今季のマーリンズは違う 投打守すべてが進化し、直近23勝8敗の快進撃

1カ月で借金8から貯金6以上へ浮上した史上初のチーム

3:32 AM UTC

7回完全投球を続けたエウリー・ペレスを、球数管理のために降板させた。

これだけを見ると、球数制限や現代野球の管理論に見えるかもしれない。しかし、マーリンズのクレイトン・マカラー監督には確固たる考えがあった。

指揮官が「レギュラーシーズンの先を戦うことを考えている。エウリーはそこでも重要な存在になる」と語ったように、マーリンズが見据えているのは目の前の1試合だけではなく、その先にある10月の戦いだ。

今のマーリンズには“未来を見据えて戦う資格”が生まれている。

6月1日以降、マーリンズは23勝8敗。これはメジャー全体で最高の成績だ。ナ・リーグ最少失点(メジャー全体でも2位)を誇り、OPSは(クアーズフィールドを本拠地とするチームを除けば)メジャー最高。さらに5月末までリーグ下位だった守備力も急上昇し、6月以降はメジャー3位の評価を受けている。

単なる一時的な勢いではない。マーリンズは、本当の強さを手にしつつある。

3年前とは異なる「本物感」

現在49勝42敗でナ・リーグ東地区3位につけるマーリンズは、ワイルドカード争いでも3番手につけている。

2023年、マーリンズは負け越しながらプレーオフに滑り込んだが、そのチームは歴代のポストシーズン進出チームの中でも最も得失点差が悪かった。

しかし、2026年版のマーリンズは違う。

FanGraphsのプレーオフ進出確率も3分の1まで上昇。夢を見るには十分な位置まで来ている。そして、この躍進は完全なサプライズではない。昨季終盤から、このチームには大きな可能性が感じられた。

2025年のマーリンズは、6月11日時点で25勝41敗まで沈んだものの、そこからシーズン終了まで54勝42敗。これは91勝ペースに相当し、ナ・リーグではドジャースを上回る3番目の成績だった。表面上の順位以上に、チームはすでに成長の兆しを見せていた。

とはいえ、すぐに結果が出たわけではない。

開幕直前にカイル・ストワーズが太ももを負傷し、先発陣にも負傷者が続出。マーリンズは5月末、メッツに3連敗を喫して借金8まで落ち込んだ。

しかし、それが転機になった。

マカラー監督は「自分たちのシーズンをどうしたいのか、決めるきっかけになった」と振り返る。できるはずのプレーができていない現状に悔しさを感じ、チームは変わり始めた。

その後、投打守すべてが改善した。エライアス・スポーツ・ビューローによると、1カ月で借金8から貯金6以上へ浮上した史上初のチームとなった。

投手陣が覚醒

最大の変化は投手陣だ。

  • 5月末まで:防御率4.38(メジャー21位)
  • 6月以降:防御率3.53(メジャー2位)

負傷から復帰したペレスが3試合で圧倒的な投球を披露し、エースのサンディ・アルカンタラも復調。初のオールスター選出となったマックス・メイヤーも存在感を示している。

ただし、最大のポイントはブルペンだ。

4月のマーリンズ救援陣は四球率14%。これはメジャーで2番目に高い数字だった。しかし6月には8%まで改善し、リーグでも上位の制球力を誇るまでになった。

「ブルペンが無駄な四球を出さなくなった」

これこそが、マーリンズ投手陣が変わった最大の理由だ。

打線も大幅アップ

  • 5月末まで:OPS .693(メジャー22位)
  • 6月以降:OPS .833(メジャー2位)

負傷から復帰したカイル・ストワーズの存在は大きく、さらに期待外れだったクリストファー・モレルを見切ったことで、新たな選手たちに出場機会が生まれた。

中でも注目は中堅内野コンビだ。

ゼイビアー・エドワーズとオット・ロペスは、今季メジャー屈指の二遊間コンビへ成長している。

この2つのポジションから生まれるOPSは.870。2位のロイヤルズを100ポイント以上引き離し、2023年にワールドシリーズを制したレンジャーズのコリー・シーガー&マーカス・セミエン以来となる圧倒的な数字を残している。

守備力も劇的改善

シーズン序盤、マーリンズの守備は大きな課題だった。

守備貢献度を示す指標は

  • 5月末まで: −10(メジャー26位)
  • 6月以降:+11(メジャー3位)

わずか1カ月で、守備力は劇的に変化した。

その象徴が捕手だった。

開幕捕手のアグスティン・ラミレスは打撃面では21本塁打を放った一方、守備では苦戦。2025年から2026年5月までの期間では、ナ・リーグで最も低い守備評価を記録していた。そこで球団は5月4日、守備力に定評のある捕手ジョー・マックを昇格。その後、マックはナ・リーグ最高クラスの捕手守備を披露し、盗塁阻止でも大きく貢献している。守備の安定が、投手陣の改善にもつながった。

マーリンズは10月まで戦えるのか

ここまで来ると、トレード期限でエースのアルカンタラを放出するという選択肢は、当初より現実味を失っている。むしろ、彼とペレス、メイヤーの3本柱を武器に、マーリンズは10月の舞台を目指せる位置まで来た。

3年前のプレーオフ進出とは違う。

今のマーリンズには、投手力、打撃力、守備力、そしてチームとしての完成度がある。

「勢いだけ」では片づけられない。2026年のマーリンズは、本当に強いチームになりつつある。