まさかの連敗スタート 「カムバック・キッズ」の本領発揮なるか

October 14th, 2025

ブルージェイズ3-10マリナーズ】トロント/ロジャーズセンター、10月12日(日本時間13日)

ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の第2戦を落とし、まさかの本拠地で連敗スタートとなったブルージェイズ。今ポストシーズンで初めて本格的な逆境に直面する中で、敵地シアトルへ向かう。

今、トロントとシアトル間の空のどこかで、ブルージェイズは再び「らしさ」を取り戻さなくてはならない。ア・リーグの第1シードとしてここまで勝ち上がってきたブルージェイズは今季レギュラーシーズンで、MLBトップとなる49度の逆転勝利。「カムバック・キッズ」と呼ばれるようになった。まさに、今その力が求められている。

「このチームに対しては常に楽観的でいるつもりだ」とジョン・シュナイダー監督は語った。

「全体的に見れば、もっと点を奪わなければいけない。3点差を追いついた選手たちは本当によくやったと思う。ただ、ここ2試合は相手の方がより多くスイングして結果を出した。それがすべてだ。われわれは失点を抑え、得点を増やしていかなくてはならない」

ア・リーグ地区シリーズでヤンキースを圧倒したブラディミール・ゲレーロJr.は、一転してこのALCSでは7打数無安打に終わっており、自らに矛先を向けた。

「もっと攻撃面を改善しなければならない。たとえば自分自身、大事な打席で結果を出せなかった。自分たちはただ勝ちにいくしかない」と悔しさをにじませた。

マリナーズの先発は第3戦がジョージ・カービー、第4戦がルイス・カスティーヨの予定。ともに、10日(日本時間11日)の15回まで続いたALDS第5戦で救援として投げたが、ALCSでは1球も投げていない。

ポストシーズンの歴史を見ても、7戦4勝制のシリーズで2勝0敗とリードしたチームは93回中78回(83.9%)でシリーズを制している。現行の2戦→3戦→2戦方式では、第1戦と第2戦を敵地で連勝したチームは27回中24回(88.9%)で勝ち抜いている。

最後に第1、2戦を落としてから逆転勝ちしたのは、2023年のナ・リーグ優勝決定シリーズでフィリーズに勝利したダイヤモンドバックスだが、ホームで最初の2戦を落としてから逆転した最後のチームは、1996年のワールドシリーズでブレーブスに勝利したヤンキースまでさかのぼる。

ブルージェイズの強みを示すデータや数字は多い。しかし、選手やコーチ陣が決まって口にするのは、もっとシンプル。結局はクラブハウスの雰囲気が全てだと語る。そして、それこそが自分たちの「超能力」の源だと信じている。

「このチームの選手たちは、シーズンを終わらせたくないんだ。わかるだろう?どんな結果になろうと、彼らはどこかで宿泊先を借りて、一緒に冬を過ごすつもりなんじゃないかな」とシュナイダー監督はチームの結束力について語る。

「これが意味しているものは大きい。彼らは次に進むことが本当にうまい。それは簡単なことじゃない。彼らは『今、何が大事か?』とすぐに切り替えられる能力を持っている」

このクラブハウスの雰囲気こそが、新人や控え選手がチャンスをつかみ、期待以上の活躍を見せることを可能にしている。もちろん、ゲレーロが本塁打を連発するのがシリーズ勝利への最短ルートだが、現実は甘くない。しかし、レギュラーシーズンも、全員野球で勝ち抜いてきた。

「ここにいる選手たちはみんな、たくさんの試合をこのクラブハウスでプレーしてきた。勝つこともあれば、負けることもある。それが野球というもので、このチームは最後まで見限らない方が良い。特別なチームなんだ」とトレイ・イェサベージは語った。

監督からのメッセージはシンプルだ。

「全力で戦い、いつも通りのプレーをしろ」

新しい発想や奇策を試す時ではない。ブルージェイズがア・リーグ第1シードとしてポストシーズンを迎えたのは、理由がある。162試合という長いシーズンは運だけでは勝ち抜けない。

ブルージェイズは、自分たちが厳しい状況にいることを理解している。まだ若いゲレーロでさえ、これまでに3度ポストシーズンで敗退を経験しており、そのたびに悔しさは増している。それでも今回は、これまでで最も頂点に近づいている。試合後、ロッカーの前に立った主砲は、同じ言葉を繰り返していた。今はそれだけが全てだ。

「シアトルに行って、勝つ」