決戦の舞台に立つのは2チームが決まった。2025年のワールドシリーズは、連覇を狙うドジャースと、1993年以来の出場となるブルージェイズの顔合わせ。
このカードは、シーズン開幕前には予想が難しかった組み合わせだ。ドジャースは強豪として今年も優勝候補に挙げられていた一方、ブルージェイズは前年最下位という屈辱を乗り越え、下馬評を覆してきた。
リーグ優勝決定シリーズ(LCS)での戦いぶりも対照的で、ドジャースはブルワーズを4連勝で下したのに対し、ブルージェイズはマリナーズ相手に2連敗、3勝2敗からの逆転勝利を果たし、第7戦の劇的な勝利でシリーズを制した。
こうして実現した顔合わせは、近年の因縁や話題が交錯する、注目度の高いワールドシリーズとなる。第1戦は24日(日本時間25日)にプレーボールする。
ここからシリーズの見どころ6つを紹介する。
1 大谷翔平 vs. トロント
2023年12月8日は、ブルージェイズにとって失望の一日として記憶されている。
この日、「大谷翔平がトロント入りする」という噂が飛び交い、ファンはフライトトラッカーに釘付けとなった。しかし実際、大谷がトロントに向かうことはなく、その翌日、大谷はインスタグラムにて、ドジャースと10年総額7億ドルで契約することを発表し、ロサンゼルス移籍が決定した。さらにブルージェイズは、オフにドジャース入りした佐々木朗希の獲得競争でも最終候補となっていたが、彼もまた大谷の元に加わった。
今シリーズは、ブルージェイズにとって「あと一歩届かなかった未来」を象徴する戦いで、それと同時に、過去の大型FA失敗から脱却し、チームの方向性を大きく転換するチャンスでもある。
2 スプリンガー vs. ドジャース
ドジャースにとって、2017年のワールドシリーズ敗北は未だに消えぬ傷になっている。2020年と2024年の優勝である程度の雪辱は果たしたものの、当時のサイン盗みスキャンダルは今なおドジャースファンの間で語られている。そのスキャンダルの渦中にいたのがジョージ・スプリンガーで、2017年シリーズではドジャース相手に5本塁打(うち2本は第7戦)を放ち、MVPに輝いた。
現在ブルージェイズに所属するスプリンガーは、再びワールドシリーズでドジャースと対峙することになる。ALCS第7戦では逆転3ラン本塁打を放ち、キャリア23本目のポストシーズン本塁打で歴代3位タイに並んだ。
3 ボー・ビシェットはWSで復帰するのか
ブルージェイズの快進撃は、主力遊撃手ボー・ビシェット不在での戦いだった点でも特筆に値する。ビシェットは左膝の捻挫により9月初旬から離脱していたが、ALCS第7戦後には「出場準備はできている」と明言した。
「どう起用されるかは分からないが、準備はできている」
今季、ビシェットは139試合に出場し、打率.311、18本塁打、94打点、OPS.840という好成績を残している。今オフにはFAとなる見込みで、彼の復帰がシリーズの流れに大きな影響を与える可能性がある。
4「休養が吉と出るか凶と出るか」データはブルージェイズに味方するのか
NLCSを4連勝で突破したドジャースは、ワールドシリーズ第1戦までに6日間の休養期間を確保した。理論上は、激戦を終えたばかりのブルージェイズよりも有利とみられる。しかし、歴史的なデータは興味深い傾向を示している。1985年にLCSが7戦制となって以降、一方がスイープ、もう一方が7戦までもつれたケースは今回で5度目で、過去4回のすべてにおいて、7戦を戦ったチームがワールドシリーズを制している。
5 ゲレーロJr.は伝説的ポストシーズンを締めくくれるか
今ポストシーズン、ブルージェイズは打線全体が機能しているが、中心にいるのはブラディミール・ゲレーロJr.だ。打率.442、6本塁打、12打点、OPS 1.440(11試合・51打席)という驚異的な数字をマーク。ALCSではMVPを受賞し、もしこのまま優勝すれば、史上屈指のポストシーズン成績として語り継がれることになるだろう。
ちなみに、ポストシーズンで50打席以上かつOPS1.300超を記録しつつ、チームを優勝に導いた選手は、ポール・モリター(1993年)とアレックス・ロドリゲス(2009年)の2人しか存在しない。
6 ブルージェイズはドジャース投手陣の牙城を崩せるか
ドジャースは今ポストシーズン、レッズ、フィリーズ、ブルワーズを相手に10試合でわずか28失点という圧倒的な投球を披露。その中心となっているのが、山本由伸、ブレイク・スネル、タイラー・グラスナウ、大谷翔平の先発4本柱だ。さらに、右肩のケガから復帰した佐々木朗希がリリーフに回り、クローザーとして安定した役割を果たしている。
これら5投手で、今ポストシーズンのチーム全アウトの約80.4%を、NLCSでは実に87%に達した。これで不安視される中継ぎ陣の負担を最小限に抑えることができている。ブルージェイズがこの強力な投手陣にどこまで食らいつけるかが、シリーズの行方を大きく左右する鍵となる。
