NLCSの鍵 ドジャースはブルワーズの走力を止められるか

全員が走れるブルワーズ 正捕手スミスは右手の負傷を抱える

October 13th, 2025

13日(日本時間14日)から開幕するナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)。第1戦に先発するドジャースのブレイク・スネルは、第1シード・ブルワーズへの対処法を心得ている。

「塁に出させないのが目標だ」

もちろん機動力を武器とするブルワーズ相手であれば、それはどの投手にも同じことだ。しかし、仮にブルワーズ打線に出塁を許しても、スネルは次善の策を用意している。

「どの走者が塁に出たかによる。ブルワーズのことを研究した。誰が走れるのか、誰が走れないのか、どのカウントで走るのか、すべてだ。どんなシチュエーションも十分に理解できているし、準備万端だ」

ただ、ブルワーズにとっては誰が走者かどうかはほとんど関係ない。

レギュラーシーズン中にリーグトップの164盗塁をマークしたブルワーズは、全員に走力がある。チーム盗塁王のブライス・トゥラングは24盗塁に過ぎないが、14盗塁以上を記録した選手が7人も揃う。1920年以降、14盗塁以上を記録した選手が今季のブルワーズより多かったのは史上6チームしかいない。

「打線全体にスピードがあれば、内野ゴロを内野安打にできるし、1つ先の塁を奪う走塁もできるし、盗塁もできる。すべて重要だ。それらが長いシーズンでももちろん重要だが、最後まで接戦で1点が勝負を分けることもあるポストシーズンでは非常に重要になってくる」

そう語るのはブルワーズの一塁コーチを務めるフリオ・ボーボンだ。

ただ、ブルワーズはカブスとの地区シリーズ(NLDS)の第4戦までは、盗塁を1つも決めていない(第5戦では2盗塁したが、得点には結びつかなかった)。

それは、カブスが盗塁阻止においてリーグで最も優れたチームだったことも関係している。カブスがレギュラーシーズン中に許した盗塁は、リーグで3番目に少ない80個だった。

ドジャースと戦うNLCSではどうだろうか。

正捕手ウィル・スミスは、健康であれば、盗塁阻止にかけては屈指の実力者だ。スミスは今季リーグ平均の23.2%を上回る盗塁阻止率27.2%を記録。昨季はリーグトップの33.3%を記録した。

しかし、スミスは9月3日に利き手の右手を骨折し、いまだ回復途上にある。レギュラーシーズン最後の3週間を欠場し、ワイルドカードシリーズ(WCS)ではロースター(出場選手登録)漏れ。フィリーズとのNLDSでは最初の2戦はベンチスタートだった。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督はブルワーズの走塁を警戒している。

「ブルワーズが塁上で積極的に攻めてくることには、間違いなく気を配っている。私たちは捕手陣の盗塁阻止力に自信を持っている。しかし、投手陣も様々なアプローチで走者を抑え、注意を払わなければならない。十分に分かっていることだが、ブルワーズが塁上で機敏に攻めてくるのは間違いない」

ブルワーズを塁上で勢いに乗せるのは非常に危険だ。レギュラーシーズンにおいて、ブルワーズは1盗塁でも決めた試合で66勝30敗(その条件でMLB2位の勝率)。一方で、盗塁を決めていない試合では、31勝35敗にとどまった。

ブルワーズのパット・マーフィー監督は盗塁の重要性を誰よりも知っている。

「盗塁の脅威は他の何より重要だと、私はずっと言ってきた。盗塁の脅威が引き起こす混乱は計り知れない。投手が投球を急かされて、制球が甘くなるように仕向けることもできる。それは(数字では)測れないだろう?」

鍵を握るのは、スミスの右手がブルワーズの走塁を抑えられるほど回復しているかどうかだ。

フィリーズとのNLDSでは、スミスが捕手だったときにフィリーズは5回中4回盗塁に成功。しかし、その1回の盗塁失敗もスネルの牽制によるものだった。それ以外では俊足のトレイ・ターナーが2度試みて、2度成功。ブライソン・ストットとマックス・ケプラーが1度の企図で盗塁を決めた。

ブルワーズはスミスをシリーズ序盤で試すだろうか。

そう問われたトゥラングは「自分たちらしくプレーできたことが、ここにいる大きな理由だと思う。ミーティングなどでそのことについては話し合うつもりだが、結局、自分たちが得意とするプレーをするだけだ」と語った。

ボーボン一塁コーチはこう付け加えた。

「スミスがどれだけ優れた捕手であり、どれだけ優れた送球をするかは分かっている。そして当然のことながら、そういった点については、フィールド上でできる限りのことをしたいので、より深く観察することになる。だから、注意深く見守ることになる」