アレックス・ブレグマンが、レッドソックスが提示した果敢なオファーではなく、カブスからの5年1億7500万ドル(約274億4000万円)のオファーを受けたと知り、レッドソックスのクレイグ・ブレスロー編成部長は失望した。そして強力なラインナップを完成させるため、インパクトのある打者を獲得する方向へ転換する準備を整えた。
ブレスロー本部長のような立場にいれば、何ができたかという後悔を続けるのは生産的とは言えない。特にスプリングトレーニングまで1カ月を切った今、それはなおさらだ。
「選手獲得に積極的に取り組んでいる間は、いつだって負けるのは残念だ。私たちは競争心があり、ファンに優勝を届けたいからこそ仕事をしている。その努力が実らず、結果につながらないのは、その妨げになる」とブレスロー本部長は11日(日本時間12日)、マスライブのクリス・コティロ記者とのインタビューで語った。
ブレグマンを失った穴の大きさは、ブレスロー氏が今後どう動くかによって決まってくる。最も明白なプランBは、フリーエージェント(FA)市場トップの内野手ボー・ビシェットの獲得だ。しかし、ビシェット争奪戦は激化しており、ブレスロー氏は柔軟な姿勢を崩さないだろう。
「繰り返しになるかもしれないが、チームを強化するためにあらゆる方法を検討している。フリーエージェントは当然の選択肢だが、トレードも同様だ。引き続き攻撃力の強化に努めるが、投手と守備に力を入れることも勝利数を増やすための一つの方法だ」と同本部長は言う。
関係者がMLB.comに明かした情報によれば、レッドソックスがブレグマンに提示した最終オファーは5年1億6500万ドル(約261億円)だった。しかし、カブスとのオファーには金額以上の違いがあった。カブスは30球団に対するトレード拒否権を提示したが、レッドソックスのオファーには含まれていなかった。両者のオファーには後払い金が含まれていたが、カブスはレッドソックスに比べて早くその後払い金を払う契約になっていた。
コティロ記者は、ブレスロー編成部長に対し、昨季を通してレッドソックスでプレーすることへの愛着を語っていたブレグマンが残留を断念した理由について聞いた。ブレスロー編成部長は、レッドソックスにトレード拒否権を契約に含めない方針があるかどうかについて明言を避けた。
「交渉の詳細には触れないが、アレックスと彼の家族は、今後5年間のキャリアをどこで過ごしたいかを決める権利を獲得した。私たちもここ(ボストン)を希望していたが、彼らが獲得した権利を尊重する。意思決定において何が最も重要だったかを推測するのは、愚かであり、不公平だろう」
わずか11カ月前、レッドソックスと3年契約を結んだブレグマンは、昨年11月にその契約に含まれていたオプトアウト権(契約破棄条項)を行使した。
ブレグマンが1年でチームを去る決断をしたことで、レッドソックスファンは改めて昨年6月に生え抜きスターのラファエル・デバースをジャイアンツへと放出した決断の是非を問うこととなった。デバースはブレグマンと良好な関係を築いていたが、レッドソックスがブレグマンにデバースの本職だった三塁のポジションを与え、デバースをDHへとコンバートしたことに憤慨していた。
さらに5月上旬、一塁手トリストン・カサスがシーズン終了となるケガを負った際、ブレスロー本部長はデバースに一塁への再転向を検討してほしいと打診したが、デバースはそれを拒否。オーナーのジョン・ヘンリー氏は敵地カンザスシティで行われた試合に直接足を運び、介入を試みたが、それは徒労に終わった。そして1カ月後、デバースを放出。今となっては、ブレグマンとデバースが2人とも退団したことをブレスロー編成部長はどのように感じているのだろうか。
「これらのケースの詳細に膨大な時間を費やすよりも、最も重要なのは、まず短期的に人員構成を改善するためにどのように対応するか、その次にはこれらの経験からどのように学び、今後にどう生かすかだ。現時点で直面しているどちらの結果も理想的ではないが、どちらも長期的に評価されるだろう」
ブレグマン退団が報じられて以来、ソーシャルメディアはファンの怒りで沸騰している。明らかに怒っている多くのファンに対し、ブレスロー編成部長はどのようなメッセージを送るだろうか。
「アレックス(ブレグマン)が昨シーズンに与えた影響を軽視するつもりはない。彼は素晴らしい選手であり、クラブハウスで強いリーダーシップを発揮している。しかし、この仕事には長期的利益と短期的利益のバランスを取り、組織にとって最善の決断を下すことが求められる。たとえそれが困難であってもだ。時には優秀な選手を失うことも意味するだろう」
「2026年シーズン、チームの顔ぶれは変わるが、地区優勝争いとポストシーズン進出への思いは変わらない。チーム全体の力量を信じ、さらに強化していくための方法を模索し続ける。私たちの目標は、ファンの皆様にふさわしいシーズンをお届けすることだ」
