【パドレス2−3フィリーズ】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、6月3日(日本時間4日)
七回に同点打を浴びた投手が、球場全体からたたえられることはそうそうあることではない。
だが、クリストファー・サンチェス(29)が直近5週間でやってのけたこともまた、めったに起きることではない。
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フィリーズのエース左腕、サンチェスの歴史的な連続無失点記録が、ついにストップした。七回に適時打を許した。
これにより、球団史上最長となる50回2/3で連続無失点記録が途絶えた。マウンドが現在の距離に変更された1893年以降の単一シーズンにおいて、5番目に長い記録となる。
また、左腕投手としては史上最長記録だ。
サンチェスはディエゴ・ダニエロ通訳を通じて、「人生でこんなことができるなんて、想像もしていなかったよ」と語った。
サンチェスは七回にピンチを招くまで、またしても無失点投球を続けるかと思われた。タイ・フランス(31)が2死から左翼線への二塁打を放つと、続くジャクソン・メリル(23)がカウント0―1からのシンカーを左前へ弾き返し、フランスが生還した。
熱狂的なフィリーズファンがスタンディング・オベーションでサンチェスに喝采を送り、試合は一時中断した。サンチェスはマウンドを外すことになり、ついに感情をあらわにするとメリルに向かって笑顔を向けた。
メリルは「本当にえげつないよ。完全に脱帽。異常なほど素晴らしい。(一塁手のブライス)ハーパーにも『打点を挙げてこんなに申し訳ない気持ちになったことはない』と伝えたよ」と振り返った。
スタンディング・オベーションは1分以上続いた。ハンター・ウェンデルステット球審は、サンチェスにもう少し時間を与えるため、わざと本塁の前に立って時間を稼いだ。
サンチェスには、その1秒1秒を味わう資格があった。
フィリーズのJ.T.リアルミュート(35)は「最高だったよ。うちのファンはまさにこういう人たちなんだ。偉大さをしっかり評価してくれる」と感謝した。
サンチェスはその後すぐに七回を投げ切り、7回を1失点、8三振でこの日の登板を終え、防御率1.46に下げた。1カ月以上も無失点を続けていたにもかかわらず、マウンドを降りる際には自身のグラブを叩いてフラストレーションを爆発させていた。その間もファンからは再び大歓声が送られていた。
サンチェスは「自分に対して厳しすぎる、求めすぎる傾向がある。だから、そのあたりはもう少し柔軟になるべきと思うけど、これが自分。自分のやり方」と語った。
そのやり方が何であれ、見事に機能している。
ドン・マッティングリー監督代行(65)は試合前、「こんなことはそう頻繁にお目にかかれないよ。歴史的に見てフィリーズでここまで到達した記録はないし、球界全体を見渡してもそうだ。本当にめったに起きない事態。これ以上素晴らしいものを今まで見たことがあるかどうかわからないね」と表現した。
サイ・ヤング(45回)、ザック・グリンキー(45回2/3)、ボブ・ギブソン(47回)らの伝説的な投手たちを次々と抜いた。サンチェスを上回る記録を持つ投手は4人しかおらず、そのうち2人はデッドボール時代(1900年から1919年頃の、飛ばないボールが使われ本塁打が少なかった時代)にプレーしていた。
1893年以降の単一シーズンにおける連続無失点記録
- オーレル・ハーシュハイザー:59回(1988年)
- ドン・ドライスデール:58回(1968年)
- ウォルター・ジョンソン:55回2/3(1913年)
- ジャック・クームス:53回(1910年)
- クリストファー・サンチェス:50回2/3(2026年)
しかし、サンチェスは全く別の名前に真っ先に注目した。ペドロ・マルティネスだ。
サンチェスは、マルティネスが2002年に樹立した35回連続無失点記録を上回ったと知った時点で周囲には話題にしないよう伝えていたにもかかわらず、心の中ではっきりと意識し始めていた。
「登板中に頭をよぎることもあったけれど、あまり気にしないようにしていた。家族にも『この話はしないでおこう』と伝えたよ。でも、すごく楽しかった。すべての瞬間が最高だった」
今なら、誰もが気兼ねなくその話ができる。
「今すぐには信じられないから、この出来事を整理して完全に受け入れるには少し時間が必要だね。シーズンが終わって家族と家で過ごす時に、ここで実際に起きたことについて考え始めると思うよ」
もちろん、大歓声を呼ぶ同点打を浴びた後も、フィリーズの試合は続いていた。リアルミュートは七回、すぐさま勝ち越し本塁打を放ち、バッテリーを組む相棒を援護した。数人の打者を挟んだ後、カイル・シュワーバー(33)がメジャートップとなる今季23号本塁打を追加した。
リアルミュートは「メリルに対してあの速球を要求した自分をまだ責めていた。だから、打席に入って良いスイングができてうれしかったよ」と振り返った。
なぜ自分を責めていたのか。
リアルミュートは「単純に失点してしまったから。他の球種を要求していれば、おそらく空振りを奪えていたはず」と悔やんだ。
サンチェスが本調子であれば、得点はおろか、安打を打つことすら至難の業だ。
「記録を軽視するわけじゃないけれど」とハーパーは切り出した。
「サンチェスはずっとこんな投球を続けているから、もう何年も無失点記録が続いているような感覚に陥るよ。言いたいこと、わかるかな?」
無失点記録はついに途絶えたものの、サンチェスには次に挑むべき、ほぼ不可能な任務が待っている。膨大な数の祝福メッセージの確認作業だ。
「本当にすごい数。メッセージがたくさん来ているよ。今は携帯電話すら使えない状態。メッセージアプリに200件、インスタグラムにも200件、あらゆるSNSに届いている。とにかく今はすごい数になっているよ」と笑顔でメディア対応を終えた。
