【ロッキーズ2-3ホワイトソックス】デンバー/クアーズ・フィールド、7月4日(日本時間5日)
コルソン・モンゴメリーのデビューは本人や家族にとどまらず、多くの人の記憶に残るだろう。
MLBパイプラインの有望株ランキングで球団5位(全体95位)のモンゴメリーは、ロッキーズとのシリーズ初戦で「7番・ショート」でメジャーデビュー。初回に迎えた最初の守備機会をしっかりとさばくと、第1打席で捕手の守備妨害で出塁。メジャー初打席で捕手の守備妨害で出塁したのは、1961年のMLBエクスパンション(球団数増)以降初めてという珍記録を達成した。
そのポテンシャルを真に発揮したのは直後の守備だった。新人のライアン・リッターが放ったフライを見事にスライディングキャッチ。走者を一、三塁に置いてのスーパープレーはホームチームの先制を阻止し、1点差での勝利に大きく貢献した。191cm、104kgの大型遊撃手が魅せた圧巻の守備に観客からは大きな拍手が送られた。
「リッターが打った瞬間、そんなに強い当たりじゃないなとは思ったけど、正直あんまりいいスタートは切れなかったし、少し足を滑らせたと思う。普通に背走して捕ろうとしたんだけど、途中で体が少し捻れてしまったんだ。芝生にはけっこう大きな跡が残っちゃったよ」
試合は、ホワイトソックス先発エイドリアン・ハウザーが8回96球を投げて4安打、無四球、6三振、2失点(自責点0)の好投。四回にはマイケル・A・テイラーの2点タイムリー、六回には捕手エドガー・ケーロがメジャー初本塁打を放ち、3-2で接戦をものにした。
「ここまで来るのにいろいろあったから、(昇格は)自分にとって大きな意味を持つよ。今年は降格を経験したり、背中のケガで欠場した時期もあった。ホワイトソックスには支えてくれる人たちがいて、みんなが自分を信じてくれていた。その信頼が、今までやってこられた大きな支えだったんだ」
わずか24時間前にメジャー昇格を告げられたモンゴメリーは、2021年ドラフトでホワイトソックスから全体22位で指名された思い出の地、デンバーでデビューを迎えた。この試合には家族や友人15〜20名も駆けつけ、メジャー初出場を見届けた。
モンゴメリーのマイナーでの道のりは平坦ではなかった。かつてはMLB全体のプロスペクトランキングで9位にランクインしていたが、昨季3Aで苦戦し、トップ100から姿を消した。今季序盤も打率.214、出塁率.329、長打率.381、三振率27.8%と不振で、調整のためアリゾナ・コンプレックスリーグに降格されていた。
しかし、6月には16試合でOPS1.010、6本塁打を記録。三振率は31%と高いままだったが、ホワイトソックスは昇格を決断した。
マイナーでの苦戦は、今後のキャリアにとってプラスになるとウィル・ベナブル監督は語る。
「マイナーで苦しむことにも意味はあると思っている。このレベル(メジャー)では、逆境をどう乗り越えるか、するべきことに集中し続けられるかがすべてだ。マイナーではそういった経験を十分に積めない選手も多くて、初めて逆境を経験するのがメジャーになることもある」
予想外の昇格の知らせを受けたモンゴメリーは、すぐに家族や友人に連絡を入れたが、家族は各地に散らばっていた。
「一番大変だったのは、家族に来てもらうことだった。母と祖母はナイアガラの滝に向かってる途中で、途中のシンシナティから飛行機で来てもらった。父と兄弟たちはフロリダのビーチにいたので、ナッシュビルまで車で移動してそこから飛んできたよ」と語る。
目まぐるしい24時間を過ごしたモンゴメリー。もっと違った『理想のデビュー』を思い描くこともできたはずだが、彼は夢の舞台に立てることに感謝していた。
「たとえ自分にとって予想外であっても、物事は意味があって起こるんだよ」
