メッツ左腕のデービッド・ピーターソンが九回のマウンドに向かうと、観客が立ち上がり、拍手で後押しした。
全員が固唾を呑んで見守り、ストライクが決まるたびに歓声が起こる。最後の3人を三者凡退に抑え、完封試合を成し遂げると、4万人の観客からスタンディングオベーションが起こった。
笑顔でガッツポーズし、捕手のルイス・トーレンスと抱き合うと、その輪に野手たちも加わった。最後のボールを受けた一塁手のアロンソがピーターソンに抱きつきながら興奮気味にボールを渡す。
「完封試合をずっと夢見ていた。九回まで投げきれて、とてもスペシャルな気持ち」と左腕ははにかんだ。
メッツのピーターソン投手がナショナルズ戦で106球を投げ、6安打6三振、無四球の完封勝利を収め、防御率はナ・リーグ4位の2.49に浮上した。
立ち上がりから7人連続で打ち取り、七回までは走者を一塁以上に進めない熱投。七回に無死一、二塁のピンチを迎えたが、次打者2人を三振に仕留めて切り抜けた。
「カウントを先行させて、早い段階で打たせていた。だから完投できたんだ」とナショナルズの外野手ジェームズ・ウッドは相手投手を称えた。
八回は守備陣が好プレーで左腕を援護した。
1死二塁から、次打者のジェイコブ・ヤングのセンター前の安打を中堅手タイロン・テイラーが強肩で、走者を本塁タッチアウト。ナショナルズの抗議も退け、完封継続の流れを呼び込んだ。
八回終了後、ぞP苦闘を希望したピーターソンは監督の視線を避け、2メートル近い体躯を丸めてベンチの隅っこに隠れた。
「姿を消せるわけじゃないって分かってるよ」と照れくさそうに語ったが、熱投する左腕をチームメイトもさりげなく後押しした。監督の視界にピーターソンが入らないように、選手たちはベンチで意図的に監督を囲んだ。
最終回を前にピーターソンが「最後まで投げさせてほしい」と訴えると、指揮官が「わかった。これはお前の試合だ」と力強く送り出した。
そこまで97球と球数はかさんでいた。
「球数も気にしていたから気合いが入った。全力を出し切ろうと心に決めていた」とピーターソン。9球で三者凡退に抑え、メッツの左腕としては2019年のスティーブン・マッツ以来となる完封勝利を達成した。
現代野球では、完封を目撃する機会はほとんどない。
クイーンズを本拠地としたトム・シーバーの時代は遠く過ぎ去った。彼は12シーズン未満で44回もの完封を達成していた。ピーターソンの前、2020年以降の現代メッツではわずか3回しか完封がなく、今季のメジャー全体でも6回しか記録されていない。
主砲ブランドン・ニモは「彼が評価されるのを見るのは本当に素晴らしいことだ。ずっとチームにとって良い存在だからね。目の前で彼が成長していくのを見るのは楽しいよ」と熱く語った。
