【ドジャース3-1ブルワーズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月16日(日本時間17日)
ナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦(NLCS=7回戦制)で、ジェイコブ・ミジオロウスキーは確実な進化を見せた。これまでなら崩れてしまうような場面でも踏ん張り、チームが逆転するチャンスを作った。
新人剛腕は5回0/3で73球を投げ、3安打、9三振の力投。最速102.5マイル(約165キロ)を計測し、五回まではドジャース打線を圧倒した。しかし、六回に疲れが見え始めるとドジャースに勝ち越しを許し、結果的に敗戦投手となった。これでブルワーズは3連敗。早くもがけっぷちだ。
7試合制のポストシーズンにおいて、先に3勝を上げたチームは41回中40回(97.6%)勝ち抜いており、そのうち31回がスイープ(4連勝/敗)で決している。唯一の例外は、2004年のALCSでのレッドソックス(対ヤンキース)のみだ。ブルワーズは、2.4%に望みをつなぐ。
ミジオロウスキーは六回に1点を失い降板。継投したアブナー・ウリーベが自身の送球エラーでさらに1点を失い、ミジオロウスキーに2失点がついた。
しかし、結果以上に内容は素晴らしかった。カブスとの地区シリーズ第2戦で、3回無失点、第5戦では4回1失点と試合を重ねるごとに改善し、この日はポストシーズンで最長の5イニングを投げた。
「今日得ることができた収穫は、来年さらに強くなって戻ってくるための糧になると思う。5イニングを任されたこと自体はポジティブに捉えている。でも、望んでいた結果には届かなかった」とミジオロウスキーは語った。
これまでは、イニングの先頭から投げることが多かったが、この日はオープナーのアーロン・アシュビーが精彩を欠き、0-1と先制された後に登板。1死一、二塁の場面で、エドマンとテオスカーを連続三振に仕留め、ピンチを切り抜けた。
7月に本拠地アメリカンファミリーフィールドで本塁打を打たれた大谷翔平とも2度対戦。二回にはゴロで打ち取り、五回は空振り三振で完璧に抑えた。
この時点で59球を投げていたミジオロウスキーは六回のマウンドにも上がり、先頭のベッツを見逃し三振に仕留める好スタート。しかし、続くスミスに安打を許すと、フリーマンに四球を与え、エドマンにタイムリーを喫した。
「打ち込まれたわけじゃない。投球は本当に素晴らしかった」とマーフィー監督は語る。
「彼はチームに勝つチャンスを与えてくれた。アブナー(ウリーベ)の調子が普段のようではなかったから、誰をエドマンにぶつけるか判断しなければならなかった。今日、ミズ(ミジオロウスキー)はチームで一番のパフォーマンスを見せてくれた。本当に素晴らしかった。球数的にも限界が近いのは分かっていたけど、こういう試合では自分の力でイニングを切り抜けるチャンスを与えたかった」
結果的にそれは叶わなかった。
エドマンもミジオロウスキーについて「本当にいい投手」と称えた。
「102マイル(約164キロ)に対応できるように常に構えておかないといけない。すごくタフなピッチャーだし、あの1本が打てて本当によかった。彼は腕が長いから、まるですぐ目の前からボールが飛んでくるように感じる。彼の球種や特徴に慣れて、どう攻めていくかを考える必要があるね」
六回の先頭ではなく、途中で交代させた判断について問われたマーフィー監督はこう答えた。
「うちのブルペンの状況はみんな知っていると思うが、ミズはすごくいいリズムで投げていた。もしあの場面で彼を(五回終了時点で)下げて、代わった投手が2点取られたら、今度はその決断を責められていただろう。彼は本当にいい投球をしていたし、きょうの彼の出来にはとても満足している」
ミジオロウスキーとブルワーズにとって望んだ結末ではなかったが、右腕はポストシーズン史に名を刻んだ。先発でない投手が9三振以上を記録したのは史上3人目で、実に59年ぶりの快挙。他に達成したのは、1966年ワールドシリーズ第1戦のモー・ドラボウスキー(11奪三振)と、1921年ワールドシリーズ第6戦のジェシー・バーンズ(10奪三振)だ。
レギュラーシーズンの最終登板、レッズとの試合で満塁のピンチを任されたミジオロウスキーは、押し出しを含む5点を献上。0−1は、一気に0-6になった。ポストシーズンのロースター入りが危ぶまれるほどの投球内容だった。
しかし、ロースター入りを果たすと、先発不足に悩むチームを救う活躍を見せている。そして、この日はそのレッズ戦を彷彿とさせる場面で登板し、完璧な火消しを見せた。既に登板したクイン・プリースターとフレディ・ペラルタを除いて、50球以上を任せられるのは、ミジオロウスキーとホセ・キンタナのみだった。
もし、初回のピンチを抑えられていなければ、さらに多くの救援陣を使い、さらなる窮地に追い込まれていただろう。ブルワーズが、がけっぷちに立たされていることは間違いない。しかし、ミジオロウスキーの力投がわずかな望みをつなげている。
