ミス重なり初戦黒星のガーディアンズ、再びの番狂せ狙う

「崖っぷちこそ大好き」レギュラーシーズンのような逆転劇へ

September 30th, 2025

ガーディアンズ1-2タイガース】クリーブランド/プログレッシブフィールド、9月30日(日本時間10月1日)

九回裏、先頭のホセ・ラミレスが打席に立つと、一塁側スタンドのファンが「YOU’RE IN BELIEVELAND」と書かれた横断幕を掲げた。どんな逆境でも、今年のチームなら信じられる。奇跡的な逆転優勝を果たし、ポストシーズンに駒を進めた。

ラミレスはタイガースの守護神、ウィル・ベストから内野安打を放つと、ハビアー・バイエズの悪送球の間に一気に三塁へ。本拠地のプログレッシブフィールドは逆転の期待感に包まれた。

しかし、カイル・マンザードの打球はベストの正面に飛び、ラミレスは三本間に挟まれてタッチアウト。その後も打線はつながらず、1-2のまま試合は終了した。

「打球が左右に2フィート(約60センチ)でもずれていれば生還できた。不運にもベストの正面に飛んでしまった」とスティーブン・ボート監督は悔しさを滲ませた。

過去の3戦2勝方式のワイルドカードシリーズでは、第1戦に勝ったチームが20回中18回(90%)で突破しており、そのうち16回はスイープで決している。ホームで初戦を落として逆転突破したのは、2020年のアスレチックス(対ホワイトソックス)とパドレス(対カージナルス)の2例のみ。第2戦はあす、10月1日(日本時間2日)に行われる。

「ここ3カ月ずっと崖っぷちだった。それがあと1日増えるだけのことだ」とボート監督は自信を語る。ガーディアンズは最大15.5ゲーム差からタイガースを逆転し、ア・リーグ中地区を制した。

タイガースの先発タリク・スクーバルは、今季、ガーディアンズを4試合28回で防御率0.64と圧倒。この日も7回2/3を投げ、14三振、1失点と圧巻の投球を見せた。しかし、ガーディアンズの先発ギャビン・ウィリアムスも6回を5安打1四球、2失点(自責点なし)、8三振と力投。昨年のア・リーグサイ・ヤング賞左腕と十分に渡り合った。

しかし、ポストシーズンでは細かいミスが勝敗を分ける。

打線が沈黙したのに加え、普段は堅実な守備や走塁でのミスが重なり、ウィリアムスを援護できなかった。

初回、2死からカーペンターの打球をガーディアンズの右翼手ジョナサン・ロドリゲスが捕球に手間取り、カーペンターは二塁へ。続くトーケルソンがレフト浅めに落ちる安打を放ち、ミスを見逃さず、タイガースが1点を先制。

ガーディアンズは四回、先頭のマルティネスが二塁への内野安打で出塁すると、ラミレスが四球を選び無死一、二塁に。その後2つの三振を喫するも、アリアスの打球はスクーバルの頭上を超えて高く跳ね上がり内野安打に。ヘッドスライディングで本塁に飛び込んだマルティネスは一度はアウトの判定になるも、リプレイ検証の末に覆り、1-1の同点に追いついた。

しかし、再び守備の隙をつかれた。七回、先頭のグリーンに二塁打を許すと、続くペレスの打球をブライアン・ロキオが送球したが、一塁のジョンケンジー・ノエルの足がベースを踏んでいなかったためセーフに。無死一、三塁とされ、スクイズで決勝点を奪われた。

「われわれは常にアグレッシブに戦う。それがスタイルだ」とボート監督は語る。最終九回の無死三塁のチャンスについては「あの場面では外野に飛べば1点だったが、そうならなかった」と振り返った。

ボート監督が言うように、ガーディアンズはシーズンの半分を崖っぷちで戦ってきた。6月末からの10連敗、8月中旬の1勝9敗など幾度も「今年は無理だ」と思われながら、1試合ずつ積み重ね、歴史的な逆転劇でポストシーズンにたどり着いた。

この日は最高の投手と対戦し、多くのミスが重なったが、それでも同点にできるチャンスはあった。こうした敗戦からすぐ立ち直れるチームがあるとすれば、それは彼らしかいない。

「われわれは必ず立ち直る。一年中そうやってきた。崖っぷちこそ大好きだ。あすは準備万端で臨み、一つ勝ち取るだけだ」とボート監督。