カブス、地区シリーズ第5戦でブルワーズに敗れ、終戦

二回先頭で誠也は一時、同点のソロ

October 12th, 2025

ブルワーズ3−1カブス】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月11日(日本時間12日)

紙吹雪が降り、花火が上がり、内野ではブルワーズの選手たちが輪になって歓喜する中、カブスの数人はベンチに残り、その光景を見つめていた。

ニコ・ホーナーはしばらく視線を送り、やがて背を向けてビジタークラブハウスへと階段を下りた。ピート・クロウ=アームストロングはさらに長く、青い手すりにもたれたまま、観客の大歓声を背にナ・リーグ地区シリーズ第5戦での敗戦を受け止めていた。

「シーズン最後のアウトというのは、奇妙なものだ」

ホーナーは言った。

「何もかも準備、準備、準備の連続で今が一番いい状態だと思っているし、まだまだやれることがあると感じている。なのに、その先がない。ものすごく(精神的に)こたえるよ」

カブスは地区シリーズ最後の3試合を、まさにがけっぷちの状態で戦い続けた。ブルワーズ相手に粘り強く反撃し、リグレーフィールドの熱狂的な雰囲気を味方につけたが、奇跡的な逆転劇を最後まで完結させることはできなかった。

最終的に宿敵ブルワーズはカブスにとってあまりにも高い壁だった。

この「負ければ終わり」の一戦でライバルに敗れたことは、期待に満ちたシーズンに苦い句点を打つ結果となった。ブルワーズはナ・リーグ優勝決定シリーズでドジャースと対戦する。一方、カブスは、オフシーズンに入る。

「本当に強いチームだった」とカブスのクレイグ・カウンセル監督はブルワーズを称えた。

「ワールドシリーズに進むにふさわしいチームだと思う。もちろん悔しいし、悲しい。でもこのチームは、シカゴ・カブスのユニフォームを背負うに値する戦いを見せてくれた。大局的に見れば、そう感じている。ただ、『今夜何が足りなかったのか?』。その問いだけが頭から離れない」

シカゴはシリーズ開幕2試合を敵地ミルウォーキーで落とした後も、今季を通じて見せてきた粘り強さを発揮し、最後まで戦い抜いた。リグレーフィールドへ戻ると、2試合連続の劇的勝利でシリーズをタイに戻し、最終決戦を迎えた。

「リグレーでは素晴らしい試合ができた」とチーム最長在籍の外野手イアン・ハップは語った。

「本当に良いシリーズだったよ。ブルワーズも素晴らしかった。投球も見事だったし、ホームでの戦いぶりもさすがだった。これがホームアドバンテージというものなんだろうね」

カウンセル監督はシリーズ最終戦で、救援陣を総動員する戦略を選択。ベテラン左腕ドリュー・ポメランツをオープナーとして起用した。ポメランツは初回、先頭2人を打ち取り、9月23日から続く連続25人凡退の記録を伸ばしたが、3人目のウィリアム・コントレラスに2死から本塁打を浴び、その快投は途切れた。

試合前、カブスの遊撃手ダンズビー・スワンソンは、この地区シリーズの初回を「混沌(mayhem)」と表現していた。その言葉どおり、コントレラスの一撃で両チーム通算の初回得点は22点(カブス11点、ブルワーズ11点)に達し、ポストシーズンのシリーズ史上、初回に記録された得点としては最多となった。

「こんな展開は今まで見たことがない」とスワンソンは語った。

その裏、鈴木誠也(31)がチームに息を吹き込んだ。新人右腕ジェイコブ・ミジオロウスキーが二回から登板すると、鈴木は101.4マイル(約163キロ)の速球を右中間へ弾き返し、ポストシーズン3本目のアーチをかけた。一塁を回る際、力強く右拳を突き上げた。

試合は四回まで1−1のまま膠着(こうちゃく)していたが、その均衡を破ったのはブルワーズのアンドリュー・ボーンだった。カブス右腕コリン・レイのフルカウントからのカットボールを左翼スタンドへ運び、ミルウォーキーの観客席を沸かせた。続く七回にはブライス・トゥランがアンドリュー・キットリッジの初球スライダーを捉え、貴重な追加点を挙げた。

そのリードは最後まで守り切られ、ブルワーズファンは歓喜の声を上げながら、かつての指揮官クレイグ・カウンセルに向けて容赦なくブーイングを浴びせ続けた。

「これは、ただの地区シリーズではなかった」とブルワーズのベテラン、クリスチャン・イェリッチは語った。

「シリーズ前は“他と同じ地区シリーズだ”って言い聞かせようとしたけど、実際にはそうじゃない。カブスとのライバル関係は、もう8年くらい続いている。いろんなストーリーが積み重なっている」

カブスがカウンセル監督をブルワーズから引き抜いたのは2年前の冬。目標はチームを次の段階へ押し上げることだった。その狙いどおり、カブスは今季92勝を挙げ、2020年以来のポストシーズン進出を果たした。

「間違いなく正しい方向に進めたと思う」と先発右腕ジェイムソン・タイヨンは語った。

「勝ち星を増やし、プレーオフにも出た。それは大きな一歩だ。これからはそれを毎年続けていくことが大事。強いチームっていうのは、そうやって長く勝ち続けるものだ」

カブスの問題は、もちろんこのブルワーズという存在だった。決して静かに終わる相手ではなかった。

カブスは今季、大半の期間でナ・リーグ中地区の首位を走り、7月27日まではその座を守っていた。しかしミルウォーキーでの2連敗を機に流れが変わり、後半戦でのブルワーズの猛追を止めることはできなかった。最終的にカブスは97勝を挙げたブルワーズに5ゲーム差をつけられ、地区優勝を逃した。ブルワーズがプレーオフの第1ラウンド(ワイルドカードシリーズ)免除を得る一方でカブスはワイルドカードシリーズでパドレスと死闘を繰り広げることになった。

パドレスとの初戦勝利は、カブスにとって2017年以来のポストシーズン勝利だった。さらにリグレーフィールドでのシリーズ突破は、2016年のリーグ優勝決定シリーズ以来となる本拠地での歓喜だった。この日の地区シリーズ第5戦まで、カブスは今ポストシーズンで3度の「負ければ終わり」の試合をすべて制してきた。

ただし、もう1勝が必要だった。

「今回の敗戦は特にこたえる」とニコ・ホーナーは語った。

「チーム全員が本気で信じていた。ワールドシリーズを勝つ、野球界で一番大きな舞台で戦うという信念があった。リグレーでのあの試合は本当に力をもらえたけど、もちろん僕らの頭の中には、まだ先の目標があった」