マイナー降格の苦悩語ったマッカーシー、2ランで実力証明

ザック・ギャレンが7回10三振の好投

July 2nd, 2025

ダイヤモンドバックス8-2ジャイアンツ】フェニックス/チェイス・フィールド、7月1日(日本時間2日)

選手をマイナーリーグへ降格させるのは、ダイヤモンドバックスのトーリ・ロブロ監督にとっていつだって簡単なことではない。しかし、それを力にして成長した姿をMLBで見せてくれる選手たちもいる。

その一人がジェイク・マッカーシーだ。ザック・ギャレンが7回2失点10三振という圧巻の投球を見せた試合で決勝打となる2ランを記録。同地区ライバルのジャイアンツに連勝を達成し、ゲーム差を1.5まで縮めた。

4月19日、敵地リグレー・フィールドでのカブス戦に敗れた後、ロブロ監督は外野手マッカーシーを監督室に呼び、3Aリノへの降格を伝えた。

当時マッカーシーはシーズン序盤で24打数無安打と苦しんでおり、打率は.073(41打数3安打)にとどまっていた。この時のやりとりは、ロブロ監督にとってもマッカーシーにとっても気持ちの良いものではなかった。

実はこの2人には、2023年シーズンにもすでに同様の経験があった。マッカーシーはその年、2度マイナー降格を経験しており、そのうちの1回では「あなたは間違っている」とロブロ監督に伝えたという。

監督はそのマッカーシーの自信を歓迎していた。そして実際、マッカーシーはすぐにメジャーへ戻ってきて、チームのポストシーズン進出にも貢献している。

2024年は開幕からメジャーに帯同していたマッカーシーにとって、自身が再びマイナーに落とされるとは思ってもいなかった。そして球団側も同様に考えていた。

「ジェイクを降格させるのはいつだってつらい。私は選手に感情移入するタイプで、全力でプレーしてきた選手や、実績のある選手には特にそうなる。今回のケースでは、なぜこうなってしまったのか分からない部分が多くて、それがまた歯がゆかった」とロブロ監督は語る。

降格を伝える際、ロブロ監督はマッカーシーの顔に明らかな不満の色を見て取った。

「表情ではっきり分かったよ。通常であれば握手して、幸運を祈って、ハグするような場面なんだが、彼は明らかに落ち着かない様子で、とにかく早くその場を離れたがっていた。だからこそ、私は彼を呼び止めて『お前はきっと立ち直れる。すぐ戻ってこられる』と伝えたんだ」

「いつもとは違う、どこかぎこちないやりとりだった。私は彼がメジャーのレベルに達していると信じていたし、実際、今でもそう思っている。ただ、それをどう伝えるべきか悩んだし、彼自身もその瞬間には受け入れられなかったんだろう」

マッカーシーにとってはこれが初めてのマイナー降格ではなかったが、今回はこれまで以上にこたえた。しかし、荷物をまとめリノへと向かった彼は、落ち込んでいる暇も怒る暇もないとわかっていた。

「不満や落胆、自分を哀れむ気持ちにとらわれても意味がない。自分がどう思おうが関係ない。とにかくここ(メジャー)に戻るために努力するしかない」とマッカーシーは語った。

リノでは特にこれといった技術的に変化を加えたわけではないというが、常に小さな調整は試みていたという。結果は見事なものだった。49試合で打率.314、出塁率.401、長打率.440を記録。だが、成績が良かったからといって、楽しい日々だったわけではない。

「マイナーに行くのは全然楽しくない。マイナーリーグの野球は嫌いだよ。でも、前に進むしかない。支えてくれる家族や仲間がいるし、自分はこういう困難に立ち向かう覚悟がある。このキャリアの中で与えられるどんな試練にも負けないつもりだ」

困難を乗り越え、時には衝突しながら進んでいく。ありきたりな表現だが、言葉以上にそれを実践するのは難しい。だからこそ、その壁を超えた経験をした選手は、一回りも二回りも大きくなるのだろう。