チェイス・デローターのスイングには、何とも言えない独特の魅力がある。美しいと感じる人もいれば、ぎこちなく見える人もいるだろう。
短く鋭いフォームは、奇しくも同じ名前のチェイス・アトリーに似ているような気もする。名前に引っ張られているだけかもしれないが。
見方や印象は人それぞれ。しかし、一つだけ確かなのは、デローターがこのスイングで打ちまくっているということだ。
「これはチェイスのスイング。自分のスイングだ。それだけ。誰かのマネとかではないよ」とデローターは今週語った。
デローターはルーキーシーズンで素晴らしいスタートを切っている。MLBパイプライン全体43位のプロスペクトは、最初の12試合を終えてOPS1.008を記録し、5本塁打でメジャー最多タイとなっている。
24歳の主砲は、理想的な打撃内容を見せている。芯で捉える確率が多く、打球は強く、打球角度も良い。ボール球を追いかけることも、空振りも少ない。
しかしやはり注目されるのはそのスイングである。非常に適応力が高く、タイミングの取り方も優れている。多様な投手、多様な球種に対応し、単打だけでなく本塁打として打球を飛ばしている。
5本のホームランを見れば、その適応力が分かる。例えば、マリナーズのアンドレス・ムニョスが投じた時速97マイル(約156キロ)の外角高めの速球は、逆方向への一発。一方でカブスのハンター・ハービーの97マイル(約156キロ)の速球は、引っ張ってスタンドへ運んだ。さらにマリナーズのローガン・ギルバートやジョージ・カービーのようなエース級投手の変化球にも対応できる。そしてクーパー・クリスウェルが真ん中に甘く入ったカットボールを投じた際には、打球速度111.1マイル(約178.8キロ)の強烈な打球を放った。
デローターのスイングの特徴は適応力の高さ。そして、それを可能にしているのがスイングの中の動きであり、最も特徴的なのが、後ろ足の動きである。
デローターは、メジャーリーグの打者の中で最も大きく後ろ足を動かすスイングを持っている。特に強く打球を捉えたとき、後ろ足は体の後方へ大きく蹴り出される。
「正直、なんでこのフォームなのかは分からない。ずっと同じスイングをしてきたし、打撃コーチに教えてもらったことがない。ただ、体が自然に動いているだけ」とデローターは語る。
Statcast(スタットキャスト)の打撃スタンスデータを使うことで、スイング開始から終了までの動きを正確に追跡できる。可視化されたデータでは、デローターの後ろ足は開始位置から1フィート(約30センチ)以上移動していることが分かる。
デローターの後ろ足の移動量は今季に限らず、2023年にスタットキャストがバットトラッキングを導入して以降、最大の数値となっている。
この動きはマイク・トラウトやブライス・ハーパーのようなスーパースターに似ている。デローターは昨年10月に、子どもの頃の憧れがトラウトだったと語っている。
「自分が見ていたとき、彼は本当にすごかった。フィールドで最高の選手だった。子どもの頃は、そういう選手みたいになりたいと思うものだよ」とデローターは語った。
トラウトもスイング中に似た動きを見せ、後ろ足が体の後方へクロスする。一方、ハーパーはパワーを生み出す際に後ろ足が前方へ引きずられる動きをする。
デローターはその両方の要素を持ち、さらにトラウトやハーパー、コービン・キャロル、ジュニオール・カミネロ、ジャレン・デュランといった後ろ足の動きが大きい打者よりも、さらに大きな動きをする。
スイング中の後ろ足の移動量(主な選手)
チェイス・デローター:14インチ(約35.6センチ、MLB最大)
コービン・キャロル:10インチ(約25.4センチ)
ジュニオール・カミネロ:10インチ(約25.4センチ)
ジャレン・デュラン:10インチ(約25.4センチ)
マイク・トラウト:9インチ(約22.9センチ)
ブライス・ハーパー:8インチ(約20.3センチ)
「子どもの頃はYouTubeで彼らの動画を見ていた。でも自分のスイングは自然にこうなっただけ」とデローターは説明する。
後ろ足の動きだけが、デローターを優れた打者、そして新人王候補にしているわけではない。しかし、その動きがなければ彼の美しく、独特で、効果的なスイングは成立しない。
※MLB.comのティム・ステビンスも本記事の制作に協力しています
