仙台大・佐藤幻瑛が米大学へ編入し、2027年MLBドラフトを目指す

3:18 AM UTC

右腕の佐藤幻瑛(げんえい)は、12月17日に21歳の誕生日を迎え、2026年の日本プロ野球(NPB)ドラフトで1位指名も狙える存在へと成長している。だが、本人が見据えているのは別の道だ。

球界関係者がMLB.comに明かした情報によると、仙台大学3年生の佐藤は2026年2月に米国の大学へ編入し、2027年7月のMLBドラフトにエントリーする意向を持っている。佐藤は今夏、米大学のNCAA(全米大学体育協会)の1部リーグ(ディビジョン1)の複数校から、編入の勧誘を受けていた。柏木農高(青森)では、ほぼ無名選手だったが、仙台大進学後に才能が開花。リーグ戦では、すでに複数球団のMLBスカウトが調査を続けている。佐藤本人も「世界のトップで競いたい」という希望があり、将来的にメジャーリーガーの夢を実現するため、米大学への編入へ気持ちが傾いた。

日本人選手がメジャーを目指すルートとしては異例だ。現在、多くの日本人選手は1990年代後半に導入されたポスティングシステムを通じてMLBへ移籍している。しかし、佐藤のようにNPB球団と契約していない選手は、その制度の対象外だ。そのため、近年は米国の大学野球を経由してMLBを目指すことを検討する選手が増えている。

先駆者が全くいないわけではないが、佐藤も新しい道を切り開こうとしている1人だ。NPBではなくNCAAを選んだ初の日本人高校生として話題になった佐々木麟太郎(20)は、スタンフォード大でまだ2年生だ(ソフトバンクが1位指名)。日本の大学からシアトル大に編入し、今春からジョージア大でプレー予定の二刀流選手石川ケニー(21)もいる(オリックスが6位指名)。

ベースボール・アメリカ誌の紹介によると、佐藤は身長6フィート(約183センチ)、体重180ポンド(約82キロ)と比較的細身ながら、すでに90マイル台後半(約156〜160キロ)の速球と、90マイル台前半(約148〜150キロ)のスプリットを投げている。球種にはスライダーも含まれるが、スカウトはまだそれほど多くを確認できていないという。

佐藤は2026年、サマーリーグでのプレーを検討中(サマーリーグとは、大学が夏季休暇で活動がない期間の実戦機会)。米大学に編入後は、2027年の大学春季リーグでのプレーが見込まれている。同年7月のドラフトでMLB球団からの指名を待つ予定だ。

今夏の日米大学野球選手権では、将来のドラフト1巡目指名候補が並ぶ米国代表打線を相手に登板。そこで佐藤は、MLBパイプラインのドラフト有望株ランキングで1位、ローチ・チョロウスキー(UCLA=カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、同5位のドリュー・バーレス(ジョージア工科大)、同15位のA.J.グラシア(デューク大)から、三振を奪っている。

「彼は本物だよ」とチョロウスキーは佐藤の印象をベースボール・アメリカ誌に語っている。

「直球は97〜99マイル(約156〜160キロ)くらいで、スプリットは92マイル(約148キロ)。ストレートはホップ成分が多くて、スプリットも球速は速いのに、きちんと落差がある」と評している。

佐藤は現在、編入に向け事務的な手続きなどを進め、準備を進めている。

日本のドラ1候補から、MLBの1巡目指名を目指し海を渡る。