「これ以上のプレーはない」
フェルナンド・タティスJr.のプレーは常にわれわれの想像を超えていく。
レッズ戦の四回、タティスは右翼フェンス際でタイラー・スティーブンソンの大飛球をもぎ取った。
ここ27試合で4度目となる本塁打キャッチは、これまで以上のハイレベルなプレーだった。
打球は強烈なライナーで右翼フェンスへ。タティスは背走しながら一連の動作でジャンプし、右足で壁を蹴って反動を得ると、左腕をフェンスの上に伸ばしてボールをつかみ捕った。すぐさま一塁に送球。一塁走者ギャビン・ラックスをダブルプレーに仕留めかけるおまけ付きだった。
先発キングも驚きの表情で超人タティスの神業キャッチを見つめた。
「まさに芸術だ。タイミングがすべて。そして必要なのは、あの驚異的な身体能力だ」
パドレスのマイク・シルト監督は、前回のラファエル・デバースからのホームランキャッチ後にそう語っていた
2023年から本格的に右翼に定着したタティスは、球界屈指の外野手となった。守備全体の頂点に贈られるプラチナ・グラブ賞をその年に獲得し、今年もゴールドグラブ賞は堅いと見られている。
この「強奪ショー」の始まりは7月8日、当時ダイヤモンドバックスのジョシュ・ネイラーから。さらに7月28日にはメッツのマーク・ビエントス、8月にはジャイアンツのデバースの一発も奪い、そして今回、また新たな伝説を刻んだ。
ペトコパークの右翼フェンスは決して低くない。本塁打キャッチが頻発する球場でもないだけに、この連続は異例だ。今の球界で、タティスJr.に並ぶ外野手はいない。
