている。例えば、2025年度の投票で殿堂入りを果たしたビリー・ワグナーは、ラストチャンスとなる10回目の挑戦で選出された。1回目の得票率は10.5%に過ぎず、最初の4回はいずれも20%未満。しかし、徐々に得票率を伸ばしていき、最後の3回で大きくジャンプアップ(2023年度68.1%/2024年度73.8%/2025年度82.5%)して殿堂入りを決めた。

ジョーンズの過去3回の得票率は58.1%(2023年度)、61.6%(2024年度)、66.2%(2025年度)と着実に伸びている。最初の2回は8%未満だったが、8年間で大幅に上昇した。

スコット・ローレンは2023年度の投票で殿堂入りを果たすまで、ジョーンズと同じような軌跡をたどり、2018年度に10.2%だった得票率は、その後17.2%(2019年度)、35.3%(2020年度)、52.9%(2021年度)、63.2%(2022年度)、76.3%(2023年度)と右肩上がりで伸びた。

今回から新しく投票対象になる選手の筆頭はコール・ハメルズとライアン・ブラウンだが、ジョーンズに比べると、殿堂入りの有力候補とは言えない。そのため、ジョーンズが得票率を10%近く伸ばし、ブレーブス時代の同僚であるチッパー・ジョーンズ、グレッグ・マダックス、トム・グラビン、ジョン・スモルツらの仲間入りを果たす可能性は十分にある。また、当時の監督であるボビー・コックスと当時のゼネラルマネージャー(GM)であるジョン・シャーホルツも殿堂入りを果たしている。

ジョーンズが殿堂入りを果たすまでにこれほど長く待たなければならなかったのは、どんなにクレイジーなことだろうか。

元同僚のチッパー・ジョーンズは「本当にクレイジーだ。10年間のスパンで、彼は10度のゴールドグラブ賞に輝き、平均30本以上のホームランを打ったんだ。打点も1000近く稼いだと思う(正確には10年間で1034打点)。あれだけの成績と実績を持つ選手は誰だって殿堂入りすべきだよ。各ポジションで最高の守備力を持っていた選手は殿堂入りしないといけない。アンドリューは、私個人の意見では、歴代でもトップ2~3に入るほどの守備力を持つセンターだ」と力説する。

外野手としてゴールドグラブ賞を10度以上受賞したのはメジャー史上6人だけ。ジョーンズ以外の5人(イチロー、ウィリー・メイズ、ロベルト・クレメンテ、アル・ケーライン、ケン・グリフィーJr.)はいずれも殿堂入りを果たしている。

1998年から2007年にかけて、ブレーブスの正中堅手として10年連続ゴールドグラブ賞を受賞した期間中、ジョーンズはメジャーの全野手で3番目のWAR57.6(ベースボール・リファレンス版)を記録。これを上回るのはアレックス・ロドリゲス(80.0)とバリー・ボンズ(71.0)だけだ。ジョーンズの57.6という数字は、チッパー・ジョーンズ、トッド・ヘルトン、アルバート・プホルスの54.9を上回っている。

シーズン30本塁打以上を7度記録し、2005年にはメジャー最多の51本塁打を放って本塁打・打点の二冠を獲得。しかし、最も際立っていたのはセンターで見せた抜群の守備力であり、現在でも多くの人々が「史上最高の守備力を持つセンター」であると考えている。

1998~2007年の10年間で、ジョーンズが記録した守備WARは24.2。これは同期間では断トツの数字であり、2位のローレン(15.1)や7位のイバン・ロドリゲス(13.5)といった殿堂入り選手にも大差をつけている。

確かに、ジョーンズはキャリア後半に急激な衰えを見せた。ドジャース、レンジャーズ、ホワイトソックス、ヤンキースでプレーしたメジャー最後の5年間(2008~12年)、OPS+の数値は95。つまり、30代前半の時点でジョーンズの打撃力はメジャー平均(100)を下回っていたということだ。

しかし、19歳でメジャーデビューして大きな注目を集めたジョーンズは、1998年からの10年間、一流選手として実力を発揮し続けた。23歳でデビューし、30代中盤で衰え始める選手に対して寛容な姿勢が求められるのであれば、19歳でデビューし、10年間にわたって攻撃面でも守備面でもトップクラスであり続けたジョーンズも許されるべきだろう。9回目の挑戦、ジョーンズに歓喜の瞬間は訪れるだろうか。