【ヤンキース9-0オリオールズ】 ニューヨーク/ヤンキースタジアム、6月21日(日本時間22日)
ノーヒットノーランまでアウト6つ。快挙を目前とした中での降板にクラーク・シュミットの胸中に葛藤がなかった訳がない。
しかし、冷静な右腕は降板の理由も理解していたはずだ。7回で自身最多の103球。本人にまだ投げたいという闘志は間違いなくあっただろうが、最終的には慎重な判断を下した。
「七回を終えた時に聞こえた歓声には本当に感謝している。マウンドを降りるときにスタンディングオベーションを受けるその感覚は言葉では言い表せない。特にホームのこの球場では一人一人の思いが伝わるよ」とシュミットは振り返った。
チームは4本のソロ弾もあり、オリオールズに9-0で大勝。1安打完封リレーで攻守が完璧に噛み合った。
初回に2つの四球を出したものの、シュミットはその後オリオールズ打線を9人連続で打ち取り、四回にライアン・オハーンに死球を与えるまで出塁すら許さなかった。そこからは降板するまで走者を1人も許さず、11人連続でアウトに打ち取った。
ヤンキースの最後のノーヒットノーランは、2023年のドミンゴ・ヘルマンによる完全試合。ただ七回の後、シュミットとアーロン・ブーン監督の会話は短いものだった。
指揮官は気温約30度の蒸し暑い日で五回からシュミットのスタミナが落ちていることを感じていたとコメント。シュミット本人も「七回までに力を出し尽くした」とそれを認めた。
「私も歴史が作られる瞬間を見たかったが、彼は限界だった。投球は素晴らしかったが体力的には厳しい日で、五回の時点で長くは持たないと分かっていた。6日空けての次の登板を彼も楽しみにしているだろう」と監督は説明した。
シュミットはプロ入り後、何度も負傷に悩まされてきた。ヤンキースはまだレギュラーシーズンを86試合残しており、ポストシーズンを勝ち進むにはシュミットが万全でいることが不可欠だ。本人も、もっと投げたかったという気持ちの反面、慎重になる重要性を理解している。
「できる限り長い回を投げたいと思っているが、103球であと2回を残しているとなると、もっと大きい視点で考えないといけない。難しい判断だったし、フラストレーションもあるが、130球投げる価値があるかどうかは分からない」
シュミットに代わったのは、2022年10月4日以来のメジャー登板となる右腕ブルベイカー。G.サンチェスに6球目を弾かれ、センターへのヒットを許し、ノーヒットはここで終了となった。
これに場内からブーイング。しかしそれは打たれたブルベイカーに対してというより、シュミットが完投のチャンスを奪われたこと、そしてサンチェスのハーフスイングにストライク判定を下さなかった塁審の判定に対してだった。
この日は、ショートのアンソニー・ボルピーにとっても重要な一戦となった。24打席連続無安打のスランプを、本塁打を含む3安打で脱出。不調の中でも自身を信頼してくれた球団への期待に最高の結果で応えた。
スランプを破ったのは三塁線への内野安打。次の打席では右翼へ本塁打を放ち、六回にはシングルヒットも加えて、5月24日のロッキーズ戦以来となる猛打賞を記録した。
「素直に最高の気分だったし、自分のアプローチに満足している。内野安打を冗談っぽく語ることもあるけど、その次の打席で芯で捉えられてよかった」
最高の結果を残したボルピーだが、明日は休養日としてベンチスタートの予定。シュミットの継投と同様に、こういった判断は現代野球における選手のコンディション調整を象徴している。
「すぐにまた出られると良いね」とボルピーは語った。
