【ドジャース6x-5ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月27日(日本時間28日)
18イニングの中であらゆるイベントが発生した、歴史に残るワールドシリーズの一戦だった。
特筆すべきは両軍が見せた鉄壁の守備だ。実に6度も走塁死が生まれた一戦は、走塁ミス以上に、好守が要因だった。
ここでは、その名勝負を彩った6つのプレーを、試合への影響度の高い順番に振り返る。
1 エドマンの機転:カイナー=ファレファを三塁で刺す(九回)
すべての投球には、思いがけないドラマが潜んでいる。
九回、5-5の同点、1死一塁で打者ダルトン・バーショが放ったライナー性の打球は、一塁のフレディ・フリーマンがジャンプしてグラブに当て、ライト前に転がった。
一塁走者のカイナー=ファレファは三塁を狙って加速。しかし、二塁手トミー・エドマンがすかさずカバーに入り、スライディングしながらボールをすくい上げて三塁へワンバウンド送球。見事アウトに仕留め、ブルージェイズのチャンスを断った。
2 バージャーのレーザービーム:フリーマンを本塁で刺す(三回)
今ポストシーズンで打撃が注目されているアディソン・バージャーが、守備で魅せた。三回、ウィル・スミスのライト前ヒットで二塁からホームを狙ったフリーマンに対し、バージャーは98.5マイル(約159キロ)の矢のような送球。本塁で見事に仕留めた。
スタットキャスト導入以降のポストシーズンでは、外野手の送球速度として歴代3位の速さだった。(1位は2016年ALDS第1戦のジャッキー・ブラッドリーJr.の105.1マイル、2位は2023年ALDS第1戦のマット・ウォルナーの99.2マイル)
3 テオスカーの「恩返し」:完璧な中継プレーでシュナイダーを本塁で刺す(10回)
六回には三塁で刺されたテオスカー・ヘルナンデスが、守備でやり返した。10回表、2死一塁で、ネイサン・ルークスがライト線へ強烈な打球を放ち、走者のデービス・シュナイダーは一気に本塁へ。
しかし、テオスカーは壁の跳ね返りを正確に処理し、中継に入ったエドマンへの完璧な送球。エドマンはそれを受け、本塁へストライク送球し、捕手スミスがボールを待ち構えてタッチアウト。ブルージェイズの勝ち越し機を見事に断ち切った。
4.ゲレーロJr.、三塁への矢:ヘルナンデスを刺す(六回)
打撃でチームをけん引するブラディミール・ゲレーロJr.だが、この日は守備でもチームを救った。六回、2死一塁でキケ・ヘルナンデスが三遊間へ鋭いゴロを放つと、遊撃アンドレス・ヒメネスがバックハンドで捕球し、一塁へジャンピングスロー。
一塁で打者走者のアウトが難しいと判断したゲレーロはベースを離れて捕球し、すぐさま87.6マイル(約141キロ)の送球を三塁へ。三塁手アーニー・クレメントがタッチし、テオスカーを刺した。
5 大谷:9度出塁もこの一度はアウト(九回)
この日も大谷翔平は4打数4安打、2本塁打、2二塁打、5四球(うち4四球は敬遠)と圧倒的な活躍を見せ、ポストシーズン史上初の「1試合9度の出塁」、MLB史上初の「4安打5四球以上」を同時に達成した。
しかし九回裏、敬遠で出塁した大谷は二盗を試みるも、捕手アレハンドロ・カークの正確な送球でアウト。大谷の足が一瞬ベースから離れた隙を、カイナー=ファレファが見逃さなかった。リプレイ検証でも判定は覆らなかった。
6 ビシェット:まさかのけん制アウト(二回)
二回、先頭打者のボー・ビシェットがセンター前ヒットで出塁。しかし、続くバーショの打席でカウント3-1から球審のコールが微妙に遅れ、バーショもビシェットも四球と勘違いして進塁し始めてしまった。
しかし球審マーク・ウェグナーが遅れてストライクを宣告。タイラー・グラスナウがすぐさま一塁へ送球し、フレディ・フリーマンがビシェットをタッチアウトにした。ブルージェイズにとって痛恨のミスプレーとなった。
