【解説】スター外野手タッカー、打撃不振の要因は?

July 28th, 2026

ドジャースは昨オフ、外野手カイル・タッカーと救援投手エドウィン・ディアスをフリーエージェントで獲得し大型補強に動いた。しかし今のところ、どちらも期待に応えられていない。(それでもチームは余裕を持って、ナ・リーグ西地区優勝へ突き進んでいる。)ディアスは開幕後にわずか6イニングを投げただけで、内容も振るわないまま肘の手術を受けた。ただし、復帰は目前とみられており、戻ってから好投すれば印象を塗り替えることができる。

一方、タッカーの問題はまったく性質が異なる。昨季はカブスで圧巻の前半戦を送った後、後半戦に失速した。しかし、手の骨折を抱えながらプレーし、その後はふくらはぎも負傷していたことが明らかになると、不振にも説明がついた。何より、2022年から2025年まで4年連続でオールスターに選出されていた選手だ。ところが、ロサンゼルスでの最初のシーズンが4カ月を迎えた現在、打率.239、出塁率.334、長打率.376、9本塁打にとどまっている。

27日(日本時間28日)の試合開始前の時点で、300打席以上に立った170選手のうち、タッカーのwRC+99は114位だった。かつて高く評価されていた守備力も低下している。週末のシティ・フィールドで約1カ月ぶりとなる本塁打を2本放つまでは、成績はさらに深刻に見えていた。

過去4シーズン、メジャーでトップ10に入る打者だった姿はそこにない。まだ30歳にもなっておらず、年齢が原因とは考えにくい。時折、背中のけいれんに悩まされているとはいえ、チームの106試合中97試合で先発しているため、健康状態だけで説明することもできない。では、いったい何が起きているのか。シーズン終盤に向けて、どこまで立て直せるのだろうか。

その答えを探っていくが、先に断っておきたい。明確な原因が一つ見つかるような、すっきりした話ではない。さまざまな部分で小さな数字の悪化が重なり、結果としてリーグ平均程度の打者になってしまっている。ドジャースが獲得したはずのスターとは、程遠い姿だ。

もちろん、メッツ戦で放った2本塁打が復調の始まりなら、話は別だ。

繰り返しになるが、悪い意味での”チリツモ”のような状態になっている。三振率は昨季の15%から19%へ上昇したが、それでもメジャー平均より低い。四球率は15%から12%へ低下したものの、こちらもまだメジャー平均を上回っている。ゴロ率はわずかに上昇し、ハードヒット率とバットスピードは少し落ちているが、壊滅的ではない。ボール球を振る割合も大幅に増えているが、指標上はMLB全体の上位2%から19%に下がっただけで、やはり「メジャー平均より優れている」水準だ。

こうした小さな変化が積み重なり、全体として大きな不振につながっている。特定の球種だけを打てなくなったわけではなく、すべての球種に対する成績が落ちている。突き詰めると、最大の問題は「質の高い打球を生み出せなくなっている」ことだ。「ゴロが少し増えた」「強い打球が少し減った」という変化により、全打球に占めるバレルの割合が昨季の11%からわずか7%まで低下した。これは大きな違いだ。バレルになった打球の長打率は、バレル以外の打球のおよそ3.5倍に達する。(バレル:打球速度と打球角度が理想的に組み合わさった、空中への強い打球を指す)

ここでようやく、リーグ平均を明確に下回る数字が見つかる。過去数年、打球をバレルにする割合でタッカーは上位30%前後に位置していた。しかし今季は63%にすぎない。バレルになった打球の結果が悪くなったのではなく、そもそもバレルを生み出す回数が減っているのだ。

実のところ、今回の不振はほぼこれだけで説明できる。昨季と今季のバレル以外の打球成績を比べても、ほとんど違いはない。バレルが打球速度と打球角度の完璧な組み合わせなら、非バレルは弱い打球、強烈なゴロ、ポップフライなど、それ以外のすべてを含む。つまり、打者にとって理想的な打球以外のすべてだ。

タッカーのバレル以外の打球

  • 2025年:全打球の89%/打率.280/長打率.350
  • 2026年:全打球の94%/打率.282/長打率.353

結果はほぼ同じだ。すねを負傷するまでキャリア最高のシーズンになりそうだった2024年を除けば、過去5年間のうち4年間で同様の傾向が見られる。タッカーが抱える問題が何であれ、バレル以外の打球の結果ではない。

では次に、バレル、つまり質の高い打球を見てみよう。

タッカーのバレル打球

  • 2025年:全打球の11%/打率.711/長打率2.356
  • 2026年:全打球の7%/打率.684/長打率2.316

それでも極めて優秀で、過去数年と変わらない水準にある。これもまた真の原因ではなかった。

結局のところ、すべてはわずかに減ったバレルに行き着く。例年なら7月末までに32本ほど記録しているはずだが、今季はわずか19本にとどまっている。

大きな価値を持つ打球が十数本減っただけでは、ここまでの不振を説明できないように感じるかもしれない。しかし、それだけわずかな差が成績を大きく左右し、バレルが極めて高い価値を持つということでもある。(また、タッカーの今季は確かに期待外れだが、完全な失敗というより、期待された水準に届いていないという方が正確だ。OPS+97が示す通り、現時点でもおおむねリーグ平均レベルの打者ではある。)

