試合開始の3時間前から、スタジアムの入口へと続くブルーカーペットの両脇に列ができていた。
ユニフォームを着た地元の女子ソフトボールチームの子どもたち、タロンズ、バンディッツ、ヴォルツ、ブレーズのTシャツを着た若者たち、そしてイリノイ州をはじめ各地から訪れた家族連れが、AUSL(Athletes Unlimited Softball League)初の公式戦に胸を躍らせていた。
記念すべき開幕戦では、バンディッツが三回にエリン・コーフェルの2点三塁打でリードを奪い、3-1でタロンズを下した。
第2戦は七回終了時点で同点のまま延長線へ。延長八回にマッケンジー・クラークの左中間のスコアボードを越える特大の3ランを含む4得点で、ヴォルツがブレーズに5-1の勝利を収めた。
バンディッツの正捕手コリ・マクミランの母であるカーラ・ダンカンはその感慨を語った。
「今季の大学ソフトボールが始まった頃(2月)には想像もしていなかった。娘にとって大学の先にもプレーする舞台があって、そして次の世代へも続いていく。本当にうれしくて夢のようです」
開場と同時に最高の席を確保すべく、観客はスタジアムに駆け込んだ。女子ソフトボールの子どもたちはホームベース後方の席に座り、タロンズ対バンディッツの歴史的初戦を特等席で観戦することとなった。
AUSLアドバイザーのナターシャ・ワトリーは「ここからは、ただフィールド上の才能に任せて楽しむ時間。本当に価値があるのは、フィールドにあるこのプロダクト(試合)そのものです」と語った。
以下は、そんな開幕2試合での主な記念すべき瞬間である。
1. 初本塁打、初得点
プロ初打席が初本塁打。そんな夢のような打席を迎えたのが、タロンズのシエラ・サッコだ。バンディッツの先発レクシー・キルフォイルからAUSL史上初の本塁打・打点を記録した。サッコはミシシッピ州立大学の最終学年で11本塁打を記録し、AUSLドラフトでタロンズから全体5位指名を受けた。
この時、バンディッツの左翼手ブバ・ニクルズ=カマレナがマイクを着けて実況中継に登場していた。満員の光景の感動を語った直後に、サッコが歴史的な一発でファンを沸かせた。
2. 初安打
一回表が三者凡退で終わった後、バンディッツの中堅手モーガン・ザークルがタロンズ先発モンタナ・ファウツから二塁打を放ち、リーグ初安打を記録。打球は記念用に回収された。
ザークルは2024年にアスリート・アンリミテッド・プロ・ソフトボールで史上初の通算1万ポイントに到達した選手。ファウツはアラバマ大学出身で、2022年のワールドゲームズで13三振・防御率0.00を記録し、アメリカ代表の金メダルに貢献した。
3. 伝説たちの始球式
AUSLコミッショナーのキム・アングが「ようこそ、私たちのホームへ」と観客に挨拶し、ナターシャ・ワトリー、ジェニー・フィンチ、ジェス・メンドーサといったソフトボール界のレジェンド3名を紹介した。彼女たちが揃って始球式を務め、開幕戦に華を添えた。
4. クラークのダメ押しとなる3ラン
延長八回表、ブレーズ相手に2-1とリードを奪ったヴォルツは、さらなる追加点を狙っていた。すると、マッケンジー・クラークがウィチタ州立大学のウィルキンズ・スタジアムで、左翼スコアボードの上を越える特大の3ランを記録。勝利を決定づける一発を放った。
5. ブレーズの火消し役
エマ・レムリーは、ブレーズの先発アリーシャ・オカシオの後を受けて登板し、三回に1-1の同点で迎えたピンチを引き継いだ。2死満塁の場面で、レムリーはミランダ・ストッダードを見逃し三振に仕留めピンチを切り抜けた。
6. 「母の強さ」が歴史を刻む
ブレーズの球団史上初となる打点を記録したのは、ダニエル・ギブソン・ウォートンだった。息子ホイットリーを出産して以来初の打席で先制点をもたらすタイムリーヒットを記録した。
7. チームごとの登場演出
新リーグの初戦にふさわしく、選手紹介にも工夫が凝らされた。各選手はチームを象徴するセットを通って登場。ハヤブサの爪が名前の由来であるタロンズは、緑と白の巨大な翼の間からまさに爪を掲げながらの入場。NPF(ナショナル・プロ・ファストピッチ)に所属していたチームシカゴ・バンディッツを由来とするバンディッツは、西部劇風の扉を押し開けてフィールドへ。どちらもチームの特徴を生かした演出で観客の注目を集めた。
8. 記念すべき初勝利
バンディッツは開幕戦を3-1で制し、記念すべき初勝利をマークした。キルフォイルが4回1失点、5安打、3三振で先発として試合を作り、テイラー・マクイリンが3回無失点で試合を締めた。攻撃ではコッフェルの2点三塁打が勝負を決めた。
9. MLBレジェンドたちも来場
観客席にはジョー・トーリ(元ヤンキース監督)とケン・ウィリアムズ(元ホワイトソックス副社長)の姿も。AUSLコミッショナーのキム・アングは、ホワイトソックス時代にウィリアムズと共に仕事をしていた経験がある。
トーリは試合中のインタビューで「この身体能力の高さと躍動感がたまらない。選手たちの情熱が伝わってくる」と語った。
