ハーパー、トレード放出の噂に「不快」

October 25th, 2025

ブライス・ハーパー(33)は、どうやら不満を抱いているようだ。

フィリーズのスター選手は25日(日本時間26日)、『ジ・アスレチック』の取材に対し、デーブ・ドンブロウスキー編成本部長の発言とそれに続いたトレードの憶測に「傷ついている」と語った。

「僕はフィラデルフィアに来たときからすべてを捧げてきた。それなのに今、トレードの話が出ている?」とハーパー。

「こんなことにはならないように、ずっと努力してきた。ワシントン(ナショナルズ)時代にも同じ話ばかり聞かされて、あのときも嫌だった。すごく不快に感じる」

10月16日、記者からハーパーの2025年シーズンについて
「今季は成績が落ちた年。ここから下り坂に入ったわけではないと考える理由は?」
と問われ、ドンブロウスキー氏はこう答えた。

「彼は今もクオリティの高い選手であり、オールスター級の選手である。(今季は)過去のようなエリート級のシーズンではなかった。ここから再びエリートに戻るのか、それとも良い選手として続くのかは、これから分かるだろう。リーグ全体を見渡すと……フレディ・フリーマン。彼は本当に優れた選手だよね。今も良い選手だ。ただ、以前と同じ意味でエリートかと言えば、おそらくそこまでではない。フレディは素晴らしい選手で、私にとってブライス(ハーパー)も同じだ。もう一段上に再び上がれるのか。そこは私にも分からない。最終的には彼自身が決めることだ」

「彼は今季の出来に満足していないと思う。繰り返すが、悪い年だったわけではない。ただ、ブライス・ハーパーという名前を聞けば“エリート”が浮かぶ。野球界のトップ10に入る選手を思い描くだろう。今季はそのカテゴリーには当てはまらなかったと考える。ただし、非常に良い選手であることに変わりはない。まだ老け込む年齢ではない。そこで横ばいになる選手もいれば、再び上がっていく選手も見てきた」

33歳のハーパーは今季、打率.261、27本塁打、75打点、OPS.844をマークした。ただし右手首の炎症で約1カ月間離脱している。OPSは2016年(.814)以来で最も低く、OPS+も2019年(126)以来最低の129だった(OPS+は100が平均)。
それでもハーパーのOPSは、規定打席到達者145人の中で22位に位置している。

「選手は誰だってケガをするものだ」とハーパー。

「僕は今年手首を痛めて1カ月離脱した。当然、フルシーズンの数字にはならなかった。チームへの貢献を疑問視されるのは残念だ。その考え方を聞いて本当に傷ついた。フィラデルフィアを心から愛しているからこそ、余計にね」

ドンブロウスキー本部長の発言を「ハーパーへの発奮材料」と受け取った人もいた一方で、13年総額3億3000万ドル(約502億円)の契約8年目に入るハーパーをフィリーズがトレードしたがっている兆候ではないかと推測する声もあった。

しかし、それはまったく事実ではない。
第一にハーパーには「メジャー10年&同一球団5年以上でトレード拒否権」があり、契約には29球団へのトレード拒否条項がある。
第二に、フィリーズのオーナー、ジョン・ミドルトンはハーパーを深く信頼している。

いずれにせよ、ドンブロウスキー本部長は23日の動画ポッドキャスト番組『Foul Territory』でこの憶測を公の場で完全に否定した。

「この話が勝手に一人歩きしている」とドンブロウスキー氏。

「『フィリーズがブライス・ハーパーをトレードするかもしれない』なんて話を読んだが、これほど事実と違うことはない。私たちは彼を愛しているし、素晴らしい選手だと思っている。チームにとって非常に重要な存在だ。彼が(今季より)もっと良いシーズンを送ったことも知っているし、またそうなると期待している」

ハーパーは、シーズン終了後にドンブロウスキー編成本部長やミドルトン球団オーナーから連絡を受けていないという。
だが、近いうちに話をすることになるかもしれない。

「ポジションを変えたり、ケガから予定より早く復帰したり、チームに全力で尽くしてきた」とハーパー。

「それなのに、いまだにトレードの話が出てくる」と複雑な心境を抱えている。