【ダイヤモンドバックス0-8ドジャース】フェニックス/チェイスフィールド、9月25日(日本時間26日)
13年連続のポストシーズン進出。
常勝軍団・ドジャースは、それが「当たり前」ではないことを誰よりも熟知している。今季も圧倒的な強さを元に、ナ・リーグ西地区の頂点を目指して開幕に臨んだ。
ダイヤモンドバックス最終戦で快勝し、地区優勝を決めた瞬間、デーブ・ロバーツ監督の口から出たのは「安堵」ではなく「確信」だった。浮き沈みの激しいチームを率いた指揮官は、このチームは最後には「いるべき場所」に戻ってくると信じてきた。
「このチームならやり遂げる。心からそう確信していた」とロバーツ監督は語った。
チェイスフィールドのビジタークラブハウスには、朝から壁に防護用のビニールシートが張られ、祝杯の準備が整えられていた。「確信していた」とはいえ、やはり毎年、優勝は格別だ。13年で12度目となる地区優勝と成し遂げた選手やスタッフは、ひと時のお祝いの時間を楽しんだ。
シャンパンとビールが飛び交い、床には泡がたまり、一部の選手やスタッフはまるでスリップ&スライドのように床でスライディングパーティを繰り広げた。
葉巻の煙が立ち込める中、その中心にいたのはクレイトン・カーショウ。彼にとっては、おそらくこれが現役生活最後となるレギュラーシーズンでの祝勝会だった。
「これが一番恋しくなるんだろうな。投げるのも大好きだけど、みんなで一つの目標に向かって進むこの時間、その絆や仲間意識、苦しい時を乗り越えて喜び合う瞬間こそが、何より特別なんだ。他のどこにも、こんな経験はないよ」
現ワールドシリーズ王者であるドジャースは、最後の2カ月を通して、4ゲーム以内に迫っていた2位パドレスを振り切り、理想的な展開で西地区を制した。先発・山本由伸の快投、そしてフレディ・フリーマン、大谷翔平、アンディ・パヘスによる豪快な一発攻勢が勝利を決定づけた。
シーズンを通して唯一、ローテーションを守った山本は、レギュラーシーズン最終登板で6回無失点、7三振の圧巻の投球を披露した。
二回にはフリーマンとパヘスが連続ホームランで試合の口火を切り、大谷が自身のキャリアハイ&球団記録に並ぶ54号、さらに再びフリーマンが2本目となるホームランを放ち、ドジャースはわずか四回までに8点の大量リードで、疲弊気味のブルペンを援護した。
「スプリングトレーニングの終わりには、『スーパーチーム』って言われていたけれど、結局はグラウンドの上で勝負が決まる。チームには素晴らしい才能があるけど、たくさんの壁にもぶつかった。決して順風満帆ではなかったけど、それでもここまで来た。それがすべてだよ」とフリーマンは振り返る。
過去25年間でワールドシリーズ連覇を果たしたチームはひとつもない。最後にそれを成し遂げたのは、1998~2000年に3連覇を達成したヤンキースだ。
ドジャースは今季、連覇の難しさを身をもって知り、再びその頂に挑む。
「簡単にはいかない。でも、それでいいんだ。楽に勝てるものじゃないからね」と指揮官は語る。
大型補強で臨んだ今季のドジャースは、記録的な強さでリーグを圧倒する。そう誰もが期待していたが、現実は違った。
ダイヤモンドバックス最終戦が、今季90勝目。仮に残り全勝しても、今季は93勝止まりで、これは、ポストシーズン進出を続けてきたこの13年の中でも、フルシーズンでの勝利数は下位に位置する。
「今季は特にいろいろなものを背負ってきた。体力的にもかなりきつかった。毎年深くまでプレーオフを戦っていれば、そりゃ体にくるよ。今季はそれを一番感じた年だった。でも、まだ終わってない。ここからが本番。このチームは、本当に特別なんだ。仲間が特別なんだ。いろんなことを乗り越えてきたからこそ、ここまで来られた」とマックス・マンシーは語る。
今季は、ブルワーズとフィリーズの上位2チームが第2ラウンド(地区シリーズ)からプレーする権利を獲得したため、ドジャースは2021年以来となるワイルドカード・シリーズからのスタートとなる。現行の3戦2勝制の形式では初めての挑戦となり、本拠地でナ・リーグ第6シードを迎え撃つ。
昨年、困難を乗り越えて球団史上8度目となるワールドシリーズ制覇を果たしたドジャースは、『頂点に立つために必要なもの』を身をもって理解している。今季は連覇を目指す中で、ポストシーズンで昨季より2試合多い、計13勝が必要となる。
指揮官は、「信仰と家族を除けば、これからの5週間は、人生で最も重要な時間になる。これまでに何を成し遂げてきたかなんて関係ない。大切なのは、互いのためにプレーし、信頼し合い、そして優勝をつかみにいくことなんだ」と締めくくった。
