ダイヤモンドバックスが大物フリーエージェント(FA)選手の意外な移籍先候補として浮上するのは、珍しいことではない。
USAトゥデーのボブ・ナイチンゲール記者は16日(日本時間17日)、ダイヤモンドバックスがFAのスター三塁手、アレックス・ブレグマンを「調査中」と報じた。
これは驚きだった。なぜなら、今オフのダイヤモンドバックスは先発ローテーションとブルペンの強化に注力しており、ブレグマンのような大物FA選手を獲得するだけの資金的余裕はないと思われていたからだ。
しかし、オフシーズンのたびに、人々がダイヤモンドバックスのペイロール(年俸総額)計画について記事を書く際、「状況は変わる可能性がある」という但し書きが添えられるのには理由がある。それは、十分な理由があると判断すれば、オーナーのケン・ケンドリック氏が予算を増額することが過去に何度もあったからだ。
昨オフ、ダイヤモンドバックスがFAの大物投手、コービン・バーンズを獲得することを誰も予想していなかった。バーンズはダイヤモンドバックスの本拠地があるフェニックス地域に住んでおり、ブレグマン同様、スコット・ボラス氏が代理人を務めている。
バーンズは地元球団のダイヤモンドバックスでプレーすることを望んでいた。ボラス氏がその旨をケンドリック氏に伝え、ケンドリック氏はチームがポストシーズン進出を目指す中で、最高のFA投手を獲得する好機だと考え、マイク・ヘイゼンGMに対してペイロールを引き上げることを許可。その結果、今季開幕時点のペイロールは球団史上最高の約1億9500万ドル(約292億5000万円)に達した。
ケンドリック氏は、バーンズ獲得を正式発表した際に「私たちは非常に競争が激しい地区にいる。しかし、ファンの皆様には、チームが成功するために全力を尽くしていることを理解していただきたい。近年、いくつかの成功があり、現在のチームは優勝できる可能性を秘めていると思う。どの街の人々もチームの優勝を望んでいるし、特にこの街の人々は優勝することを強く願っている。そして、私たちの仕事は予算の範囲内で可能な限り最高のチームをフィールドに送り出すために、あらゆる努力をすることだ。予算を最大限に活用することが重要だ。これまでもそうしてきたし、今回が最後にはならないだろう」と話していた。
ダイヤモンドバックスは2023年にワールドシリーズ進出を果たした。翌2024年のスプリングトレーニングでは、ボラス氏の顧客である左腕ジョーダン・モンゴメリーが未契約のまま残っていたため、ケンドリック氏はヘイゼンGMに対して予算を増額した上でモンゴメリーを獲得することを許可した(契約時の代理人はワッサーマン、ジョエル・ウルフ氏)。
モンゴメリーとの契約はダイヤモンドバックスにとって成果を生まなかったが、バーンズとの契約について評価を下すのは時期尚早だ。バーンズは今季、右肘の内側側副靱帯を断裂するまで好投していた。トミー・ジョン手術を受けることになり、来季はオールスターブレイク前後の戦列復帰が見込まれている。
しかし、ケンドリック氏と球団社長のデリック・ホール氏が勝利のために全力を尽くしているという事実は変わらない。可能であれば、予算を限界まで拡大する準備があり、場合によっては限界を少し超えるくらいまで増額するつもりだ。
ソロカの獲得とケリーの復帰により、先発補強の優先度は下がったが、ヘイゼンGMはこれまでにも「投手が多すぎるということはない」と主張してきた。要するに、何人いても足りなくなる可能性があるということだ。今季の戦いを思い出してほしい。シーズン開幕に向けて、ダイヤモンドバックスはバーンズ、モンゴメリー、ザック・ギャレン、ケリー、ブランドン・ファート、エデュアルド・ロドリゲス、ライン・ネルソンと7人の先発投手を抱えていた。しかし、バーンズとモンゴメリーは負傷離脱し、ギャレンは前半戦で苦戦。ロドリゲスもギャレン同様に苦戦が続いた。
こうした実績に加え、「投手陣は決して十分ではない」という発言を考慮すると、ヘイゼンGMが先発投手の補強を終えたとは考えにくい。そして、もう1つの課題であるブルペンの補強はまだ行われていない。
ダイヤモンドバックスはオールスター二塁手のケテル・マルテへのトレードのオファーに耳を傾けており、マルテ放出の見返りとして有力な投手の獲得を狙っているとみられる。
マルテの対価として、保有可能期間が長く残っている安価な投手を獲得できれば、ブレグマンを獲得するための予算に余裕ができるかもしれない。ただし、ペイロールの上限が不明のため、ハッキリとしたことは言えない。
ダイヤモンドバックスはブレグマンと契約し、投手補強のためにマルテを放出する可能性がある。あるいは、ブレグマンと契約し、マルテも残し、若手有望株とのトレードで投手補強を狙う可能性もある。
もちろん、マルテを残し、ブレグマンとは契約せず、別の方法で投手補強を目指す可能性もあるだろう。創造的なフロントオフィスを擁し、利益よりも勝利を優先するオーナーがいるため、何が起こるか予想するのは難しい。
