パイレーツが打線強化に成功、三角トレードでラウを獲得

メジャーワーストの打線に強打の二塁手が加入

December 19th, 2025

パイレーツは19日(日本時間20日)、三角トレードによって打線強化に成功した。パイレーツはレイズから二塁手ブランドン・ラウ、外野手ジェイク・マンガム、救援左腕メイソン・モンゴメリーの3選手を獲得。先発右腕マイク・バローズをアストロズへ放出した。

また、今回のトレードでは、レイズがアストロズから複数のプロスペクト(若手有望株)を獲得している。

パイレーツは今季、得点、本塁打、OPSがいずれもメジャー最下位に終わり、今オフは打線強化を目指していた。今回のトレードはその第一歩と言えるだろう。

ラウはパイレーツの2つの補強ポイントに合致する選手だ。それは「内野手」と「左打ちの強打者」である。ラウは今季、553打席で31本塁打を放ち、打率.256、出塁率.307、長打率.477を記録。この活躍により、キャリア2度目のオールスター選出を果たした。

パイレーツとレイズは、フロリダ州オーランドで行われたウィンターミーティングの際に、トレード交渉を前進させていた。ラウの契約は残り1年で、年俸は1150万ドル(約17億2500万円)。補強資金に余裕があるパイレーツにとって妥当な金額だ。

トレードの詳細

パイレーツ獲得:二塁手ブランドン・ラウ、外野手ジェイク・マンガム、左腕メイソン・モンゴメリー

アストロズ獲得:右腕マイク・バローズ

レイズ獲得:外野手ジェイコブ・メルトン(アストロズの球団2位の有望株)、右腕アンダーソン・ブリトー(同7位)

マンガムは今季、新人ながら428打席で打率.296、出塁率.330、長打率.368を記録。あまりパワーはない(今季わずか3本塁打)が、バットをボールに当てる能力が高く、守備・走塁でも貢献できる選手だ。ベースボールサバントによると、この両打ちの外野手は、走塁(今季27盗塁)の得点価値で+3を記録し、OAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)も+6をマークした。外野3ポジションを守ることができ、エラーは1つもなかった。

29歳のマンガムは2019年ドラフト4巡目指名でプロ入り。大学時代にはサウスイースタンカンファレンスの最多安打記録も樹立している。

モンゴメリーは今季46イニングを投げて1勝3敗、防御率5.67に終わったが、各種データはチームに貢献できる可能性を示唆している。フォーシームは平均98.7マイル(約159キロ)を計測し、空振り率35.8%を記録。どちらもメジャー上位3%以内に入る数字だった。フォーシームとスライダーのコンビネーションで打者を抑え、ゴロ率と被ハードヒット率(打球初速95マイル=約153キロ以上の打球割合)も平均以上。しかし、制球面に課題を残し、四球率12.9%と苦戦した。三振率は30.1%と高く、25歳の左腕はさらなる成長を遂げる可能性を秘めている。

バローズは長年にわたってパイレーツの有望な投手として注目されてきた1人であり、今季は新人ながら96イニングを投げ、2勝4敗、防御率3.94、97三振とまずまずの成績を残した。2023年にトミー・ジョン手術を受け、メジャーデビューは2024年のシーズン終盤まで延期されたが、チェンジアップを武器に好投を見せ、他球団がトレードでの獲得を狙うほどの存在となった。

パイレーツは今オフ、先発投手の層の厚さを生かし、トレードによる打線強化を目指してきた。先発投手をトレードで放出するのは今月2度目であり、レッドソックスとのトレードでは右腕ヨハン・オビエドを放出し、強打の有望株ジョスティンソン・ガルシアを獲得している。

バローズを放出したため、パイレーツの開幕ローテーションは以下のようになりそうだ。

  1. ポール・スキーンズ
  2. ミッチ・ケラー
  3. ババ・チャンドラー
  4. ブラクストン・アッシュクラフト
  5. ハンター・バルコ

上記の布陣は、5月に右肘の手術を受けたジャレッド・ジョーンズが開幕に間に合わないことを前提としている。ベン・チェリントンGMはフロリダ州オーランドで行われたウィンターミーティングの際、打線強化のために先発投手のトレードに応じる意向を示していたが、その一方で、先発要員の頭数を確保するために外部からの補強に動く可能性もある。ほかにもトーマス・ハリントン、有望株のアントワン・ケリーとウィルバー・ドテル、今季は先発とリリーフを兼任したカルメン・マジンスキーといった投手がいるものの、計算できるベテランを加えるのは理にかなっていると言えるだろう。

一方、野手の配置については、現時点では以下のようになりそうだ。

捕手:ジョーイ・バート/ヘンリー・デービス
一塁手:スペンサー・ホーウィッツ
二塁手:ブランドン・ラウ
三塁手:ジャレッド・トリオロ
遊撃手:ニック・ゴンザレス/コナー・グリフィン(全体1位の有望株)
左翼手:ジェイク・マンガム/ジョスティンソン・ガルシア
中堅手:オニール・クルーズ
右翼手:ブライアン・レイノルズ

今オフのパイレーツの補強は、これで終わりとはならないだろう。チェリントンGMは野手の層を厚くし、打線の「確実性」を高めることを目指している。ラウの加入により、計算できる打者は増えたが、内野手の層をさらに厚くしていく必要があり、指名打者のスポットで活躍できる強打者の獲得も急務だ。

なお、パイレーツは現在、ロースターの40人枠がフルに埋まっているため、3選手の獲得に伴い、放出したバローズのほかに、枠を2つ空ける必要がある。