【ブルージェイズ6-1レッドソックス】トロント/ロジャースセンター、9月25日(日本時間26日)
直近7試合で1勝6敗と急ブレーキがかかり、ヤンキースの猛追を受けているブルージェイズは、レッドソックスに快勝。ブルペンデーを挑んだ投手陣が七回途中までパーフェクト投球で主導権を握り、ドールトン・バーショが値千金の満塁弾で勝利を決定づけた。ブルージェイズはヤンキースと同率首位を維持したまま、シーズン最後の3連戦に挑む。
互いに無失点で迎えた六回無死満塁の場面、6番のバーショが今季20号のグランドスラムを叩き込んだ。
「ここ数日、ひと振り、1イニングで決まるって言っていた。まさにそれだ。バーショは本塁打を打つべき時だった。ここに戻ってきてから10打席に1本のペースで本塁打を打っているような感じだ。これは本当に大きな一振りだった」とジョン・シュナイダー監督は振り返った。
このシーンは、ブルージェイズのクラブハウスの皆から愛され、内気な弟分であるバーショの姿を見事に捉えていた。バットフリップも、一塁線をスキップすることも、ロジャースセンターの屋根が軋んで閉まる音を立てた夜空に向かって勇ましい雄叫びを上げることもなかった。テレビ画面からほんの少し離れて、ちょうどいいタイミングで目を細めれば、かすかな笑みがこぼれるのが見えるかもしれないが、バーショが見せてくれるのはそれだけだ。
観客席からは今シーズン最大の歓声が沸き起こった。過酷で不安な1週間を過ごしたばかりのファンにとって、まさにカタルシス(感情が解放されること)に満ちた瞬間だった。まるでボールが宙に浮いたまま、その軌跡をじっと見守っているかのように、スタジアム全体が、ボールがビジター側のブルペンに落ちた瞬間を待ち構えていた。
「興奮だよ。ここ数日、皆がプレッシャーや不安を抱えていたから、おかげで少しだけ肩の荷が下りたような気がした」とバーショは語った。
バーショはクラブハウスではあまり積極的に発言する選手ではないが、彼が話すときは皆が耳を傾ける。その日の早い時間に、彼は打撃コーチのデビッド・ポプキンスを見つけ、何か言いたいことがあるようだった。
「多くの人は、僕たちが地区優勝するとは思っていなかった。今や皆の基準を超えた。皆が僕たちにその基準を求めている今、地区優勝をしなければならない。でも、もういいや、って感じだ。僕たちはもうリードを持っている。このまま頑張ろう、いつも通りのプレーをしよう」
今週の重圧は、コーチ陣から選手、そして彼らと関わるすべての人々まで、誰もが感じていることだ。道のりは決して平坦ではないが、このような痺れる秋の野球こそ、チームが求めていたものだ。シュナイダー監督は失速に喘ぎながらも、その喜びを味わっている。「楽しい。これが僕らのプレーする理由だ。この組織の全員が頑張る理由だ。選手たちが球団とサインする理由だ。僕たちが犠牲を払う理由だ。そういう風に捉えれば、そこに自由があると思う。大変かって?大変だけど、とにかく楽しいんだ」
ヤンキースが5連勝を挙げたため、ブルージェイズは91勝で同率首位に並んでいる。ヤンキースはオリオールズと、ブルージェイズはレイズとそれぞれ最後の3連戦を戦う。直接対決で勝ち越しているブルージェイズがタイブレーカー(同率で並んだ場合、直接対決で勝ち越したチームを上位とする権利)を保持しているため、有利な状況にある。
