ドジャース2026年先発陣は、球団史に残る布陣となるか

January 14th, 2026

1966年のドジャースは、ドン・ドライスデール、ドン・サットン、クロード・オスティーンがそろって安定した成績を残し、3人全員がFanGraphs WARで4.0以上を記録した。ただ、その年の先発ローテーションを特別な存在にしているのは、引退を間近に控えながら歴史的なシーズンを送ったサンディ・コーファックスの圧倒的な存在感だ。

コーファックスは9.1のfWARを叩き出し、先発陣全体の合計は23.4 fWARに到達。これはロサンゼルス移転後、球団史上最多の数字である。次点は、バート・フートンとトミー・ジョンを中心とした1977年の22.0 fWAR。比較的最近では、2021年の先発陣が20.8 fWARを記録し、歴代4位に名を連ねている。

そして今、その“歴史的ローテーション”と肩を並べ、あるいは超える可能性を秘めた先発陣がある。それが、2026年のドジャースだ。ここから、その条件を一つずつ見ていきたい。

1.山本は今年もエースの座に君臨

2025年のドジャース先発陣は入れ替わりが激しく、起用された先発投手は17人。これはリーグでも3番目に多い数字だった。その中で、シーズンを通して軸として機能したのが山本由伸だ。チームで20試合以上先発した投手はクレイトン・カーショウと山本だけ。その山本は30試合に先発し、ローテーションを支え続けた。

内容も申し分ない。防御率2.49はナ・リーグ2位。被打率.183、9回あたりの被安打数5.85はいずれも規定投球回到達投手の中でトップだった。サイ・ヤング賞投票でもナ・リーグ3位に名を連ねている。

ポストシーズンでは、さらに存在感を示した。37回1/3を投げて自責点はわずか6。2試合連続完投という圧巻の投球で、ワールドシリーズMVPに選ばれた。27歳を迎える今季も、山本に求められるのは「例年並み」ではなく「卓越した投球」だろう。それだけの実績を、すでに示している。

2.二刀流・大谷の“フルシーズン”

メジャー8年目を迎える大谷翔平。しかし投手として防御率タイトルの規定投球回に到達したのは、これまで一度しかない。2022年は投手としてはキャリア最高のシーズンを過ごし、166イニングを投げて防御率2.33、FIP2.40。奪三振率から四球率を引いたK-BB%は26.5%でメジャートップ、投手fWAR(5.6)も全体5位に入っている。

ドジャースは昨夏、キャリア2度目の大きな肘手術から復帰した大谷を慎重に起用。レギュラーシーズン終盤にかけて徐々に制限を緩め、登板ごとにイニングを伸ばしていった。その最終3先発では14回2/3を無失点、18三振、与四球2。フィリーズ戦での5回無安打投球や、ダイヤモンドバックス戦での圧巻の最終登板も、その中に含まれている。

オフシーズンを万全の状態で過ごせた二刀流・大谷は、2026年、フル稼働が見込まれる。

3.スネル&グラスナウ、フル稼働は可能か

投手にとってケガをしないことは、ブレイク・スネルタイラー・グラスナウに限らず重要だ。昨季のレギュラーシーズンは、2人にとって不本意な1年だった。スネルはドジャース移籍後わずか2先発でIL入りし、左肩の炎症により約4カ月を棒に振った。グラスナウも右肩の炎症で、およそ10週間離脱している。

キャリア10年を超える2人にとって、ケガはこれまでも悩みの種だった。グラスナウは1シーズンで134イニング以上を投げたことがなく、スネルも130イニングを超えたのは2度だけ。ただし、その2度はいずれもサイ・ヤング賞を受賞している。2人に160イニング前後を計算に入れるのは現実的とは言えないが、2025年に2人合わせて投げた151回2/3を上回るだけでも、大きな上積みになる。

忘れてはならないのは、万全な状態のスネルとグラスナウがどれほど支配的な投球を見せるか、という点だ。通算750イニング以上を投げた現役先発投手の中で、奪三振率30%以上を記録しているのは、ジェイコブ・デグロム、クリス・セール、そしてこの2人だけである。

4.佐々木とシーハンの前進

佐々木朗希は、昨季プロスペクト全体1位としてメジャーにきたが、その船出は決して順調とは言えなかった。与四球が多く、空振りも想定より少ない内容で、8先発を終えた時点でのFIPは6.19。右肩のインピンジメントも重なり、4カ月以上の離脱を余儀なくされた。

それでも復帰後は、終盤を担うリリーバーとして躍動した。2026年は再び先発ローテーションに戻る見込みで、24歳の佐々木は、どの球団にとっても「最も才能豊かな5番手先発」と言っていい存在だろう。

ドジャースは昨季終盤、6人制ローテーションを採用しており、その形が今季も引き継がれる可能性がある。その場合、6番手候補として名前が挙がるのがエメット・シーハンだ。トミー・ジョン手術からの復帰シーズンとなった昨季は、73回1/3を投げて防御率2.82、89奪三振と見事なパフォーマンスを披露した。奪三振率(30.6%)、空振り率(32.9%)、スイング誘発率(32.8%)はいずれも90パーセンタイル超。ローテーションの厚みを支える存在として、さらなる期待がかかる。

5.層の厚さが支える先発陣

メジャー屈指の先発ローテーションを下支えしているのが、豊富すぎるほどの控え投手陣だ。中心となるのはギャビン・ストーンリバー・ライアン。2人はいずれも2年前には球団内プロスペクトランキングのトップ10に名を連ねていた右腕で、昨季はそれぞれ右肩手術、トミー・ジョン手術からのリハビリに専念し、1年を棒に振った。ただし、2024年にメジャーを初めて経験した際には確かなポテンシャルを示しており、スプリングトレーニングには万全の状態で臨めると見られている。

さらに、ランドン・ナックカイル・ハートジャスティン・ロブレスキーボビー・ミラーベン・カスパリアスといった面々も、状況次第ではローテーション後半を任せられる存在だ。連覇中の王者にとって、まさに「ぜいたくな悩み」と言える層の厚さである。

昨季のドジャース先発陣は、防御率(3.69=5位)、FIP(3.84=4位)、xERA(3.80=2位)、被打率(.222=1位)、K-BB%(16.1%=5位タイ)と、主要指標のほとんどでリーグ上位に名を連ねた。一方で、先発投手の投球回数は783回1/3にとどまり、レギュラーシーズンではロッキーズとホワイトソックスしか下回らなかった点が課題として残った。

しかし、ポストシーズンでは、先発陣が万全に近い状態でそろったときの可能性を垣間見せた。10月に起用された先発投手は、山本、大谷、スネル、グラスノーの4人のみ。104イニングで防御率2.68、120奪三振、被OPS.550という圧倒的な数字を残している。

この顔ぶれが、今季もロサンゼルスを3連覇へと導こうとしている。すべてがかみ合えば、この先発ローテーションは、ワールドシリーズ3連覇だけでなく、球団史に残る偉業を成し遂げる可能性も秘めている。