ドジャース、地区シリーズ3連勝突破ならず、第4戦へ切り替え

October 9th, 2025

ナ・リーグ地区シリーズ(NLDS=5回戦制)第3戦を前にドジャースの選手たちは試合開始の数時間前。

シリーズをスイープ(3連勝)してフィリーズのシーズンを終わらせるチャンスを前にして「ポストシーズンでの勢いの重要性」についてそれぞれが思いを巡らせていた。

敵地、フィラデルフィアのシチズンズバンクパークで激戦を制し、2連勝で戻ってきたドジャースは、本拠地のファンの前で勝利を挙げ、ナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めるつもりだった。
しかし、その思惑は外れた。フィリーズ敗れ、これまでの良い流れは一気に冷めてしまった。

気持ちの落ち込む結果ではあったが、ドジャースはシリーズ全体の流れを冷静に見据え、すでに第4戦へと意識を切り替えている。

「このインタビューの雰囲気だと、まるで俺たちがもう敗退したみたいだね」
ムーキー・ベッツは苦笑いを浮かべながらそう言った。
「2勝1敗でまだリードしていることは、全員が分かっている。もちろんプレッシャーは大きい。でも、プレッシャーを感じられること自体が特権だ。あとはフィールドでプレーするだけ」

現行の2戦、移動日、2戦、移動日、1戦方式で地区シリーズ第1戦、第2戦をホームで落とした19チームのうち、第4戦まで持ち込んだのはフィリーズが7チーム目。そのうち過去6チームのうち3チーム(50%)が第5戦までもつれ込み、2チーム(33.3%)が第5戦で逆転突破を果たしている。

第3戦、ドジャースタジアムの観衆は声を張り上げたかったが、ドジャースが今ポストシーズン初黒星を喫し、沸く場面はほとんどなかった。

2年連続のリーグ優勝決定シリーズ(NLCS)進出を決めにいく中、有利な材料はそろっていた。エースの山本由伸(27)が先発。シリーズ開幕のフィラデルフィアでは打線が活発だった。波乱続きだった中継ぎ投手も、セーブ場面を託せる存在として佐々木朗希(23)が信頼を勝ち取った。

それでも、ドジャースは気持ちを切り替え、本拠地で次のチャンスで仕留めにいく。

「もうほとんど切り替えられているよ。シリーズ前に『第4戦はタイラー・グラスアナウで2勝1敗でリードしている』と言われていたら、迷わず受け入れていたはずだ」

デーブ・ロバーツ監督はそう試合後に語った。

ドジャースは三回、トミー・エドマンがレンジャー・スアレスから本塁打を放ち、先制点を挙げた。だが、次の回には逆転された。
山本はワイルドカードシリーズ第1戦を含む直近6登板で自責点はわずか「3」だったが、四回に乱れた。

先頭打者のカイル・シュワーバーに特大アーチを浴び、続く打者にも連打を許してこの回3失点。五回も先頭から連打を浴び、無死一、二塁で降板。ドジャースが今ポストシーズンで「クオリティスタート(6回以上、自責点3以内)」を逃したのは、これが初めてだった。

「なんとか最少失点で抑えられたら試合の流れが変わっていたと思います」

その後は、スアレスとフィリーズ救援陣に打線が抑え込まれたが、点差はクレイトン・カーショーが救援で登板するまで2点のままだった。スタンドは総立ちで迎えたが、カーショーは制球と戦いながら七回を無失点で切り抜けた一方、八回に崩れて5失点(自責点4)。カイル・シュワーバーにこの日2本目の本塁打も浴びた。

カーショーを2イニング目に送り出した理由は、ブルペンの投手起用が1枚欠けていたからだと考えられる。試合後、ロバーツ監督はタナー・スコットが私的理由でチームを離れていたと明かした。ドジャースがこの日、スコット以外で起用しなかった救援は佐々木、アレックス・ベシア、エメット・シーハンの3人。大差の試合で消耗させたくない意図があったと考えられる。

ドジャースは依然として本拠地でシリーズを決められる好位置にいる。第4戦はタイラー・グラスナウがドジャース移籍後初のポストシーズン先発。さらに、この日は信頼度の高い終盤でのリリーフ投手を温存できた。

一方で、敵地での快勝を受けてフィリーズもシリーズの手応えを取り戻したはずだ。勢いは、わずかなきっかけで逆方向へ振れる。

「勢いなんて、結局は先発次第だろ?」とカーショウ。
「グラスナウが行く。手応えは十分だし、準備もできている。2勝1敗でまだリードしている。悪くない位置にいるよ」と勝利を信じている。