【マリナーズ6-2ブルージェイズ】シアトル/Tモバイル・パーク、10月17日(日本時間10月18日)
ブルージェイズのジョージ・スプリンガーが、ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)第5戦の七回、右膝に死球を受け、途中交代した。顔をゆがめ、足を引きずりながらベンチへと下がった。試合はブルージェイズが敗れ、対戦成績は2勝3敗とした。
ブライアン・ウーの投じた95.6マイル(約154キロ)の速球が内角へ食い込み、スプリンガーは避けることができず、激痛に耐えかねてその場に倒れ込んだ。スプリンガーは、駆け寄ってきたシュナイダー監督とヘッドトレーナーのホセ・ミニストラルに支えられながら歩き、プレー続行を試みたが、最終的には断念。悔しさをにじませながら交代した。
「右膝の打撲だ。X線検査では骨に異常はなく、今夜帰宅後にさらに検査を行う予定だ。ジョージは非常にタフな選手で、第6戦のスタメンを外れるとすれば、相当ひどい痛みがある時だけだろう」
そう説明したシュナイダー監督は、少し間を置いてから付け加えた。
「ここが素晴らしい雰囲気の球場であることは理解しているし、ここでプレーできるのは本当に特別なことだ。だが、彼にブーイングを浴びせたファンには自分を見つめ直してほしい。彼がどんな選手なのかを理解してほしい。膝に打球を受けて明らかに痛がっている選手に、4万人が罵声を浴びせるのは間違っている」
スプリンガーはこのシリーズを通じて敵地の観客から激しいブーイングを浴びてきた。それ自体はALCSの舞台ではよくあることだが、問題はスプリンガーが膝を痛めて立ち上がろうとしているときも、そのブーイングが止まなかったことだ。
クラブハウス内でも同じ感情が広がっていた。アーニー・クレメントも指揮官と同様、強い言葉で失望を表した。
「正直、あり得ない。ケガで倒れている選手にどうしてブーイングできるのか理解できない。このシリーズを通してマリナーズファンをリスペクトしてきたし、実際に話した人たちは本当に素晴らしかった。でも、あの場面は違った。あれは品位に欠けていた」とクレメントは語る。
スプリンガーの貢献度は計り知れない。五回には二塁打で1点目をマークし、これでポストシーズン6試合連続の長打。レギュラーシーズンの勢いのまま10月も躍動しており、代わりを見つけるのはほぼ不可能だ。
第6戦(19日)への出場の可否は、現時点では前向きな見方がされているが、慎重な判断が必要だろう。骨には異常がなかったものの、今後2日間で腫れの具合やどこまで走れるかどうかを確認する予定で、単なる痛みの問題なのか、それともプレーに支障が出るほどなのかが焦点となる。
16日にアンソニー・サンタンデールの代わりにロースター入りしたジョーイ・ロパーフィドが、この日はスプリンガーの代走として出場。しかし、DHのスプリンガーが第6戦に出られない場合は、デービス・シュナイダーら他の選択肢も考えられる。
仮にケガの影響でスプリンガーをALCSのロースターから外せば、サンタンデールと同様にワールドシリーズの出場資格を失う。そのため、ブルージェイズはスプリンガーが少しでもワールドシリーズに出場できる可能性があるなら、第6戦および第7戦まで帯同させるだろう。
ボー・ビシェットも有力な代替候補の一人ではあるが、9月初旬に痛めた左膝の回復途上にある。ランニングを再開しているものの、復帰に向けて、チームが求めるすべての項目をクリアしてはいない。代替案としてはタイ・フランスが現実的と見られる。
ただしスプリンガーは、このチームの大黒柱だ。スプリンガーが一塁から一気にホームへかえり、歯を食いしばって叫びながら三塁を回る姿は、2025年のブルージェイズを象徴するプレーとなるだろう。ブラディミール・ゲレーロJr.がスーパースターなら、スプリンガーは背中で引っ張るリーダーだ。
ブルージェイズはスプリンガーの復帰を必要としている。しかし、もし第6戦に間に合わないとしても、チームにとっては“シーズンを延ばす”もう一つの理由になるだろう。
