3日(日本時間4日)、フリーエージェント(FA)の外野手カイル・タッカーがフロリダ州ダニーデンにあるブルージェイズの選手育成施設を訪れたと、関係者がMLB.comに明かした。
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2025年のワールドシリーズでドジャースと第7戦の延長戦に及ぶ熱戦を繰り広げたブルージェイズは、その思い出に満足しているわけではない。
今オフは先発右腕シェーン・ビーバーが驚きのプレイヤーオプション(選手の契約延長権)行使で残留すると、FA市場のトップ先発であるディラン・シースと7年の大型契約を結び、さらに韓国球界から逆輸入で右腕コディ・ポンセと3年契約を結んだ。一連の補強で先発ローテは球界屈指の陣容に生まれ変わり、打線も依然として強い。しかし、ブルージェイズはまだ強打者の補強に動いている。
タッカーはフロリダ州タンパ近郊に住んでいるため、訪問は容易だった。ブルージェイズが28歳のスラッガーの獲得に関心を持っていることを物語っている。タッカーの契約金は3億ドル(約467億円)を超える可能性がある。ブルージェイズは内野手ボー・ビシェットとの契約にも関心を示しているが、ビシェットは既に10年近く球団に在籍しているため、ガイド付きツアーは不要だろう。
これは、2年前にブルージェイズが大谷翔平獲得を目指した時の状況と酷似している。その時もブルージェイズは大谷にダニーデンの施設を紹介した。今回の獲得には、ロス・アトキンスGMが実際にどこにいるのか明かすことを拒否したあの有名なオンライン会見のようなドラマは伴わないだろうが、それでも賭け金は極めて高い。(2年前、当時FAだった大谷がブルージェイズの施設を訪問するため、アトキンスGMはウインターミーティング会場に不在。定例の会見をオンラインで行った)
タッカーがブルージェイズにフィットしていることは明らかだ。タッカーのような才能はどんな球団にも合うが、「ブルージェイズ野球」を特徴づける要素をすべて備えている。これは2025年チームが打ち出した新しい概念だが、今後も定着するだろう。タッカーは三振せずにボールをインプレーにし、出塁し、その全てを力強いアプローチでこなす。過去5年間は毎シーズンOPS.865、20~30本塁打を記録している。そして、ブルージェイズにはジョージ・スプリンガーやマイルズ・ストローらアストロズ時代のチームメイトたちが揃っており、環境への適応も問題ない。
そして、タッカーはブルージェイズのポジションの問題も埋める。レギュラーセンターのドールトン・バーショと外野手兼DHのスプリンガーは、来季終了後にFAとなる。2選手が退団すれば、両翼のアンソニー・サンタンデールが主にDHを務めることは確実。その場合は外野のポジションは空きが出る。ネイサン・ルークス、アディソン・バージャー、デービス・シュナイダーといった優秀な選手はいるが、ブルージェイズが自前でオールスター級の外野手を育てた前例はあまりない。オールスター常連のタッカーはまさに必要な存在だ。
もちろん、お金は重要だ。タッカーの契約額は、フアン・ソトや大谷が結んだ大型契約には遠く及ばない。大谷の7億ドル(約1088億円)の半分にさえも到達するのは難しいだろう。しかし、どんな契約になるにせよ、シーズンあたり3000万ドル(約46億6200万円)以上になる可能性が高い。ブルージェイズはすでにブラディミール・ゲレーロJr.とシースに高額の契約金を支払い始めているが、財務状況は今後数年間良好な見込みだ。オーナーグループのロジャース・コミュニケーションズが断固たる決意を固めている限り、ブルージェイズは、負担となる契約を残さず、財政難を引き起こすようなシーズンを迎えることなく、この支出を維持できる体制が整っている。
ブルージェイズがタッカーに興味を持っていることは以前から明らかだった。今や、タッカーの側にもブルージェイズと契約に関心を抱いていることが明らかになった。ダニーデンにある改装された選手育成施設はブルージェイズにとって大事なセールスポイントだ。大物FAの獲得は、もはやブルージェイズにとって慣れないことではない。大物を釣り上げる喜びを熟知し、30年以上ぶりにワールドシリーズに進出し、球団史上最高のシーズンを終えたばかりだ。カナダ全土のファンに野球への愛を再び呼び起こし、ブルージェイズはさらなる高みを目指す。
