「やられるつもりはなかった。無我夢中だった」
ブルワーズのジェイク・バウアーズが、三回にドジャースの山本由伸と繰り広げた「7分間、12球の死闘」を振り返った。
ナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦。三回2死一、二塁の場面で、バウアーズはファウルで粘って山本に12球を投げさせ、四球を選んだ。その粘りがイエリッチの逆転打につながり、ブルワーズは山本を早い回でマウンドから引きずり降ろした。
約7分間に及んだ打席について、バウアーズは「そんなに長く感じなかったよ。30秒くらいに感じた」と笑顔で振り返った。
フルカウントからの6球目、内角低め97マイル(約156キロ)をファウルにすると、そこから6球連続でファウル。最後まで食らいつき、山本に簡単にはアウトを与えなかった。
「粘れ、粘れ、粘るんだ」
心の中でそう言い続けていた。
「正直、すべての球に対応しようとしていたわけじゃない。ただ、自分が打てそうだと思える球が来るまで粘ろうと思った。粘っていれば、いつか打てる球が来るかもしれない、その一心だった」
山本が投球の合間にいらだった表情を見せることもあったが、バウアーズの意識は目の前のボールに集中していた。
「ボールしか見えていなかった」
野球では、極限まで集中し、周囲が見えなくなる状態を「トンネルに入る」と表現することがある。バウアーズもまた、山本との勝負の中で、目の前の一球だけに意識を研ぎ澄ませていた。
12球目、山本のカーブが外れて四球を選び、満塁に。続くイエリッチがカーブを捉えて2点タイムリーを放つと、イエリッチは打席を終えたバウアーズに手を上げ、粘りの勝負をたたえた。
「毎試合、こんな展開で相手投手を攻略できるわけじゃない。でも、簡単には投げさせない。1番から9番までの全員がその意識を共有していれば、特別なことが起こる」
バウアーズが山本に投じさせた12球、約7分間の死闘は、ブルワーズがチーム一丸となって強敵を攻略する姿勢を象徴していた。