多くの大学アスリートにとって、一度でもドラフトで名前を呼ばれることは幸運だ。だがブライス・ベッチャーは違う。異なる競技で、2度その瞬間を迎えた。
2024年のMLBドラフトでアストロズから13巡目指名を受けてから2年後、ベッチャーはインディアナポリス・コルツから今年のNFLドラフト4巡目でラインバッカーとして指名された。
オレゴン大学で2つの競技を掛け持ちしていたベッチャーは、2024年シーズン終了をもって野球の出場資格を使い切った。この年は56試合で打率.276、出塁率.372、長打率.500、12本塁打を記録し、Pac-12(西海岸を拠点とする全米大学体育協会(NCAA)の主要カンファレンスの1つ)のオールディフェンシブチームにも選出された。一方でアメリカンフットボールの出場資格は1年残っており、アストロズとの特別な合意のもと、大学に残って最後のシーズンをプレーしていた。昨季はチームトップの136タックルを記録し、オレゴンをカレッジフットボール・プレーオフ進出へと導いた。
日本の大学であれば考えづらいが、アメリカでは大学スポーツでの”二刀流”は決して珍しくない。近年は専門化が進んでいるものの、競技ごとに明確にシーズンが分かれていることもあり、アメリカの大学アスリートは複数の競技を行うことが可能だ。
過去には、MLBとNFLでともにオールスターに出場したボー・ジャクソンや、ワールドシリーズとスーパーボウルの両方に出場したことのあるディオン・サンダースなどがいる。もちろん、例外的な選手であることに変わりはない。
なお、NFLコンバイン(合同トライアウト)に参加した際には、現在はアメフトに集中していると語った。
「スーパーボウルに勝ちたい。だから今は完全にアメフトに集中している。野球では誰かにタックルできないからね。野球も好きだけど、アメフトはより“生きている”って感じさせてくれるんだ」
もともとは野球の奨学金でオレゴン大学に進学し、2021年に大学生活をスタートさせた。その翌年、高校時代からクォーターバックとして高評価を受けていたベッチャーは、ダン・ラニング新監督の下でプレーするためフットボール部にウォークオン(テスト入部)で参加した。そこからの3年間、身長6フィート2インチ(約188センチ)、体重232ポンド(約105.2キロ)のベッチャーは、フットボールでは先発ラインバッカー、野球では先発外野手として二刀流の活躍を見せた。
