今永の残留でカブスの投手補強はどう変わるか

6:28 AM UTC

カブスは、今永昇太(32)が先月提示されていた1年契約にサインするのか、それともフリーエージェント(FA)市場に出て勝負に出るのか、はっきり分からなかった。 シカゴの編成本部が複数のルートで投手探しを進め始めた時点では、左腕が後者を選ぶ可能性も現実味を帯びていた。

最終的に今永は、11月18日に2202万5000ドル(約34億3600万円)のクオリファイング・オファー(FA選手に提示する1年契約)を受諾した。これにより、一時的に先発ローテーションに生じていた空白が埋まることになった。

8日の夜、ウインターミーティング会場ホテルのスイートルームで取材に応じたジェド・ホイヤー編成本部長は、この決断にフロントが不意を突かれたという見方をきっぱりと否定した。

「まったく不意打ちなんかじゃなかったよ」とホイヤー本部長は話した。

その結果として、カブスが先発ローテーションを補強する動きは、「主力級の先発投手をあと1人加え、その後ろの層を厚くする投手を探す」という段階に絞り込まれた。同時に救援投手市場にも目を向けており、終盤を任せる投手を複数年契約で獲得する可能性も排除していない。

先発陣の補強はトレード期限前から続く課題でその時点でチームはジョー・ライアン、マッケンジー・ゴア、サンディ・アルカンタラ、エドワード・カブレラら大物投手の名前と結び付けられていた。今オフもそうした名前は依然として噂の中に残っており、フリーエージェント市場にはマイケル・キング、レンジャー・スアレス、フランバー・バルデス、ザック・ギャレン、日本人エース右腕の今井達也らが並んでいる。

カブスは、ディラン・シースがブルージェイズと7年総額2億1000万ドル(約328億円)で契約を結ぶ前、フリーエージェントの右腕として注視していた。チームは今井とキングに関心を持っており、スアレスとギャレンとも、さまざまな報道の中で名前が挙がっている。

今オフ序盤には、カブスが先発投手を2人獲りに行くという見方もあったが、今永の新契約によって状況は変わった。

「今永が戻ってくるかどうかは分からなかった」とホイヤーは話した。

「だから、先発投手をもう1人加えられたのは大きかった。ローテーションの構成についても見通しが立ったし、使える予算の面でも整理がついた。最初から、こうなる可能性があることは分かっていた。それに良い結果だ。今永のような素晴らしい投手がまたチームにいてくれる。とても楽しみにしている」

32歳の左腕は25試合に先発して防御率3.73をマークした一方、144回2/3で31本塁打を浴び、そのうち20本はシーズンの最後の12登板で記録された。左腕は5月に左太もも裏を負傷し、その影響がフォームや球速に長く残った。シーズン中に修正を試みたが、結果は安定しなかった。

当面の目標は、オールスターに選ばれ、ナ・リーグの新人王とサイ・ヤング賞の投票で下位ながら票を集めた2024年の状態にどこまで近づけられるか。クオリファイング・オファーに合意して以降、今永はトミー・ホットビー投手コーチらスタッフと、この冬とスプリングトレーニングに向けた具体的なプランをすでに練っている。

「強いモチベーションを持った投手が確実に戻ってくる。今永は今季の終わり方に納得していなかった」とホイヤー本部長は左腕の復調に期待している。

カブスの現時点の先発ローテーションは、今永、マシュー・ボイド、ジェイムソン・タイヨン、ケイド・ホートンが上位を占め、その後ろにスウィングマン(先発と中継ぎの両方をできる投手)として起用できる右腕コリン・レイが控えている。ジャスティン・スティールは順調なら5月までに左肘の手術から復帰できる見通しで、ハビアー・アサド、ベン・ブラウン、ジョーダン・ウィックスも先発とリリーフの両方で層を厚くする存在になる。

ホイヤー本部長は、レイのように先発も任せられるタイプの投手をさらに加える可能性は否定しなかったが、先発探しはその程度で一区切りになるとの見方を示した。一方、ブルペンには、右腕フィル・メイトンと2年総額1450万ドル(約22億6200万円)で契約した後も、埋めるべき穴がいくつも残っている。

ホイヤー本部長は、本来は小さな補強を積み重ねるやり方でブルペンを作ることを好んでいるが、今オフは、より大きな投資になるリリーバー獲得も選択肢から外していない。今オフのフリーエージェント市場でクローザー候補の上位に入るロベルト・スアレスも、その1人だ。

カブスは、今回のウインターミーティング期間中の交渉が、具体的な補強に向けた流れを生み出すことを期待している。

「いろいろな面でエネルギーは十分で、やるべきポイントもはっきりしている」とホイヤー氏は話した。

「いつになるかは分からないけれど、何らかの動きにはつながると思う。12月が忙しくなるかもしれないし、1月が忙しくなるかもしれない。そこは何とも言えないね」