【メッツ2−3ナショナルズ】ニューヨーク/シティフィールド、9月21日(日本時間22日)
ジェイコブ・ヤングにとって、シティフィールドの『ある一角』がキャリアで特別な意味を持つことになった。
ヤングはセンターのフェンス際で、1度ならず2度の華麗な守備を披露した。うち1度は試合を救う本塁打阻止の好捕。ナショナルズはポストシーズンを目指すメッツに3―2で勝利した。
「4万人を静まり返らせることほど気持ちいいことはないね。その気持ちは何度味わっても色あせない」とヤングはしてやったりの表情を見せた。
五回のその場面、ブレット・ベイティの痛烈な打球を背走しながら中堅フェンスへ向かった。だが、体勢が反転し、最後の瞬間にグラブを伸ばして捕りにいかなければならなかった。
打球を見失ったかに見え、捕球できなかった。
ヤングのグラブはフェンスに当たり、ボールはこぼれてフェンス手前の土へ落ちるはず、が、次の瞬間、再現不可能なプレーが起きた。ヤングは子どもの頃に親しんだサッカーの感覚を呼び起こし、ばたついた右脚でボールを蹴り上げ、そのまま空中でつかみ捕った。
「蹴ろうとした。といっても、意識的にというより本能的にね。純粋な反応だった。なぜか自分の方に戻るように蹴れて、手に収まった。だからAAU(少年時代に所属していたチーム)のサッカーコーチに感謝したい」とヤングは笑った。
リプレー映像では、打球が地面にも外野フェンスにも触れていないことがはっきりと示され、ヤングはもちろん、シティフィールドの誰もが驚愕した。
この大飛球は、打球速度104.6マイル(時速約168.3キロ)でベイティのバットを離れ、中堅やや右寄りへ推定で413フィート(約126メートル)飛んだ。安打確率は92%でスタットキャストによればMLBの22球場では本塁打になる打球だった。
ベイティは、「信じられなかった。あの打球は完璧に捉えたし、おそらく他の25球場なら本塁打だろう。それをフェンス際でああいうクレイジーなプレーで捕られるなんて」と呆れた表情。
ヤングは最終回に、このシリーズ最大のプレーを披露し、ナショナルズのシリーズ勝ち越しを確定させた。
代打のフランシスコ・アルバレスが、救援デビューでセーブを記録したミッチェル・パーカーの投球を左中間へ運んだ。推定411フィート(約125メートル)、打球速度110.9マイル(時速約178.5キロ)の一打をフェンスオーバーの直前でジャンプして、捕球し、本塁打を阻止した。スタットキャストによれば、この打球は12球場では本塁打になっていた。
「ノー・ダブル(長打警戒)の守備位置を取っていたから、いつもより深めに守っていた。強い当たりだったのは分かったけれど、低い打球には見えなかったから、正直フェンスまで飛ぶとは思わなかった。落ちてくると思ったけれど、(打球には)上手くバックスピンがかかっていた」
ヤングはそう説明した。
「その段階では、十分近づけたら跳んで(捕れることを)祈るしかない。フェンスにぶつかったとき、グラブの中に(打球が)残ってくれて本当に良かった」
ヤングは2024年のゴールドグラブ賞最終候補で、今季すでに中堅での驚異的な守備が評価されている。7月28日にはレッズのウィル・ベンソンの本塁打を阻止したプレーで「MLB Electric Play of the Week」を受賞。7月2日にはタイガースのライリー・グリーンの打球で、フェンスをよじ登る“スパイダーマン”のような本塁打阻止だった。
また、MLB選手OB会(MLBPAA)から2025年のハート&ハッスル賞のナショナルズ球団代表に選ばれている。ヤングは2024年開幕以降で平均の外野手以上のアウト数(OAA)で「33」を記録し、21日の試合開始時点で全外野手トップタイだった。
「JY(ジェイコブ・ヤング)が、なぜいま最もエキサイティングな中堅手なのかを示した」
ジェイク・アービンはそう語った。
「目の前で見た中で最高のプレーだった。おそらく、これまで見たあらゆるプレーの中でも最高だ」
ヤングの度肝を抜く守備は、ナショナルズ外野陣に火をつけ、三回には、ルーキーのデイレン・ライルがセドリック・マリンズの飛球を追って左翼線のフェンスに激突し、左膝打僕の負傷を負った。痛みにうずくまったライルの元に医療スタッフが車椅子を押して駆けつけたが、自力で歩いてフィールドを後にする場面も。
「こういう、ポストシーズンのような雰囲気の試合では、いつビッグプレーが起きるか分からないから、九回すべてで集中を切らさないようにしている」とヤングはまとめた。
