今永 vs マチャドの対決、判断が裏目に出たカブス

October 2nd, 2025

カブス0−3パドレス】シカゴ/リグレーフィールド、10月1日(日本時間2日)

カブスの左腕、今永昇太(32)はマウンド上で振り返り、顔をしかめ、天を仰いだ。マニー・マチャドはバットを放り投げ、一塁側のパドレスのベンチに向かって力強く腕を突き上げ、叫びながら一塁線を駆けた。

ナ・リーグ・ワイルドカードシリーズ(WCS=3回戦制)第2戦の勝負どころ。今永はマチャドに真っ向勝負を選び、その決断は流れを変える結果につながった。五回の特大2ランはカブスを0-3の敗戦に追いやり、第3戦の決着戦にもつれ込むことになった。

「厳しい戦いになるのは分かっていた」とカブスの中堅手ピート・クロウ=アームストロングは語った。

「パドレスがあっさり引き下がるなんて、誰も思っていなかった。きょうでシリーズを終わらせられたら最高だったけど、また戻ってきて同じように戦う準備はできている」

第1戦を制したことで、カブスは有利な立場に立っていた。過去、3回戦制(2勝で勝ち抜け)のWCSで初戦を取った20チームのうち18チームが次のラウンドへ進んでいるからだ(2020年コロナ禍での開催を含む)。ただし、ポストシーズンの歴史を振り返れば、ホーム球場で「勝った方が勝ち抜け」の試合に臨んだチームの成績は64勝66敗とほぼ五分。そしてパドレスは、このWCS史上初めて、敵地で第1戦を落とした後に第3戦へ持ち込んだチームとなった。

シカゴ打線はパドレスの右腕ディラン・シースと層の厚いリリーフ投手陣の前に沈黙。それでも注目が集まったのは、やはり今永とマチャドの対決だった。左腕の今永に右の大砲をぶつけた判断は、議論を呼んだ。

「結果だけを見れば、別の手を打つべきだったのかもしれない」とカブスのクレイグ・カウンセル監督は語った。

「実際は、今永を信頼していた。それだけだ。彼はいい投球をしていたと思う」

この判断にはもう一つの側面もあった。3回戦制のシリーズで1勝0敗とリードしていた状況下で指揮官は投手起用を組み立てていたのだ。

今季の開幕投手を務めた今永を第2戦の先発に立てるのではなく、ベテラン救援のアンドリュー・キトレッジをオープナーに起用。その狙いは、サンディエゴの上位打線、特に1番フェルナンド・タティスJr.と3番マチャドの右打者に対して、今永の対戦機会を減らすことにあった。

今永は今季、本塁打を浴び、苦しんだ。144回2/3で31被弾。そのうち12本はレギュラーシーズン最後の6先発で許したものだった。9イニングあたり1.93本塁打は、今季140イニング以上投げたMLB投手の中でワーストだった。

だからこそ、初回を右腕リリーフに任せ、その後に今永を投入するというプランには合理性があった。だが実際には、初回にタティスとルイス・アライズがキトレッジから連打で出塁、ダブルスチールを決め、ジャクソン・メリルの犠牲フライで先制点を奪われた。

「振り返れば、あのダブルスチールを許したのが痛かった」とキトレッジは語った。

「タティスの存在には十分気を配っていた。あいつはベース上で飛び跳ねるように揺さぶっていたし、ちょうど走るのに絶好の球を選ばれてしまった。一番悔しい場面だった」

今永はその後の3イニングを無失点に抑え、五回はパドレスの9番フレディ・フェルミンを三振に仕留めた。これで再び打順は上位へ。フルカウントから今永はタティスの空振りを誘おうとストライクゾーンの低めにスイーパーを投じたが、スター選手はバットを止めて四球を選んだ。

続くアライズは送りバントでタティスを二塁へ進め、1点を追うカブスにアウトを与え、一塁が空いて2死一、二塁でマチャドを迎えた。同時に、ブルペンでは速球派右腕マイケル・ソロカが肩を作っていた。カウンセル監督によれば、ソロカをマチャドにぶつける考えはなかったものの、申告敬遠については検討したという。

打席へ歩み寄るとき、マチャドは何を考えていたのか。
「打つことさ。間違いなくね」と言った。

「監督の立場になんてならないよ。あの時点でシリーズは6打数0安打だった。だから敬遠されるなんて考えてなかった。自分としては、とにかく今永に挑んでいくことだけを考えていた」

今永とマチャドは、このシリーズ前までに9打席対戦し、左腕が9打数1安打、6三振に抑えていた。唯一の例外は4月15日のペトコパークでの試合、カブスが2-1で勝った一戦で浴びた本塁打だった。第1打席でも今永が優位を保ち、三回には右翼への飛球に打ち取った。

「彼にはちょっとやられている感じがあるね。数字を見れば分かる。俺はあまりいい結果を残せていない」とマチャドは語った。

五回、今永は得意のスプリットで攻めたが、思ったように沈まず、ど真ん中に甘く入った。マチャドは高額報酬に見合う仕事を果たし、その球を高々と打ち上げて左翼スタンド深くに運んだ。この一発で、ポストシーズン通算本塁打は球団記録を更新する8本目となった。

「初めから歩かせる(四球)というのは頭になかったんですけども(勝負するか、敬遠するか)半分半分ぐらい頭に入れていて、初球のスプリットだったんですけど、あれは膝から下に投げるべき球がストライクゾーンに入ってしまった。なぜああいうリリースをしてしまったのか、自分の中ではもっとやれることがあったんじゃないかって思います」

今永は、手痛い一発を浴びた1球を悔やんだ。

キトレッジは今永をかばった。

「時には受け入れがたいこともあるけど、点を取られることもある。打たれることもある。大事なのは次の1球に切り替える気持ちだ。そのあとも試合は十分手の届く範囲にあった。ただ、われわれは得点を奪えなかった」