ブルワーズ、地区シリーズ初戦で打線爆発、序盤の猛攻で第1戦を圧勝

October 5th, 2025

ブルワーズ9−3カブス】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月4日(日本時間5日)

ブルワーズのパット・マーフィー監督は、リーグ上位2球団に与えられる5日間の休養期間をどう過ごすべきか助言を求めようと“伝説のローロデックス(人脈帳)”を開いた。5日間というのは一見短いようで、ポストシーズンという最も充実した期間を待ちきれないチームにとっては、永遠にも感じられる。殿堂入り監督のジョー・トーリが助言をくれた。旧友ジョー・マドンも同様だった。

その共通した意見は。

「全員がこう言ったんだ。『最悪だよ、ほんとに最悪だ』ってね」
マーフィー監督はそう明かした。

ブルワーズは、レギュラーシーズン終盤を「足を引きずるような状態で」(マーフィー監督の表現)乗り切り、3年連続の地区優勝とリーグ最高勝率をつかんだチームとして、この空白期間をどうプラスに変えるかに取り組んだ。

そして迎えたナ・リーグ地区シリーズ第1戦。アメリカンファミリーフィールドでカブスを9-3で下したブルワーズの打線は、夏場の連勝街道を思わせる勢いを取り戻していた。助言はしっかりと実を結んだようだった。

初回は11人が打席に立ち、6点を奪った。中3日で先発したカブス左腕マシュー・ボイドを、1945年ワールドシリーズ以来となるカブス投手のポストシーズン最短イニングで降板させた。二回にも3点を加え、フレディ・ペラルタの5回2/3、休養十分の救援陣の好投、そして明らかにホーム寄りの観客の後押しに乗って、因縁の相手同士による5戦3勝方式シリーズの初戦をものにした。

「すごい歓声だった。ブルワーズのファンの声しか聞こえなかった。最高の時間だった」

二塁手ブライス・トゥランはファンの熱気をそう語った。

「特に最初の数イニングは電気が走るような雰囲気だった」とクリスチャン・イェリッチは語った。

「ああいう試合は最高だ。ああいう舞台でプレーするために生きている」

ポストシーズンの歴史を振り返ると5戦3勝で勝ち抜ける方式のシリーズで第1戦に勝ったチームは、156回中113回(勝率72.4%)でシリーズを制している。現在の2戦→移動日→2戦→移動日→1戦の方式で行われる地区シリーズに限定すると、第1戦をホームで勝ったチームは54回中40回(勝率74.1%)で次のラウンドに進出している。

開閉式ドームが開き、気温は29度。夏のような雰囲気の中でもカブス対ブルワーズの顔合わせが10月の戦いとして特別なものであることは、試合前から明らかだった。

チケット販売の事情に詳しい複数のブルワーズ関係者によると、このシリーズの再販市場は他の3つのプレーオフシリーズほど活発ではなかったという。それは、対戦相手が決まる前に地区シリーズのチケットを確保していたブルワーズファンが、カブスファンに転売して利益を得る誘惑に打ち勝ってくれた証しであることを願っていた。

その空気は、ペラルタがブルペンに向かって投球練習を始めた瞬間、そして元ブルワーズ監督のクレイグ・カウンセルが率いるカブスが試合前の紹介で並んだ瞬間に、はっきりと表れた。スタンドを埋めたのは、明らかにブルワーズファン。決して半々ではなかった。

「彼ら(ファン)は試合を左右する存在だった」とマーフィー監督は語った。

「選手たちもそれを感じ取っていた。経験の浅い選手が多く、初めてポストシーズンを戦う若い選手もたくさんいる。だからこそ、責任感を強く持っている。きょうのようにしっかり準備ができていたのは素晴らしかったし、ファンの存在が大きな後押しになった。初球から彼らは試合に入り込んでいた」

地元ファンの声援に感謝した。

「まだ本当に強いチームがたくさん残っている。もちろん、相手の攻撃はたたみかけてくる」とカブスの一塁手マイケル・ブッシュは試合後に語った。

さらに「あとはそれに反撃し続けること。最後のアウトを取られるまで、手を止めないことだ。きょうはそれをしっかりやれたと思う。ただ、結果的に一歩及ばなかっただけだ」と続けた。

ブルワーズの序盤の猛攻は、まさに容赦なかった。

6日ぶりの実戦となった初回、ブルワーズはカブス二塁手ニコ・ホーナーの珍しい失策にも助けられ、6得点を挙げた。これは球団ポストシーズン史上最多に並ぶビッグイニングとなった(1982年ワールドシリーズ第4戦の七回、2011年ナ・リーグ優勝決定シリーズ第1戦の五回=いずれもカージナルス戦=でも6得点を記録している)。

展開は一瞬だった。中3日で先発したボイドは初回、わずか6球でジャクソン・チューリオ、ブライス・トゥラン、ウィリアム・コントレラスに二塁打を許し、逆転を許した。

また長い時間をかけた打席も勝利につながった。守備型の中堅手ブレイク・パーキンスが2死からこの試合で最長かつ最重要の打席を作り、11球の粘りの末に2点タイムリーヒットをセンター前へ運んでボイドを降板に追い込んだ。カブスはリリーフ投手を序盤から注ぎ込まなければいけなくなった。この11球の勝負は、2018年ナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦でヘスス・アギラルが放った11球粘っての二塁打に並ぶ、ブルワーズのポストシーズン最長の打席記録となった(ポストシーズンの投球ごとのデータは2000年以降)。

ブルワーズは二回も攻勢を続けた。ケイレブ・ダービンの2点タイムリーで8-1となった時点でブルワーズは打点を記録した選手が5人に達し、チームのアウト数4を上回っていた。

チューリオのタイムリー内野安打で9-1となった時点では、この2年目のスターは3打数3安打3打点。二回終了時点で3安打に到達したのは、ポストシーズン史上初めてだった。しかもその時点で、カブスの9番打者、三塁手のマット・ショーはまだ打席に立っていなかった。

チューリオはそのプレーで右太もも裏に張りを感じて交代。ホームチームにとって唯一の痛手となった。

だが、5日間の休養明けの鈍りは…。ブルワーズには微塵も見られなかった。

「うちは粘って、打席で食らいついていくチームだ。これがうちらのやり方で、うちらそのもの。これがアイデンティティだ」

ブレイク・パーキンスはそう語った。

長い中断があっても同じだ。

「もし結果が出なければ、みんな『休みのせいだ』って言い出して、言い訳を並べるだろう」とマーフィー監督は試合前に語った。

「ルールは分かっていたし、こういう仕組みなのも分かっていた。シーズン最多勝のチームは称えるべきで私たちはその現実に向き合うだけだ。『不快』で、しかも競争的なワークアウトにしたかった。それはできたと思う。ただ(本番と練習は)同じにはならない。ファンを入れても、紅白戦をしても、いろいろできるが、同じにはならない。この競技は、実戦と同じ強度で練習するのが難しい」

それでも、1日と2日に非公開で行った練習は、しっかり効果を上げた。

「正直、ときどき自分でも『どうやってここまで、できているんだ?』って思う」とパーキンスは言った。

「すごくいい感覚だし、その一員でいられるのは本当に楽しい」と結んだ。