【ブルワーズ2−0アストロズ】ヒューストン/ダイキンパーク 5月31日(日本時間6月1日)
急成長を遂げるブルワーズの若きエース候補、ジェイコブ・ミジオロウスキーは、自身の圧巻の5月をどう評価しているのだろうか。
「かなり良かったと思う」
アストロズ戦で7回無失点と好投。この日は本調子ではなかったものの、相手打線を封じ込めた。ブルワーズは5月にナ・リーグ中地区最下位から首位へ浮上。その原動力となった右腕は、5月の月間防御率を驚異の0.23まで引き下げた。
その数字について問われると、「まあ、悪くないかな」と、さらりと言ってのけた。
ミジオロウスキーは、5月に防御率0.23だけでなく、被打率.109、WHIP0.52も記録した。これらはいずれも、1カ月に4先発以上したブルワーズ投手として球団史上最高の数字。また、アストロズ戦で8三振を積み上げ、球団史上、単月最多記録となる5月の三振数は57に到達した。
剛腕は、アストロズ相手に苦戦。
「今日は最高の速球ではなかったと思う。でも、彼の場合は“本調子じゃない日”でも、リーグのほとんどの投手よりいい球を投げているんだ」とバウアーズ。
ブルワーズの守護神トレバー・メギルは、ミジオロウスキーをこう称賛した。
「チームを支える“馬”みたいな存在だよ。毎回のように6イニング以上を投げてくれるんだからね」
圧倒的な成績を残しながらも、ミジオロウスキーは、ナ・リーグ月間最優秀投手賞の最有力候補ではない。
フィリーズの左腕クリストファー・サンチェスは、5月を4勝0敗、防御率0.00で終えた。登板数はミジオロウスキーより1試合少なかったものの、投球回は39回で、ミジオロウスキーの38回1/3を上回る。
一方で、ミジオロウスキーはWHIP(0.52対0.72)、被打率(.109対.181)、奪三振率(41.9%対31.5%)でサンチェスを上回った。
MLB公式のリサーチャー、サラ・ラングスによると、1900年以降、30イニング以上を投げた投手が1カ月で1失点以下に抑えた例は20回しかない。そして、ミジオロウスキーとサンチェスは、その偉業を同じ年の同じ月に達成した史上初の2人となった。
この異例の争いについて、メギルは笑いながらこう語った。
「すごいよな。インスタグラムで今月の月間最優秀投手候補の投稿を見たけど、8人くらい名前が挙がっていた。こういうこともあるんだよ。これが野球だし、人生でもある。自分が今すごく良い成績を残していても、たまたま誰かがそれ以上の成績を残していることもあるんだからね」
5月最後の登板でも、チームのエースは圧巻だった。
初回から20球連続で100マイル(約160.9キロ)超の速球を投げ込み、6人連続アウトの完璧な立ち上がり。しかし三回に入ると球速が100マイルを下回り始め、先頭のジェイク・マイヤーズに安打を許すと、二死からジェレミー・ペーニャにもヒットを浴びた。さらにヨルダン・アルバレスにカーブが当たり、二死満塁のピンチを招いた。
それでも崩れない。クリスチャン・ウォーカーに対し、102.7マイル(約165.3キロ)の速球で二塁ゴロを打たせ、無失点で切り抜けた。
四回には、4月19日以来となる長打を許すなどして一打同点の場面を迎えたが、マイヤーズを初球94.8マイル(約152.6キロ)のスライダーで右翼フライに打ち取り、再びピンチを脱出した。
試合後、本人は苦戦の理由について、「マウンドが少し滑った」と説明した。
身長6フィート7インチ(約201センチ)の長身右腕は、リーグでも屈指の長いエクステンションを誇る。
「それに対応しながら投げていたけど、正直あまりしっくりきていなかった。快適に投げられる感覚ではなかったね」
最高の状態ではなかった。それでも7回無失点。今のミジオロウスキーは、万全でない日でさえ試合を支配できる投手へと成長しつつある。
ミジオロウスキーは、マウンドの表面を削って下の硬い土を出しながら感触を調整し、さらに捕手ゲーリー・サンチェスの配球面でアドバイスを受けながら、この難しい登板を乗り切った。
「試合前のゲームプランは、とにかく速球を投げ込んで、相手が打てるかどうかを見ることだった。でも、相手が対応してきたので、そこから別の方法を見つけなければいけなかった。ゲーリーが本当に助けてくれたし、一緒に修正することができた」とミジオロウスキー。
速球だけではなく、その日の状態や相手の反応に合わせて組み立てを変える。それはミジオロウスキーの進化を示す内容でもあり、ブルワーズの対戦相手にとってはさらに厄介な存在になりつつあることを意味している。
パット・マーフィー監督も、その成長を評価した。
「最高の状態ではなかった。でも、それでも7イニングを投げてくれた。おそらく、もっと投げられたと思う」
アストロズの1番打者ジェレミー・ペーニャも脱帽した。
「評価すべきものは評価しないといけない。彼は素晴らしい投球をした。球威は本当に特別だった」
アストロズの得点のチャンスは、四回にアイザック・パレデスが放った二塁打のみ。それ以降はミジオロウスキーが圧倒した。さらに八回からアブナー・ウリベ、九回はトレバー・メギルが締め、シリーズ2セーブ目を記録。ブルワーズ投手陣は試合終盤に17者連続アウトを奪い、5月を19勝7敗で締めくくった。
チームは5月4日時点で地区最下位だったが、19日には首位へ浮上。月末にはナ・リーグ中地区で4.5ゲーム差の首位に立つまでに巻き返した。
それでもマーフィー監督は気を緩めない。
「正直言って、私はまだチームが最高の野球をしているとは思っていない。ただ、この選手たちを信頼している。みんな本当に多くの良いことをやってくれているからね」
