ブルワーズのブライス・トゥランが、攻守両面でチームを牽引している。
今季はここまで45試合で49安打、7本塁打、29打点、打率.290、OPS.895。昨季の18本塁打、28二塁打を上回るペースで数字を積み上げている。
もともと守備力には定評があったが、成長を支えているのは打席での変化だ。
四球が増え、チェイス率(ボール球スイング率)も改善。出塁率.410はリーグ5位で、出塁能力の高さが数字にも表れている。また、FanGraphsのWARランキング(総合的な勝利貢献度を示す指標)では2.2でメジャー13位につけるなど、リーグ全体でも上位の評価を受けている。
3月のワールドベースボールクラシック(WBC)では米国代表の二塁手としてプレー。トップ選手たちとの時間も、その後の成長の土台になっている。
WBC前、トゥランは「チームメートから多くを学びたい」と語っていた。その言葉通り、「みんながどう準備して、どう試合に臨んでいるかを見ることができたのが大きかった。選手としてだけでなく、人としても学ぶことが多かった」と振り返る。
特に親しくなったのが、米国代表の主将を務めたヤンキースのアーロン・ジャッジで、「本当に素晴らしい選手で、すごく前向き。いつも応援してくれた。一緒に過ごして話ができたのは特別な経験だった」と話す。
現在ナ・リーグ中地区首位のブルワーズでは2番を務める一方、WBCでは下位打線を任された。異なる役割を経験したことも、今季の好成績を支えている。
「打撃では特別に何かを変えたわけではなく、毎打席しっかり準備することを意識している。それがボールの見極めにもつながっているのかもしれない」
今季はメジャー3年目。1年ごとに経験を積み重ね、その一つ一つをプレーに生かす。
「どんな経験でも必ずプラスになる。成功も失敗も、すべてが成長につながる」
元メジャーリーガーの父を持ち、早くから頭角を現した。15歳で米国代表としてワールドカップに出場し、銀メダルを、17歳では金メダルを獲得するなど、常にチームの中心を担ってきた。しかしメジャーでは、与えられた役割を受け入れながら、自らの立ち位置を築いていくことが求められた。
パット・マーフィ監督は今季の進化について、「ただの長距離打者ではなく“打者”になろうとしている。優れた打者になるには四球を取れなければいけない。球界最高の打者たちはみんな四球を選べるからね」と話し、「メジャーでは役割を受け入れること、謙虚さが必要なんだ。トゥランはどんな役割でも受け入れてチームのために動き、信頼を勝ち取ってきた」とその姿勢を高く評価する。
指揮官はトゥランをWBCに送り出す際、「トップ選手から多くを学んできてほしい」と期待を寄せていたが、「たくさん学んできたようだ。それに、世界最高の選手たちが彼を認めていた。それを本人が感じられたことも自信につながっている」と表情を緩めた。
ジャッジに「うちのチームにほしい」と言わしめた24歳は、リーグ屈指の万能型へと階段を上り続けている。