トレイ・イェサベージの伝説的な投球で勢いに乗るブルージェイズは、ワールドシリーズ(WS)第6戦をホームで迎えるだけでなく、歴史的にも追い風を受けている。
球団史上初の連覇を達成した1992年と1993年、そのどちらのワールドシリーズ制覇も第6戦で決まった。1993年のタイトル決定シーンは、いまも何度も映像で流されている。ジョー・カーターがフィリーズ相手に放ったサヨナラ本塁打。スポーツ史に残る名場面の一つだ。
つまり、ブルージェイズがWS第6戦に戻ってきた事実自体が、“物語の結末”を思わせる舞台を整えているということだ。とはいえ、今回もハッピーエンドを手にするには、第2戦で今ポストシーズン2試合連続となる完投勝利で1失点に抑え、打線を完全に封じた山本由伸(27)という巨大な壁をどう攻略するかが鍵になる。
「本当に、本当にエリートな投手が素晴らしい投球をした」
第2戦後、DHのジョージ・スプリンガーはそう語った。
「ああいう状態の彼から得点するのは難しい。今季ずっと彼を見てきて分かっていることだ」
ドジャースは今シリーズで、他の29球団でもエース格になり得る先発投手を4人起用してきた。ブルージェイズはスネル、グラスナウ、そして大谷に対しても一定の突破口を作ったが、山本だけはこの粘り強い打線を完全に飼いならし、わずか105球で九回を投げ切った。
この難題を乗り越えるには、ブルージェイズ打線が得意とするやり方、粘って球数を投げさせ、打球を前に飛ばすことを徹底する必要がある。第2戦では山本に対してゴロアウト11本、フライアウト3本と狙いの一部は出たものの、8奪三振で多くの時間を支配し、三回1死から20打者を連続で打ち取った。
<6が幸運の数字になるか>
ブルージェイズが山本を攻略するための鍵のひとつは、三振をいかに減らすかだ。数字を見れば明らかなように、山本は今季(ポストシーズンを含む)、6三振以上を記録した試合では、5三振以下の試合と比べて圧倒的に好成績を残している。
6奪三振以上の試合(ポストシーズン含む)
37試合
227回1/3
1試合平均6.1回
防御率1.94
WHIP 0.86
奪三振率32.4%
与四球率6.5%
被本塁打率0.55(9イニングあたり)
5奪三振以下の試合(ポストシーズン含む)
19試合
83回2/3
1試合平均4.4回
防御率4.52
WHIP 1.37
奪三振率17.5%
与四球率9.4%
被本塁打率1.29(9イニングあたり)
山本が多くの三振を奪う試合こそ、最も状態が良い時だと言える。
<球種の見極め>
今ポストシーズンで唯一の“悪い登板”となったフィリーズ戦(4回6安打3失点、1四球)では、山本の決め球であるカーブとスプリットを追いかけない方針を徹底した。これにより三振はわずか2、空振りも大きく減った。
山本のカーブ+スプリット対フィリーズ:
7%のチェイス率(ストライクゾーン外のカーブ+スプリッター14球中1スイング)
0%の空振り率(カーブ+スプリッターに対する8スイングで空振り0)
※「チェイス」とは、ストライクゾーンのボール球をスイングすること
他の2025年ポストシーズン全登板(WS第2戦を含む)での山本のカーブ+スプリット:
41%のチェイス率(ストライクゾーン外92球中38スイング)
36%の空振り率(84スイング中30空振り)
WS第2戦での山本のカーブ+スプリット:
48%のチェイス率(ストライクゾーン外29球中14スイング)
36%の空振り率(31スイング中11空振り)
ブルージェイズがカーブとスプリットを見極めて振らずにいられれば、第2戦のときよりはるかに攻略の可能性は高まる。もちろん言うは易く行うは難しで、山本は勢いに乗っており、必要な場面では両球種をストライクゾーンで正確にコントロールできる。
「いやあ、あれだけイニングを投げた後で少しは疲れていてくれればいいんだが」とジョン・シュナイダー監督は言った。
「彼は特殊だ。6〜7種類の球を持っているように見えるし、試合が進むにつれて違う投手に“変身”できる。こちらは頑固でなければいけない。常にスイングの準備をして、どういうスイングをするかについても頑固であるべきだ。要はそこに尽きる」
