【コラム】ヤンキース新星ベン・ライス、スペイン語で築く絆

ニックネームはスペイン語で米を意味する「アロス」

June 28th, 2025

ヤンキースの若手捕手兼一塁手、ベン・ライス(26)の特技はスペイン語だ。

彼の別名はスペイン語でライス(米)を意味する「ベン・アロス」。仲良しのスペイン語圏の選手たちは彼をそう呼ぶ。

チーム内でライスのスペイン語の語学力が知られるようになったのは昨年7月、メジャー昇格2週間後のレッズ戦でのことだ。初回にライスはエリー・デラクルーズの鋭いライナーをジャンプして好捕。その数イニング後、四球で出塁したデラクルーズに、ライスがスペイン語で「¿Qué tal?(元気?)」と軽く声をかけると、デラクルーズは「お前、スペイン語話せるのか!」とびっくりし、笑顔になった。

ライスは「ただ『ハロー』って挨拶しただけだよ」と謙遜するが、ヤンキースの三塁コーチ、ルイス・ロハスは「第二の通訳としても使える」と評価する。

ライスがスペイン語を学び始めたのは中学1年生のとき。マサチューセッツ州コハセットの学校でフランス語かスペイン語を選択する際に、「スペイン語の方が役立つと思った」と学び始め、その後、ダートマス大学でもスペイン語の授業を履修し、文学や文化のクラスで言語力を磨いた。授業では会話やエッセイもスペイン語で行われ、基礎を超えたレベルまで勉強した。

スペイン語はマイナー時代から大きな武器となった。特に捕手として投手とのコミュニケーションで、スペイン語は重要だったと語る。プロ入り後も、ドミニカ共和国やベネズエラ出身選手との会話で、学校で学んだ標準語に加え、ドミニカやベネズエラの訛りや会話スピードに慣れる努力を続けている。

このスキルがチーム内の絆を深めた例がある。

ドミニカ出身の右腕フアン・カレラ(現ホワイトソックス傘下)とは特に親しく、カレラはライスを「Ben Arroz(米=ライスのスペイン語名)」と紹介し、TikTokで複数の動画を投稿。そのうち一本は200万回以上再生され話題となった。

「スペイン語のおかげで築けた友情だね。英語だけじゃここまで分かり合えなかった」と語る。

子供たちにはこうメッセージを送る。

「言語は早く始めた方がいい。野球をやっている子なら、授業をただ受けるだけじゃなく、真剣に学んだ方がいいと思う。将来必ず役立つ。全部完璧に話せなくてもいいけど、努力する姿勢が大事だから」

チームメートとの橋渡し役を担いながら、自らのキャリアを築くライス。そのスペイン語力は今後もヤンキースの大きな財産となりそうだ。