オープン戦初登板のシース 新天地で真価を発揮するか?

February 28th, 2026

ディラン・シースは、サイ・ヤング賞級の才能を持っている。

それはすでに証明済みだ。2022年、ア・リーグのサイ・ヤング賞まであと一歩に迫ったが、歴史的なシーズンを過ごしたジャスティン・バーランダーに阻まれた。

28日(日本時間3月1日)のスプリングトレーニング初登板は、いわば“前菜”だった。まだ2月だというのに、フィリーズ打線に対し98マイル(約158キロ)を投げ込み、すでに圧倒的な投球を見せた。

「最初はやっぱり強い印象を残したい。レギュラーシーズンほど重要ではないが、良いスタートを切りたかった」とシースは語った。1回2/3を投げて1失点、1安打、1四球、3三振だった。

この日のベストボールは、ブライス・ハーパーを空振りに仕留めた97.5マイル(約157キロ)の直球だった。もちろん本番まではまだ遠いが、ブルージェイズが7年総額2億1000万ドル(約315億円)という球団史上最大のFA契約を提示した理由が垣間見える内容だった。

メジャー7年間で、シースは浮き沈みを経験してきた。下振れたとしても十分に優秀な成績だが、上振れたときはリーグ屈指のレベルであり、ブルージェイズが求めているのは、その最高到達点を安定して発揮することだ。それこそがシースがトロントを選んだ理由でもある。実力はすでに証明済みだが、本人が求めているのは一貫性であり、それを毎シーズン積み重ねることだ。

才能ある投手にとっては紙一重の差だが、シースにはそこへ到達する力がある。

最優先はフォームの確立

シースはまず状態を上げ、勝負のかかった試合にピークを合わせたいと考えており、その土台を築くのが今の時期だ。そして大きなポイントについては、本人と監督の考えは一致している。

「フォームの流れが鍵になる。フォームを保ち続けること。彼が素晴らしい投球を見せたシーズンは、そこが常に安定していた」とジョン・シュナイダー監督は言う。

シース自身は、フォームの仕上がりを「80%くらい」と自己評価し、調整は「かなり順調」と語った。

「今は、実戦に近い強度で、細かな感覚を研ぎ澄ましている段階だ。例えば変化球が何球かワンバウンドしたら、『もう少し高めを狙おう』と頭に刻む。そうやって最も良い球質とコマンドを見つけていく」

球速はすでにチーム随一だが、打者を最も苦しめるのはスライダーで、リーグ屈指の球種になり得る武器だ。さらにチェンジアップにも取り組んでおり、今春後半に実戦で見る機会があるかもしれない。

大きなアップグレード:チーム守備

シースはクリス・バシットほど守備に頼るタイプではないが、それでも守備力は重要だ。端的に言えば、これまで平均以下の守備陣を背に投げてきた彼が、今後は球界トップクラスの守備陣の前で投げることになる。

「彼にとってプラスにしかならない」とシュナイダー監督は言う。

「投手コーチとのセッションや球質改善など、他にも助けになる要素は多い。ただ彼はすでに空振りを奪えるエリート級のボールを持っている。その武器をどう最大化するかだ。もし後ろで好守が出れば、それはボーナスみたいなものだ」

データで見るとより明確だ。フィールド・ラン・バリューによれば、ブルージェイズは過去2シーズン連続でMLB最高の守備力を誇る。2022年以降の順位比較は以下の通りである。

ブルージェイズ:1位、1位、7位、6位
シース所属球団(パドレス、ホワイトソックス):18位、20位、23位、21位

シースはフライを打たせることの多い投手であり、外野守備の影響が大きい。2022年、ホワイトソックスは外野守備のフィールド・ラン・バリューで30球団中28位と、十分な援護は得られていなかった。

三振を多く奪う投手だからこそ、先発登板すべてで目に見える効果が出るわけではない。しかしシーズンを通せば確実に積み重なる。180イニングが187イニングへ、防御率3.04が2.97へ。一つ一つのプレーが、その差を生む。