今のドジャースは、間違いなく今シーズン最高の野球をしている。
ポストシーズンの最初の10試合で9勝。WCSではレッズをあっさり退け、NLDSではフィリーズに敵地で2連勝後、ホームに戻り、4試合でシリーズを制した。そして、現王者ドジャースはNLCSでブルワーズにスイープ勝利。史上最高とも言われる選手による、史上最高のパフォーマンスの一つを披露し、2年連続のワールドシリーズ進出を決めた。
ただ、ここで一旦立ち止まることになる。
17日(日本時間18日)ナ・リーグ優勝を決めたドジャースは、ワールドシリーズ第1戦まで6日間の休養を挟むことになる。シリーズの相手がマリナーズになるのか、ブルージェイズになるか、19日(日本時間20日)まで分からない。本拠地で開幕戦を迎えるか、それともトロントへ飛ぶかの判断もそれまで保留だ。
「正直言って、いまは楽しいけど、まだ何も達成していない。目標はワールドシリーズに出ることじゃなく、勝つことなんだ」とユーティリティプレーヤーのキケ・ヘルナンデスは語る。
チームは連覇を成し遂げる実力があると自負している。主力の健康状態も良く、チームの勢いも最高潮に近い。問題はこれからの1週間の過ごし方だ。この期間が、チームの熱気やリズムを失わせる原因にならないかが課題となっている。
「分からない。でも、ワールドシリーズに行けるなら、どんな状況でも受け入れる。そこにたどり着くことが大事だから」と話すのは、三塁手のマックス・マンシー。
ポストシーズンで上位2チームが1回戦を免除されるようになってから、休養期間の影響は以前より注目されるようになった。リーグチャンピオンシップシリーズ(LCS)を早く終わらせたチームは、次のシリーズまでどう過ごすか、ずっと前から課題だった。特にもう一方のLCSが長引いた場合、その差はさらに広がる。
たとえば、マリナーズが第6戦でア・リーグを制すれば、ドジャースは2日多く休むことになる。ブルージェイズが勝って第7戦までもつれ込めば、その差は3日に広がる。
「選手としても投手としても、休めるのはポジティブに捉えている。オフ日もあったけど、ポストシーズンは精神的にかなりハードな試合ばかりだった」と大谷翔平は、通訳のウィル・アイアトンを通じて語った。
ワールドシリーズ前の長期休養の影響を見ると、残念ながら、ドジャースにとってはあまり良い傾向とは言えない。まず、LCSをスイープしたチームは、その後のワールドシリーズで2勝7敗と大きく負け越している(2022年のアストロズは例外で、同日にNLCSも終了)。
さらに、過去15回のLCSで終了日がずれたケースを見ると、先にシリーズを終えたチームがワールドシリーズで勝ったのは、わずか3回(3勝12敗)と分が悪い。
とはいえ、ドジャースは最近のポストシーズンで長い休養を経験している唯一のチームとも言える。2022年、2023年、2024年と3年連続で1回戦を免除され、この期間の過ごし方で試行錯誤を重ねてきた。
2022年には、NLDS前に数試合のシミュレーションゲームを行ったが、結果はパドレスに4試合で敗退し、2023年には、模擬試合に数千人のファンを招き、試合当日のような雰囲気を再現する取り組みを実施したが、ダイヤモンドバックスにスイープ負けを喫した。
その反省を生かし、昨年はより柔軟なアプローチに変更。模擬試合や実戦形式の打撃練習は続けつつ、グラウンド外での「チームの一体感」を重視し、ほかの試合を観戦するチームウォッチパーティーや、チーム全体での食事会などを開催した。
「この1週間で、実戦感覚を維持するのが何より大事だと思ってる」と大谷は言う。
遊撃手のムーキー・ベッツは選手全員をこう代弁した。
「僕たちが戦う理由は、10月の最後の試合に勝つためだ」