だが、その十数本は実際に大きな意味を持つ。過去5年間のバレルの結果、つまり70%が長打となり、半数が本塁打になるという割合を当てはめ、今季のタッカーにバレルをあと12本加えてみよう。すると、本塁打6本と二塁打2本、アウト4個が追加される。それだけで、現在の成績は[打率.239/出塁率.334/長打率.376/OPS.711]から[打率.253/出塁率.344/長打率.440/OPS.784]へと変わる。

これは、アンディ・パヘスと比較的近い成績であり、リーグ平均を約20%上回る打者ということになる。全盛期ほどではなくても、タッカーに対する懸念の多くは和らいでいただろう。

実際、タッカーはメッツとのカードを迎えるまで、丸2週間にわたって一度もバレルを記録していなかった。

「ボールが向かってくるのをしっかり見てスイングし、打球がバットを離れて思い通りに飛んでいくところまでイメージできる時がある。でも、実際にはそうならない。少しもどかしい。……時にはそういうこともあるけれど、今年はそれがずっと多いように感じる。次の1球に食らいつき、その打席を続けていくしかない」と、タッカーはニューヨークで記者団に語った。

しかし、その記録は24日、A.J.ミンターから本塁打を放ったことで途切れた。翌日、三回にノーラン・マクリーンから放った本塁打もバレルだった。さらに、外野フェンス際へのフライアウトとなったものの、四回の打球もバレルに該当した。また、マクリーンから放った本塁打は、ただの一発でもなかった。打球速度は約173.3キロで、タッカーにとって直近1年以上の間で最も強い打球だった。

25日の試合後、タッカーはFOXの中継で、好調だった週末の感触について語った。

「かなりよくなっている。いい球でも見送るべきものは見送り、自分が打ちたい球を振ることが一番大切だ。そして、ストライクゾーンに来た球に対して、いいスイングをするよう心がけている。昨日も今日も感触がかなりよかった。このまま続けていければと思う」とタッカーは語った。

これは、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が2カ月前にOCレジスター(カリフォルニア南部の地元メディア)に語った内容とも、ある程度重なる。

「初球に限らず、全体的に見ても、キャリアを通じてこれまでよりスイング率が高くなっていると思う。打つ球を十分に選べていないことの表れだろう。もともとカウントを深くまで進められる打者で、2ストライクに追い込まれても問題なく対応できる。しかし、私が覚えている姿と比べると、今はかなり積極的になりすぎているように見える」と指揮官は語った。

すべては、どの球を振るかという判断に行き着く。これは評価が非常に難しい要素として知られている。基本的にはストライクを振り、ボール球を見送ることが望ましい。しかし、ストライクでも打者にとって打ちやすい球とは限らないため、話はそれほど単純ではない。その影響は、タッカーのバットスピードの変化にもある程度表れていると考えられる。おそらく「強く振ろうと決めた」というより、「より打ちやすい球を振るようになった」のだろう。ここでいう打ちやすい球とは、より質の高いコンタクトを生み出せる球を指す。バットスピードは、純粋なスイングの強さだけでなく、タイミングにも大きく左右されるからだ。

Tucker's May/June bat speed was his lowest in the last four years, though it's rebounded in July.

タッカーの5月と6月のバットスピードは過去4年間で最も遅かったが、7月に入って回復している。

打つ球の選択が悪化したことで質の高い打球を生み出せなくなり、その判断が改善しつつあるだけなら、週末にクイーンズで見せた姿は復調の始まりだったのかもしれない。そしてシーズン序盤の苦戦も、新天地に慣れるまで少し時間を要した選手の、よくある一例にすぎなかったということになるかもしれない。

ただし、不可解な現象もいくつか起きている。

一つは三振率だ。6月は打席の27%で三振を喫した。50打席以上に立った月に限れば、キャリアで2番目に高い数字だった。ところが7月は、ここまで11%まで大幅に低下し、キャリアで3番目に低い数字となっている。それにもかかわらず、メッツとのシリーズを迎えるまでは、キャリアでも屈指の低調な月となっていた。

もう一つは、ドジャースタジアムで不可解なほど結果を残せていないことだ。本拠地ではわずか2本塁打にとどまっている。「不可解」と表現するのは、以前から投手有利というイメージがある一方、実際にはここ数年、メジャーでも特に本塁打が出やすい球場の一つだからだ。それでもタッカーは、敵地でOPS.804という好成績を残しているのに対し、本拠地ではOPS.607と極端に低迷している。敵地ではハーパーやニック・カーツを上回り、メジャー上位50人に入る打者だが、本拠地ではワースト12人に入る。(なお、2021年から2025年にビジターとしてドジャースタジアムで出場した8試合では、OPS1.200を記録していた。)

おそらく、これは奇妙な偶然にすぎないのだろう。もっとも、タッカーがドジャースで過ごす最初のシーズンは、ほとんどすべてがどこか不可解だ。ディアスと同じように、新天地で出遅れても、チームのプレーオフ進出には影響しないという恵まれた状況にいる。そしてディアスと同じく、10月に本来の姿を取り戻せば、ここまでの苦戦を覚えている人はいなくなるだろう。シティフィールドで放った2つのアーチは、その始まりなのかもしれない。