37歳カーショウ、球数制限で見せる進化

先発陣全体としても好調の1カ月に

August 29th, 2025

8月26日(日本時間27日)のレッズ戦。ドジャース先発のクレイトン・カーショウは、14人連続で打者を打ち取り、五回のマウンドを終えた。この時点で球数は72だったが、ブルペンでは、エドガルド・エンリケスが肩を作り始めていた。案の定、五回の攻撃が終わってもカーショウはベンチに座ったまま。エンリケスがマウンドに上がり、六回をゼロで抑えた。

「今夜は明らかに長いイニングを投げられる状態ではなかった。ドク(ロバーツ監督)がそれを理解して正しい判断をしてくれた」とカーショウは振り返った。

5回1失点、6三振、無四球という素晴らしい内容にもかかわらず、カーショウは「最初からベストの状態ではないとわかっていた」と明かした。それでも修正を重ね、レッズ打線を圧倒。しかし、普段より1日短い、中4日での登板だったことも踏まえれば、五回で降板となったのも頷ける。

かつてならこうした決断は受け入れがたいものだったかもしれない。だがカーショウはキャリア終盤に入り、自らの限界を理解しつつ、逆にそれを活かして新たな進化を遂げている。

「どんな選手も時間には抗えないし、彼自身も自分があとどれくらい投げられるかを理解している。登板する時は常に良い投球をしたいと思うものだ。何が求められているか、いつ押して、いつ引くかをお互いに理解しあっている。良い関係を築けているよ」とロバーツ監督はカーショウについて語る。

この調整の効果は、カーショウの投球内容に明確に表れている。8月は5戦全勝、防御率1.88(28回2/3で6失点)と圧巻の内容で、2022年シーズン以来となる同一シーズンでの5連勝を達成した。8月の5先発で投じた球数は計395球。1988年に球数が記録されるようになって以来、1カ月・400球未満で5連勝を収めた唯一の先発投手となった(OptaSTATS調べ)。

「いい8月だった。体の調子もすごく良い。登板のたびに感じ方が変わることもあるけれど、全体的に素晴らしかった。チームがたくさん勝てたのも最高だし、この時期にそれができるのは楽しい」とカーショウは語る。

カーショウを中心に、先発陣全体としても好調な1カ月となった。29日(同30日)時点で8月のドジャース先発陣の防御率は3.28で、メジャー全体でカブス、レッドソックスに次ぐ3位の成績。8月はまだ3試合を残しているが、先発陣はすでに計137イニングを投げ、今季ひと月の最多イニングを大きく更新。先発と救援の登板イニング差は55回2/3に達し、これまで最大だった5月の22回2/3を大きく上回った。救援陣に頼るしかなかった状態から抜け出すことに成功している。

最大の要因はケガ人の復帰だ。大谷翔平が当面は5回までという制限ながらローテーションに組み込まれ、シーズン前に予定していた6人の先発ローテーションがついに完成されつつある。終盤戦を迎える中で、これまでは弱みだった先発陣が、一転して強みとなりつつある。

「先発陣がこれほど健康で、しかも高いパフォーマンスを発揮しているのはここ2、3年なかったことだ。序盤は負傷者が戻るまで耐えるしかなかったが、今は結果を残してくれている。素晴らしい投球を見せてくれているし、大きく貢献してチーム全体を助けてくれているよ」とロバーツ監督は語った。